クーデター後のミャンマーの四極構造

ミャンマーでクーデターが起き、まだ政情は予断を許しませんが、急に民主化に戻ることは少なくとも無さそうです。ASEAN諸国の介入も限定的にしか出来ないでしょうし、アメリカもいきなり軍事攻撃なんて出来るわけがありません。そうなると少なくとも国内での国民の反対運動がよっぽど激化しない限りは、軍事政権側も譲歩することはありません。

例によって中国・ロシアが安保理としての声明や制裁には乗っかりませんので、おそらくは国連総会での非難決議が国連としての最大限のアピールになるでしょうか。

欧米や周辺国の経済制裁についても、中国という大きな支援国という抜け穴がありますので、国民はともかく政権中枢は困らないでしょう。

ともかく、これでまたミャンマーは軍事政権国家に戻ってしまいました。次の民主化までまた時間がかかるかどうかが問題ですが、アウンサンスーチー女史を旗印にして民主化運動を国際社会が盛り立てるのは、少し疑問が出てきます。

昨年まで、ミャンマー政府がロヒンギャに対しての暴力・虐殺に対して彼女が責任があると言って、欧米の政府や自治体や大学や民間団体がさんざん非難していたのですが、またコロッと立場を変えて支援するのでしょうか?

ロヒンギャ問題に関しては、アウンサンスーチーという事実上の政権トップに全く責任が無いとは言いませんが、そもそもは具体的に襲撃していたのはまさにミャンマー国軍ですので、政権が国軍を制する影響力を持っていなかったのは今回のクーデターで明らかになりました。

欧米各国は、
ロヒンギャ 対 国軍&アウンサンスーチー
という見方をして彼女を批判していましたが、実際は

ロヒンギャ 対 国軍 ≠ アウンサンスーチー
という構図でした。ノットイコールのところはニアリーイコールでもあったわけです。

ただ、一番の問題は、国民の大半を占める仏教徒、特にナショナリズム性向の強い人たちがロヒンギャ弾圧を支持していることなのですが、今回のクーデターで、ロヒンギャ問題が好転するとは思えません。

国民、国軍、アウンサンスーチーら民主派、そしてロヒンギャという四極による対立構造となって複雑になりました。ミャンマー国軍が国際社会の承認を得るために、ロヒンギャ保護に走るというウルトラCがあるかも知れませんが、それをすると国民、少なくとも極端な仏教支持者の支持を失います。

まあ、たいていのクーデターは対処が難しいものです。エジプトでのクーデターでも、アラブの春後の民主的な選挙で選ばれたムスリム同胞団政権を排除するクーデターに対して、欧米諸国は黙認しましたし。

タイでのクーデターでも国際社会は落ち着いています。タイという国ではこれまで何度もクーデターが起きているからかも知れません。軍事政権が出来たとしても、急激に国民虐殺や周辺国への侵略をしない限りは軍事介入も行うわけがないので、ミャンマー軍事政権に対しても、非難声明は出してもロヒンギャ弾圧が激化しない限りは見守るしかないでしょう。

ちなみに日本でも戦前に五・一五事件や二・二六事件という、青年将校らが起こしたクーデターがありましたが、どちらもすぐに鎮圧されました。クーデターが鎮圧されたのになぜか軍事政権化したという珍しい歴史をたどりましたが、他の国でもこんなことってあるんでしょうかね。

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