国内市場と国際競争力に求められる違い

トヨタ自動車がスズキとの提携を発表しました。

これで日本国内の大手自動車メーカーは、
トヨタ・ダイハツ・スズキ連合
日産・三菱連合
ホンダ
の3グループに大別されることになりました。

産業の発展において資本が集中した方が良い場合もあれば、分散して激しい競争が行われた方が良い場合もあります。

戦後の日本では経済復興の中、自動車産業は多くなったメーカーを政府主導で合併させたりして過度の国内競争を防ぎつつ国際競争力を付けさせて、日本を代表する輸出品目に発展しました。

また、半導体産業ではカシオとSHARPが電卓の生産と改良で激しく競争している内に、外国メーカーを大きく突き放すくらいの競争力を身につけたということもありました。

どちらにせよ、国内で寡占状態による弊害を大きくせず、かつ、国際競争力も保ち続けるのはたいていの産業で2〜5社くらいまででしょうか。

国内一社独占にして全ての資本を集中してしまえば国際競争力は非常に強くなりますが、その一方で国内市場においては競争力が働かず、消費者や下請け、あるいは労働者がその分割を食って悪い条件での取引を強制されることになります。

逆に国内市場において多くの企業が争うと、消費者にとっては選択肢が増え、下請けも取引先が増え、労働者も働き先が増えます。逆に言うと企業の方が割を食うことになり、結果として国際競争力が落ちることになります。

この辺は企業自身だけではなくて政府・官公庁でもどのように手綱を引くか悩みどころです。国内市場の競争を促す一方で、国際市場でのシェアの確保のための国際競争力を落とさないようにしないといけません。

これはサッカーのクラブチームの世界でも同じですね。国際試合で勝つためには強いチームの数を絞って有力選手を集中させた方が良いに決まっていますが、その代わり国内リーグではそれらの有力チームばかりが優勝し続けることになります。ヨーロッパでもいわゆるビッグクラブ以外がリーグ優勝することは非常に稀です。

日本のJリーグでは幸いなことに、優勝クラブは比較的ばらついている一方で、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)では2007年浦和レッズ、2008年ガンバ大阪、2017年浦和レッズ、2018年鹿島アントラーズが優勝しています。ただ、このJリーグ勢がACL優勝した年は国内リーグでは2007年〜09年鹿島アントラーズの3連覇、2017年・18年川崎フロンターレの連覇と国際試合と国内リーグでの勢力が分かれていました。言い換えると、リーグ優勝するクラブ・ACL優勝するクラブ・その他のクラブという分類が可能でした。この辺はある意味どうしようもない格差でしょう。どうしたって格差は生まれますし、その方が国際試合では良い結果が出てしまっています。

逆に事実上、国際試合が存在しないアメリカのNFLなんかは徹底的にチーム間の戦力格差が広がらないようにルール決めして、毎年のようにスーパーボウル勝者が替わります。

国内市場に閉じこもれる産業・分野はプレイヤーが乱立した方が良く、厳しい国際市場で戦うところではプレイヤーは少数の方が良い、ということです。

ここまで書いていて、ふと、日本のマスメディア産業が斜陽気味なのはインターネットによる直接的な影響だけではなく、インターネットによって強制的にグローバル化に組み込まれたことではないかと思い始めました。

日本語使用者が日本国内にほぼ限られるという特殊性もあって、テレビ・新聞・出版業界は多くのプレイヤー(テレビ局・新聞社・書店あるいは出版社)が存在して国内市場で競争してきました。しかしインターネットを含むIT革命によってその状況は変わりました。

テレビはYouTubeやネット配信メディアと、新聞はネットニュースやブログ・SNSと、出版業界はネット書店や電子書籍との激しい競争状態に陥りました。いまや、かつて多数乱立していたプレイヤーが各個撃破されていっているような状況です。それを解消し存在感を出すためには、どの業界でも合併による少数化してリソースを大きくして国際競争力を身につけることしかないと思うのですが、そんな気配はなさそうですね。

例えばTBSと日本テレビが合併するとか、産経新聞と読売新聞が合併するとか、講談社と新潮社が合併するとか、それくらいのビッグディールが起きないと今後もマスメディア産業の右肩下がりの状況は変わらないと思います。

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