日本は資源の少ない国、無い国とよく言われます。実際にはかつては炭鉱や金山・銀山が至る所にありましたし、また今でも石灰のように完全に自給できる鉱物資源もありますので、ものによるとしか言えないのですが、それでも国際的に高値で売れて外貨を稼げる炭化水素資源(石油・天然ガス)や鉱物資源(鉄・銅・金・レアメタル)などはほぼ産出しません。
そういった資源で稼いだ外貨で悠々自適に暮らしている国家を見ると羨ましくなるのは人の常ではありますが、実際のところ、資源が多い国の国民全てが豊かになるとは限りません。
資源の利益を独裁者が独占したり、資源を巡って内戦が起きたりすることを考えると、資源が豊富なことの良し悪しは考えざるを得ません。
中東・アフリカなどの地域に限ったことでもなく、20世紀後半になって北海油田で外貨が大量に流れ込んだイギリス・オランダ・北欧諸国がそのお金でみんな豊かになれたかというとそうでもありません。オランダ病・資源の呪いなど言われますが、天然資源で貿易黒字が生まれ、通貨高になって他の輸出品が売れなくなって製造業が衰退していきます。
そのような資源だけが資源ではなく、実際にはその国や地域が置かれている環境による、気候や地形も資源と言えます。
例えば、気温が高く水資源が豊かな国では、食料生産には困りません。インドシナ半島では古来から稲作が行われていましたが、他地域に比べて大した労力をかけなくても、二期作や二毛作が容易です。
その結果、多くの人口を養えますが、農業生産の技術革新もなく、それ以上に農業のための集団化や組織化が遅れて、国家形成が遅れます。東南アジアほど簡単に米生産が出来ない中国・インド・日本の方が大きな国家形成が早かったわけです。
資源はどこにでもあります。それを活用して効率よく組織や個人に割り振れるかどうかの方が重要なのでしょう。
資源があれば大丈夫、と考える方が危険です。今の豊かさが後の豊かさを担保しない、むしろ成長発展の妨げにもなり得るというのは、感覚的には理解しやすいはずです。国家レベルよりも個人レベルに置き換えれば理解しやすいはずです。
例えば、親からの膨大な資産を相続した人が、無為徒食に過ごして財産を食い潰していけば、いつかは終わりが来ます。財産が多ければその人の代は無事に過ごせても、その次の世代も同じく何もせずに過ごしていればそのうち素寒貧になるはずです。
そんな卑近な例と、天下国家を同じに考えるのは不毛かも知れませんが、資源は無いよりはあった方がいいくらいであって、資源さえあれば何もしなくていいわけではありません。
イギリスからの独立を主張するスコットランドでは、北海油田の取り分をよこせ、あるいは北海油田は自分たちのものだという主張もあります。独立による経済力の低下を北海油田で補うつもりなのでしょうけれど、石油メジャーに買い叩かれたり、開発インフラの整備に手間も資金も取られたりして大して儲からないと思います。皮算用は皮算用に過ぎず、予定が予定通りに行くことはめったにありません。
日本でも日本周辺の海の下に、レアメタルなどの希少な天然資源があると言われていますが、掘り出して売ってウハウハなんて未来は多分来ません。周辺諸国との厳しく醜い争いに巻き込まれる未来の方が容易に想像できますし、それを確保できたとしても稼いだ利益が国民みんなに行き渡る差配を、お偉い方がやってくれるでしょうかね。



