その昔、電子メールは文字だけで構成されていました。もはや電子メールという言葉すら懐かしい響きがありますが、それはともかく、画像などは添付ファイルとして送信するしかありませんでした。
そして時代は流れ、HTMLメールの登場により、メール本体に画像を貼り付けて、いわゆるホームページのような多彩な表示が可能になりました。JPEGやGIF画像を載せて、文字も装飾を付けられるようになり、味気ないテキストメールと比べて格段の表現力を持つに至ったわけです。
しかし、良いものには悪い面も存在します。ゴテゴテした画像が大量に掲載されたHTMLメールはデータ量が当然ながら大きくなり、受信するにも時間がかかります。その頃主流だった、ダイアルアップ回線というインターネットに接続するのに分単位で電話料金が必要な手段を使っている一般的なユーザーにとっては、HTMLメールを無断で勝手に送りつけてくる相手は悪魔のような存在でした。
そもそも、友人や知人同士でのやり取りや、業務上の連絡であれば、メールの中身はテキストだけで事足ります。以前に買い物をしたネットショップか、登録だけしてあまり使っていないウェブサービスが送ってくるHTMLメールは、受信してもデータ食いのため嫌われる対象だったのです。
また、その頃はそもそもメールは「受信ボタンを押して溜まっていたメールをサーバから自分のパソコンにダウンロードして、1通ずつ読んでいく」ものでした。不必要なメールを受信するのにもお金がかかるのは堪えられない仕打ちなのです。
そういう状況が変わり始めたのは、2000年代前半から。
まずはインターネットの常時接続が普及していきました。そのため、受信するメールが増えても、データ量が増えてもあまり気にしなくなりました。しかし、メーラー(メールソフト)でHTMLに対応していないケースもあり(そういえば私はAL-Mailユーザーでした)、結局はあまりHTMLメールは読まれなかったです。
次いで、GoogleによるGmailのリリースと、その普及が大成功したことで、HTMLメールを受信する障害がほとんど取り除かれました。現在のHTMLメールによる弊害と言うと、スマホでモバイル回線を使う場合にデータ量が多い分だけ「ギガ」を消費してしまうくらいでしょうか。ただ、それを気にしている人は少ないでしょう。実際、HTMLメールのデータ量は今の通信事情から見れば大したことはありません。四半世紀前とは違います。
結局、当初は嫌われていたHTMLメールの問題は、技術の進歩と普及によって解決しました。解決したと言うよりは、問題自体がなし崩し的に問題ではなくなったと言った方が適切かもしれません。
テクノロジーの発展により、難題や困難が解決することはよくあります。というか、そもそもテクノロジーは困難を克服するためのものですが、前述のように関係ない方向で解決してしまうこともあるのですよね。
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