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  • Ryzen5 3550HのCPU周波数を固定してサーバ運用する話

    買ったは良いがCPUのファンが五月蠅いので、メインPCとしては使っていなかったミニPCがありましたが、今はProxmoxを入れてサーバ運用しています。

    とはいえ、ファン音が五月蠅いと24時間稼働のサーバ運用には向いていません。逸般の誤家庭ならともかく、一般の御家庭では常時ファン音が唸るサーバは邪魔者に過ぎません。

    ということでCPUの発熱・ファン音対策が必要になってきます。
    まとも、というか一般的なPCや自作マシンですと、BIOSでCPUの周波数やファンコントロールが出来るのですが、このPCではBIOSに入ってもCPU関係の設定項目が少なく、そこら辺をイジることが出来ませんでした。

    ということで、次はLinux上で設定を試してみます。今回はGeminiに聞きながら行いました。

    既にProxmoxをインストールしていますが、一応実機にマウス・キーボード・モニタをつないで起動。
    まず、cpufrequtilsをインストールします。

    sudo apt update
    sudo apt install cpufrequtils # Debian/Ubuntu系の場合(ProxmoxはDebian系)

    以下のコマンドで、現在のCPUの周波数ガバナーと利用可能な周波数を確認できます。

    cpufreq-info

    このコマンドで見ると、このRyzen5 3550Hの周波数は1.4GHz、1.7GHz、2.1GHzと出てきました。 8個あるコアそれぞれで、現在のCPU周波数は異なっているので、これを一番低い1.4GHzに固定しましょう。

    Geminiに教えてもらい、全てのCPUコアをuserspaceガバナーに設定します。

    echo "userspace" | sudo tee /sys/devices/system/cpu/cpu*/cpufreq/scaling_governor #固定したい周波数を設定(例: 2000MHz = 2.0GHz)

    Ryzen 3550Hのサポートされている周波数範囲内で設定してください。

    周波数はcpufreq-infoで確認した利用可能な周波数の中から選びます。

    echo "1400000" | sudo tee /sys/devices/system/cpu/cpu*/cpufreq/scaling_setspeed

    これで、Ryzen5 3550Hの下限である1.4GHzに固定出来ました。
    cpufreq-infoでもそのように表示されます。

    これにより、設定前の通常使用のときよりもかなりファンの回転数が減りました。
    元々、このPCではファンの回転数が速いときと遅いときが交互に来ていて、音もうるさいときと静かなときがありました。ずっと同じ音量ではないのは、ずっと五月蠅い環境よりも多分辛いです。しかし、この周波数固定作業によってファンが速く回転する頻度が激減しました。

    実際にProxmoxに動かす各サーバのCPU負荷によっても変わるでしょうが、最少周波数に固定したので、そうそう大きな騒音にはならないはずです。

    ちなみに、これらの設定はどうやら再起動時などで外れるようですので、一発で設定するスクリプトも作成しました。

    nano set_cpu_governor.sh
    !/bin/bash
    
    echo "userspace" | sudo tee /sys/devices/system/cpu/cpu/cpufreq/scaling_governor # ガバナーを userspace に設定
    
    echo "1400000" | sudo tee /sys/devices/system/cpu/cpu/cpufreq/scaling_setspeed # 固定クロックに設定
    
    cpufreq-info # 現在の設定を確認

    作ったスクリプトに実行権限を与えます。

    chmod +x set_cpu_governor.sh

    実行します。

    ./set_cpu_governor.sh

    systemdで起動時に実行するようにしても良いですが、まあそんな頻繁ではないですし、Proxmoxのホストから実行すれば良いだけなので、とりあえずはここまで。

    今回のこのRyzen5 3550Hはそこそこ古いCPUということもあり、不便なところもありますが、最近の他のRyzenシリーズですと、CPUの熱効率はもっと良くなっているでしょうから、わざわざこんなことはしなくてもサーバ運用時でも静かかも知れません。IntelのN100ならBIOSで消費電力を絞ればほぼファンは回らないんじゃないでしょうか。

  • 自宅ネットワーク内でのホームサーバ構成

    ・現状

    今年の2月から今までにかけて、なぜか突然、「ミニPC購入欲」が沸いてきまして、それに素直に従った結果、自宅というか自室にある常時稼働パソコンが5台になってしまいました。他にノートパソコンとしてChromebookもありますが、こちらはたまにしか起動しないので今回の話からは外れます。

    さて、この4台のパソコンについては、メインPC以外の用途は常時稼働サーバとして運用しています。

    型番で言いますと、
    DELL Wyse5070
    IceWhaleTechnology Zimaboard
    Minisforum UN100P
    Goodtico MINIPC-3550H
    となりまして、見事にメーカーもスペックも異なります。これらを生かそうと思いつつ、自分の勉強のためと、様々なサービスを享受するため、そしてGoogle社なんかを始めとするメガIT企業に頼り切らないようにするため、自宅サーバを色々立てることにしました。

    とはいえ、メガIT企業に頼らないと言いつつも、実際にサーバを立てるに当たっては、ChatGPT、Gemini(Google AI Studio)、Claudeといった生成AIの皆さんに、ひたすらガッツリ聞きまくって、悩みつつ試行錯誤しつつ、サーバを立てては消したりなんやかんやした結果、現時点では以下の通りの構成となりました。

    ・Zimaboard

    (スペック)
    CPU Intel Celeron N3450(4コア4スレッド)
    メモリ 2GB
    ストレージ eMMC 32GB

    (用途)
    RJ45のLANポートが二つあるので、自室のPCとスマホ・タブレットのゲートウェイとして運用することにしました。具体的にはUbuntuserver24.04をインストールして、Firewall(UFW)と広告ブロック(Pi-hole)とVPN(WireGuard)のサーバとして利用しています。PCIeカードもさせますが、今のところは使う予定無し。シングルボードマイコンとして使う分には充分な性能があります。メモリが4GBや8GBのものだと、もっと有効活用出来たでしょうけれど、それはそれで高くなりますので割り切ってルータっぽく使う分にはこれでいいですね。

    ・Wyse5070

    (スペック)
    CPU Intel CeleronJ4105(4コア4スレッド)
    メモリ DDR4 16GB
    ストレージ SATA接続SSD480GB、USB接続HDD2TB

    (用途)
    こちらはLANポートが1つしかないですが、USBポートは8つもあります。最初はOpenMediaVaultを入れて、2TBのUSB接続HDDを2台でRaid1としてNAS運用していましたが、今はProxmox Backup Server のVM(CPU2コア、メモリ4GB、スワップ1GB、ストレージ10GB、USB接続HDD2TB)のみとして利用しています。まだ余力はありますが、個人的にはバックアップ用のサーバには他のサービスを入れたくないので、当面はこのままだと思います。

    ・UN100P

    (スペック)
    CPU Intel N100(4コア4スレッド)
    メモリ DDR4 16GB
    ストレージ SATA接続SSDが240GBと、USB接続SSDが2TB

    (用途)
    もともとベアボーンとしてメモリもストレージもない状態で買いましたが、手持ちのNVMe接続SSDをつないでWindows11を入れてみて、あっさり使えましたが、そもそもメインPCのWindowsがあるので使い道がありません。ということでサーバに回します。
    Proxmoxを導入して、その上で、既にノードとして
    FreshRSS(RSSリーダー)のLXCコンテナ(CPU1コア、メモリ1GB、スワップ1GB、ストレージ10GB)、
    Vaultwarden(パスワードマネージャー)のLXCコンテナ(CPU1コア、メモリ1GB、スワップ512MB、ストレージ16GB)、
    Nginx Proxy Manager(リバースプロキシ)のLXCコンテナ(CPU1コア、メモリ1GB、スワップ1GB、ストレージ8GB)、
    OpenMediaVault(ファイルサーバ)のVM(CPU1コア、メモリ2GB、SSD10GB、USB接続HDD2TB)、
    を動かしています。

    ・MINIPC-3550H

    (スペック)
    CPU Ryzen5 3550H(4コア8スレッド)
    メモリ DDR4 16GB
    SSD NVMe接続SSDが512GB、USB接続SSD1TB、USB接続HDD1TB

    (用途)
    以前、使っていたPCが故障したために急遽購入したこちらのマシンが、普段使いだとファンがうるさく、結局別のPCをまた購入してメインPCとして使っているため、このRyzen搭載ミニPCは押し入れにしまっていました。他のミニPCでどんどんサーバを立てていくと、やりたいことが増えてきたため、このRyzen5マシンを復帰させました。ファンのうるささはCPU周波数を低速で固定することで対策しました。この対策についてはまた別の記事に書こうと思います。ともかく、手持ちのサーバ運用ミニPC群の中では、一番リッチなスペック(といってもCPU単体ではN100と大差ないですが)なので、重たい動作のものを集めました。
    Proxmoxを導入して、その上で、既にノードとして
    WordPressのLXCコンテナ(CPU2コア、メモリ4GB、スワップ1GB、ストレージ10GB)、
    NextCloudのLXCコンテナ(CPU2コア、メモリ4GB、スワップ1GB、ストレージ10GB、USB接続HDD1TB)、
    Apt-cacher-ng(パッケージ配布キャッシュプロキシ)のLXCコンテナ(CPU1コア、メモリ2GB、スワップ512MB、ストレージ100GB)、
    UniversalMediaPlayerのVM(CPU2コア、メモリ4GB、ストレージ32GB、USB接続SSD1TB)、
    を動かしています。
    Apt-cacher-ngのストレージは、本当はキャッシュを貯めておくのに外付けのSSDかHDDにしたいところですが、現状余っているものがないため、内部のSSDを多目に確保して運用しています。

    ・その他、これから

    後、いくつもあるサーバの死活監視のために、ZabbixとかNogiOSとか運用してみたかったのですが、生成AIに聞きながら作成しても失敗してしまいました。この辺はひとえに私の知識不足なので、またそのうち試してみます。ですので、現在はWindowsで運用できる、PRTGのフリー版を使ってとりあえずPingの監視だけ行っています。まあ、この程度のサーバ数なら一つ一つ見てても何とかなるといえばなるのですけれど。別に仕事じゃないし。

    あと、導入したいのはメールサーバくらいでしょうか? メールサーバは結構面倒というか、既に何度か試しましたが色々大変で結局上手く行かなかったので、また折を見て試すつもりです。ただ、既にメールサーバを入れられそうな余裕があるPCがないのですよね・・・。