お酒文化の衰退とこれから

先日、日本産酒類の発展を考えるビジネスコンテストに関するニュースで流れましたが、見事にネット上では批判のターゲットになっていました。コンテスト自体は別に良いのでしょうけれど、問題はこのコンテストを開催するのが国税庁だということです。

お酒を飲まない若者が多くなったことがそんなに問題なのか、ということで非難されたのも当然でしょう。国税庁の立場からしたら酒税の徴収が減ってきたのが問題なのでしょうけれど、発泡酒や第3のビールに対してやってきたことを思うと、何割かは国税庁の自業自得だろと思ってしまいますが、アルコールが起こす健康被害や事件事故の減少と、お酒文化の衰退のデメリットを社会全体で天秤にかけるべきでもあると思うのですよね。

酒税に限らず、飲食店、アルコール飲料メーカーが納める法人税や各種間接税も大きく減っているのでしょう。ただ、それを若者のアルコール離れに転嫁するのもおかしな話です。お酒によって健康を害して多額の治療費がかかれば、健康保険制度の税金負担も増えます。飲酒による自動車事故や火事、喧嘩など様々な事件事故は今も昔も絶えません。それらが無くなって国民や政府の負担が減るのであれば、それはそれで良い社会のはずなのですが、そういうわけにもいかないのでしょうね。

ただ、今の若い人たちは、誰もがいつでもどこでもお酒を飲んで楽しむという文化が当然ではなくなりました。30歳以下の人たちは、産まれた時から日本はずっと不景気だという空気の中で育ってきています。一部の家庭、企業、地域や業界はその時々によって景気が良い時もあるでしょうけれど、社会全体が景気が良い時代はバブル景気が最後です。それ以降は景気が良い雰囲気を味わうことなく暮らしてきました。

さらには酒の席という、ある意味日本独特のコミュニケーションともこの2年強は基本的にありません。それ以前からも若い人たちがお酒を飲まなくなってきていましたが、コロナ禍がそれに拍車をかけたのは間違いないでしょう。

とにかく、アルコール離れというのは一過性のものでもないのですが、お酒だけが「〜〜離れ」のターゲットになっているわけでもありません。不景気の中でずっと生きてきた10代〜30代にして見たら、お金と時間は節約するものという無意識下のルールが行動を規定しているとしてもおかしくないのです。

若者世代の行動原理の一つに「コスパ」「コスパ重視」があるとも言われますが、30年続いてきた不況・デフレマインドがそれに影響している可能性は高いと思っています。

もう、日本の酒造メーカーは日本国内で消費されることだけを考えない方が良い時代になってきたのかも知れません。総合飲料メーカーはノンアルコール分野での稼ぎもあるでしょうけれど、酒造専業メーカーは厳しい時代になってきたということになります。

円安を生かして輸出にシフトしていく手もあるでしょうけれど、小さいところはそうもいかないでしょうね。

そういえば、タバコ産業も日本国内では喫煙者が長期低落傾向が続いていましたので、本家本元のJTはタバコの国内消費だけに頼らないようになっています。医薬事業や加工食品事業もあります。もちろん、タバコの売上が圧倒的ではありますが、海外でのタバコ売上は国内の3倍にも及びます。

日本のアルコール産業も似たような経過をこれから辿っていくのでしょうか?

少なくとも、これまでと同じようには誰もがいつでもお酒を楽しむ社会には戻らないでしょう。そもそも少子高齢化プラス人口減少社会により、お酒を飲める人も減っていくのですから。

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