
ロシアはウクライナ、中国は台湾を奪われた領土とする見解を持ち、どちらも将来的な併合への野心を隠さなくなりました。
どちらにしても周辺諸国、ウクライナで言えばEU、台湾で言えば日米やクアッドなどとの緊張関係が続きますが、まさか直接的な軍事侵攻をいきなりはしないだろうとは思われます。とは言っても、2014年のクリミア併合のように一気呵成に実力行使に及ぶ可能性もあります。
だからこそ、その可能性を恐怖にするために、EU、特にドイツやNATOの主軸たるアメリカをプーチンが脅しているのがこの年末年始です。
失地回復を掲げることが自らの権力の正当性の維持につながるからという理由もあるでしょうけれど、世界における相対的なアメリカの覇権の弱体化が進んでいる証拠でもあります。
オバマ政権時に既に戦略的転換を図ってはいたものの、トランプ前大統領、次いでバイデン現大統領下での混乱が、アメリカの対外的国力の持続的な低下を招いてしまいました。
それでももちろん超大国たるアメリカとがっぷり四つで戦うつもりはロシアも中国もないはずです。ただ、あくまで昔は自分たちの領地だったウクライナや台湾の切り取りだけは認めろ、という腹づもりです。
プーチンも習近平も自国への批判に対しては、冷戦思考の産物だと歯牙にもかけていませんが、自分たちが冷戦の前に存在した列強による帝国主義思考をなぞっていることも認めません。
ただ、まさにかつての帝国主義による植民地支配のように、侵略先の住民の意思を掴めなければ、例え武力による威圧で支配してもいずれは水泡に帰してしまうのです。特に中国は日本あるいはそれ以前のイギリス・フランス・ドイツらによる支配を最終的にはねのけて独立国家を建国したはずなのですが、台湾がまさにその繰り返しにならないという保証をどこかで確信しているのでしょうか?
台湾を本気で自国支配下に再度取り込み、それを永続させるには台湾人民の心も掴まないと、ずっと独立の火種を抱え込むことになります。軍隊で弾圧してもダメだったからこそ、中国は日本の支配を免れたのですが、今の中国政府による台湾への圧力のかけ方を見るに、当分は本気で台湾支配を考えていないのではないかとまで思ってしまいます。
本気で台湾を合併するなら、台湾内の強硬派、独立派こそを許して取り込むしかありません。台湾が独立派と中国より派で分割させても後のしこりが長引くだけです。
ウクライナは台湾とは歴史的経緯が異なりますし、ロシアが失った時期も中国が台湾を失った時期と40年くらい違います。失ってまだ30年ほどなので、まだロシアにしても未練が強く残っているのかも知れません。
クリミアや、ロシアが緩衝地帯化したウクライナ東部は、歴史的にロシア系住民が比較的多いからこそ、ロシアが野望を広げる地域なのですが、ロシア系住民しか住んでいないわけではありません。ロシア系以外の住民を取り込めなければ、かつての東欧諸国のように、ソ連(ロシア)への反発を持ち続け、西欧諸国への移動に憧れ、ロシアのくびきから解き放たれることを望み続けることでしょう。
プーチン大統領が存命のうちは強権支配で何とかなったとしても、その先の結果は見えているとしか言えません。それは多分、台湾でも同じはずです。
さらに言うと、新たなる支配地域だけ甘くして、既存の領地内だけは厳しい独裁政権を保てるはずもなく、全体が変わるか崩壊するかのどちらかでしょう。
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