政治には嘘があります。これは政治不信とか批判ではなく、政治というものが根源的には人間同士の妥協の道具であって、決定的な対立を避けるためのものである以上、問題に対して100%の解決は出来ません。どこかで落とし所を見つけるのが政治であり、対立する両者が自らをだまして納得せざるを得ないのです。政治における嘘は欠くことが出来ない必要悪と言えます。
だからといって政治家がいくらでも嘘をついていいわけではなくて、その嘘の頻度と深度によります。
多分、どこの国の住民でも、自らの国や地域の政治家に対して「嘘つきだ」と思ったことがあるでしょう。それが無い方がむしろ気持ちが悪いかも知れません。
ただ、嘘をつくことによって得られるモノ・守られるモノは国ごとに様々でしょう。
日本で言えば、嘘をつかないと大きな恥をするとか、自分が所属する組織に大きな問題が生じる場合には、嘘に関する追及は甘くなります。もちろんあってはならないことではありますが。
例えば多分ロシアであれば、プーチンが嘘をつくとしたら(多分ついているでしょうけれど)、国家元首としての不可侵性とロシア国家としての国土防衛のためです。ロシアには侵略されないために周辺を侵略したり緩衝地帯にする欲望が数百年間存在します。国家元首としての尊厳もそのために存在します。
例えば多分アメリカであれば、大統領が嘘をつくとしたら(歴代の大統領のほとんどがついているでしょうけれど)、アメリカ国家としての強さを守るためとか、あるいは大統領としての国民の父っぽさを貫くためであれば認められるというか、許容される範囲が広くなるはずです。
結局、国や文化によって、何が優先されて何が軽視されるか異なります。
ただ、政治家が政治のためにつく嘘と、政治家が自分のためにつく嘘には違いがあります。自らの犯罪を守るための嘘に同情や理解を示す人はまずいないでしょう。
そうは言っても、それなりの経歴を踏んできた実力ある政治家は、政治のための嘘と自身のための嘘のボーダーラインは分かっています。そこのラインを越えない限りは、多少の訴追は受けても決定的な破滅には至りません。大物政治家でそのラインを逆から突破されたのは日本だと多分、田中角栄だけでしょう。小沢一郎もかなりやられましたが。
トランプ前大統領がこれまでついた嘘の清算が、今後のバイデン新政権の元で行われていくでしょうけれど、やり過ぎるとトランプ本人はともかく、その周辺にいた人や共和党の要人を追い詰めることになりますので、反応を見ながらある程度のところまでしか出来ないでしょうね。それこそ、バイデン陣営にとっての嘘にもなるので、結局政治からは嘘は無くせません。
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