昭和の旧弊云々というnoteを先日書きましたが、その代表的な悪弊として、自由民主党の派閥問題があります。
自民党の派閥解消は戦後政治において何度も俎上に上がったものの、派閥から派閥っぽい組織への変更など、おざなりの対応をしてお茶を濁す程度に終わってきました。
だいたい、派閥抗争華やかなりし1970年代時点でも、派閥による弊害が批判され、派閥解消したという体にはなっていました。派閥解消という形を見せるために、勉強会や研究会という名目での集まりにはなっているのですが、結局は「~~派」という区分の目安にはなっています。
むしろ現在の自民党は昔に比べるとはるかに派閥政治っぽさが抜けています。安倍派だけが突出している感じがしますが。もちろん、1970年代の派閥抗争が最も過激だった時代に比べての話であり、他党と比べると、やはり派閥的存在の影響力があるのは自民党くらいなんだろうなと思います。
では、この現在の自民党から派閥的存在を抹消できるのかというと、私個人としてはそんなこと出来ないだろうと思っています。
自民党は保守からリベラルまで幅広く含む政党であり、思想によって集まったのではなく、革新勢力に政権を取らせないために保守合同によって出来た政党ですので、そもそもが全く一つの理念だけで出来上がった政党ではありません。派閥のようなものが内部に生じるのは、歴史的に見て当然であり、必然でもあります。
さらに自民党の前身にあたる、戦前の保守系政党は1920年代に激しい政争によって市民を置き去りにし、二度の大規模テロと軍人政権の確立によって、自ら大正デモクラシーを失ってしまいました。その前から保守政党という枠組みでの「派閥っぽい組織」間抗争はあったわけです。
もう一度書きますが、戦後の自民党は、1955年に右派社会党と左派社会党が合併し巨大革新政党になったことに衝撃を受けた保守勢力が、保守系政党が政権を維持するために保守合同によって成立したものです。その内部で旧来の政党規模の派閥間の争いがあるのは、自民党の成立経緯から言えば必然です。
もっと言うと、この政党内抗争、派閥による利権分配という仕組みは、昭和の旧弊というよりも明治から続くものであり、そう簡単には無くせないでしょう。日本の政治の構造上の問題でもあり、もっと言えば、日本社会、日本史における構造上の問題ですので、ぶっちゃけて言うと絶対に無くならないはずです。
今も昔も自民党内にいる人は、自民党が巨大だからこそ政権を維持出来て、かつ自分にも利益があるということを理解しているはずです。たまに理解出来ないか、分け前に預かれない人が飛び出していって、野党として自民党批判をする側に回りますが、自民党を超える存在になった政党は2009年の民主党のみです。そしてその民主党は政権を失った後、巨大であることのメリットよりも自己主張を選んだために分裂し、ずっと野党のままです。
自民党は党内で反対勢力が生まれても、派閥という形で吸収されて離党・分党せず、党としては巨大であり続けることが政権維持上、大きなメリットを享受しています。総裁・党幹部・主流派閥に対してブーブー文句を言いつつも自民党を離れないからこそ、反主流も結果的には自民党の政権維持に貢献できているのです。
逆に主流派も無理矢理にでも反対勢力を党内から排除しきらないからこそ、自民党が巨大であり続けて政権を保持できています。この辺のことは、日本共産党の中の人には理解出来ないことなのでしょうね。
結論としては、自民党でまたいつものように派閥解消を目指す動きが出ても、派閥があるからこそ巨大政党であり続けることを理解していれば、派閥を無くすことなんてあり得ません。それが良いことか悪いことかは別にして、今度こそ派閥が無くなると思うのは、あまりにもナイーブなんじゃないかと思います。
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