出羽守の憂鬱

ウォールストリートジャーナルで興味深い記事を見かけました。

https://jp.wsj.com/articles/aging-germany-is-running-out-of-workers-putting-europes-largest-economy-at-risk-11640215256

有料記事なので詳細をつらつらとコピーするわけにはいかないですが、ドイツの今後の労働力の問題点を考察したニュースでして、

・労働人口の減少が起きる
・ベビーブーマーの大量退職が控えている
・戦後の出生率の大幅な低下
・女性の労働参加率を上げる政策の検討
・労働者の退職(定年)の延長の検討
・移民自由化の検討
・手厚い年金により早めに退職してしまう
・他の先進国と比べると女性の労働参加率が低い
・女性が出産後に託児所不足やフルタイム勤務で税額が上がるために労働時間を減らしてしまう
・賦課方式の年金制度を維持するために税収で支えるが、さらに拠出金の引き上げと支給額の引き下げが必要になりそう

という内容でした。

ドイツに関する記事だと銘打っていなければ、日本社会の問題点の指摘だと思ってしまうでしょう。

ドイツについてはこの冬はエネルギー不足に悩まされています。日本での原発事故を受けて脱原発を掲げた当時のメルケル首相の指揮の下、原子力発電を大幅に削減してクリーンエネルギーに舵を切りましたが、原子力発電をカバー出来るほどは再生可能エネルギーを調達できておらず、火力発電所でCO2を吐き出しつつ、さらにロシアからの天然ガス供給に国民の生命を握られている状況に陥っています。

喜んでプーチンに金玉握られているようなもので、ドイツ国民が上から下までそれを望んでいるのでしたら、極東に島国にいる人間がアレコレ言うのも筋違いですが、自分が住んでいたら反対しているだろうなとは思います。

さらにはガソリン車全廃方針もあって、リチウムなどのレアメタルを調達するために今度は習近平にもう片方の金玉を握らせるつもりなのかも知れません。そういった国家の死命がかかるような状況であっても、政治家の責任が問われていませんので、ドイツ国民的にはそれでもオールオッケーなのでしょうか。

感染をずっと抑え切れていない、アメリカ・イギリス・フランスなどの西洋諸国でも、感染拡大を理由に時の政府が打倒されたり国家元首が入れ替わったりすることもありませんので、新型コロナの感染拡大は究極的には政治の責任とは判断されていないとも言えるでしょう。

G7でもG20でも、新型コロナの感染が広がっていることを理由に首相が辞めたのは日本だけのはずです。正確に言えば、当時の菅首相が与党自民党における総裁選への出馬を諦めたのですが、実質的には首相辞任と同じでした。

G20のほとんどの国では感染状況は酷いですが、欧米のほぼ全ての国よりも感染を抑え込んだ日本において、菅政権が政治的な罪を問われて継続出来なかったというのは、結構国民の意思が政治に反映されている証拠と言えると思うのですが、あまりそういう見方をしている意見は見かけませんね。

ここまで言ってしまうと特定の思想にハマってしまっているようになってしまいますが、どこの国でもその国特有の事情と歴史があります。自由を生命よりも大事にするアメリカ人とか、インフレを鬼のように憎むために均衡財政を何を犠牲にしても達成するドイツ人とか、右派も左派も国是として日本と仲良くすることを公に出来ない韓国人とか、日本人に理解出来なかったとしても、それはその国では当然な在り方です。

逆に、日本人特有の在り方も同じなはずです。日本以外の国から見たら日本社会のここがおかしい、というところがあったとしても、それは日本特有の事情と歴史に基づくものであれば、それは単純に外国と比較して日本に問題があるという短絡的な批判をすべきでもありません。

「〜〜では〜〜なのに日本は〜〜」という紋切り型の批判をする人を「出羽守(でわのかみ)」と言いますが、外国を模範にしろという理屈は、その外国側が駄目だった場合や日本と同様だった場合に途端に説得力を失います。

日本社会における問題の特殊性が日本固有の原因であれば、外国のようにするべきだというのは、例えばマスク拒否のアメリカ人に対して、日本人のようにちゃんとマスクを付けるべきだと言うようなものです。

他の国でも特殊性を無視して外国を模範にしろという意見を言う出羽守はいるのでしょうか?

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