これまでにもN国党は地方議会選挙や補欠選挙で同姓同名の人を立候補させる選挙手法を行ってきましたが、ついに注目度の高い東京都知事選挙でもやるようです。
有名な現職と同姓同名の人を選挙に出すことで、得票を按分させることが出来ますが絶対当選はしないですよね。戦略としては、別の名前の他の候補者が当選する可能性が高くなるわけですが、野党側も候補者を一本化できずに分裂の様相を示し、その一方で現職票も同姓同名戦略によって強制的に票が割れる状況になるので、過去に類を見ない混乱に包まれる選挙になるのでしょうか。
ネット投票を実現させるため、という理屈も掲げていますので、その点だけはまあ修辞的行動としての筋は通っていますが、だからといって賛成だという人はいない気もします。普通は政治家にとってイメージというのは大事なはずですが、イメージが悪くなっても一向に構わないというストロングスタイルのとんでもない人が出てくると、既存の暗黙の了解は意味をなさなくなってしまいます。
この同姓同名戦略について個人的にはN国党の倫理観に疑問を持たざるを得ませんが、現行法上で問題なければ罪に問うたり禁止したりは出来ません。合法的にわざと有権者の混乱を招く行為が法的に問題ないわけですから、見方を変えると選挙制度に隙があるということになります。これを機に、投票用紙に有権者が氏名を鉛筆で書く、という方式を変えるべきだという議論が出てくるかも知れません。
顔写真入りの投票用紙に印を付けるというのもアナログな対策としてはアリかも知れませんが、よく言われるように出馬した人数が多いと用紙がとてつもなく大きくなりかねません。
日本の投票用紙も、国民の高い識字率に負うところが大きいですが、果たして、同姓同名による混乱を招かないようにする方策は見つかるでしょうか? キツい言い方ですが、識字率の高さにかまけて新しい投票方法を考えてこなかった、とも言えなくはないでしょうけれど、どこかの選挙でとりあえず新しい手法を試してみましょう、というわけにもいかないですよね。その選挙の有権者にしてみれば、テストケース扱いされるわけですから。
アメリカ合衆国は歴史的に見れば早い時期に民主主義と普通選挙が実現した国ですが、そこでも投票方法が昔のまま過ぎるということで問題視されたことはありました。歴史的大接戦になった、2000年のブッシュ対ゴアの大統領選挙ですが、20年経っても選挙制度自体を改革する動きは目立ちません。この秋にあるアメリカ大統領選挙では、トランプが勝っても、バイデンが勝っても、負けた側やその支持者たちが不正選挙だと批判するでしょうね。
図らずもN国党によって既存の投票手法に問題があることが顕在化されたわけですが、今後の日本の選挙は変わるでしょうか?
なんとなく、N国党が自然消滅するのをみんな待ちそうな気がしますが、どうなるでしょうね。
コメントを残す