
安くて良いものは基本的にはありません。基本的に商品の価格は、商品の生産・流通・販売にかかる費用を最低限まかなった上で、需要と供給の度合いにより決定されます。
高くて良いものは作る人や買う人が限られますがちゃんと存在します。高くて悪いものはぼったくりですが、残念なことに世の中には結構存在します。しかし、安くて良いものというのは何の代償も無しには存在し得ません。
もし、安くて良いものが存在するとしたら、それは誰かが我慢や不利益という形で代償を支払っているからです。
消費者、販売者、流通業者、生産者、さらにそれら業者に雇用されている者、の誰か、もしくは複数が犠牲となっています。
例えば、安くて良いものだけど、特定の機能が無いのであれば、消費者側がその特定の機能を使わないという形で我慢しています。例えば無印良品みたいな、簡素なデザインの商品ならカラーリングのラインナップが少ないという形ですね。
あるいは、安くて良いものだけれどブラック企業が極端に人件費を減らして生産しているのであれば、生産者や従業員が犠牲を払っています。もちろん違法であれば話になりませんが、日本でも技能実習生制度で調達した従業員による生産であれば、彼らが安さの源となっています。
社会問題化していますが流通、具体的には配送配達を担うトラック運転手の問題があります。高い賃金や無理なスケジュールが組まれなければ、ドライバー不足になるはずもありませんが、そうではないから問題になっています。その原因は配送費用が安く設定されているためですが、ネットショッピングで消費者と販売社が安い配送料を求めていることが直接的な理由です。
もしくは、ここ最近では一般化したフェアトレードの概念がありますが、従来型の国際取引は商品の原材料生産国の生産者が、非常に安い代金や賃金しか受け取っていないという問題があります。例えば美味しいコーヒーが安く手に入るとしたら、先進国の消費者にとってはありがたいことですが、生産国の農業従事者はその国の物価の安さ以上に安い見返りを、国際商社や現地政府に強いられています。
今、一番それが国際的に問題視されているのは、中国政府によるウイグル自治区での強制労働です。一応、中国当局はそんな実態は無いと全面的に否定しています。
日本のUNIQLOや無印良品なんかは新疆綿の問題をスルーというか欧米のブランドほど問題視は出来ないようですが、海外売上における中国市場の大きさの差があるのかも知れません。
安くて良いものが、消費者側が了解の上で我慢できる代償で提供されているのであれば良いのですが、労働力が搾取されている可能性がある商品を使用するというのは、心理的に難しいものです。
もちろん、中国政府も認めていないし国際的な裁判結果なども存在していないし、もしかしたらウイグル問題も、イラク戦争における大量破壊兵器のような根拠のない可能性だってゼロではないのでしょうけれど、ブランドイメージを犠牲にするか売上を犠牲にするか、UNIQLOも無印良品も難しい綱渡りをせざるを得ないでしょう。だからといって、新疆の代わりの綿の生産地が人権的に問題無い保証もありません。
結局は、安いものを求めすぎると誰かが犠牲になるということは、頭に留めておかないといけないのでしょう。「三方よし」は、売り手も買い手も社会も利益を享受出来る商売の在り方です。適切な値段で適切な品質の商品が適切に流通しないと出来ません。ただ安くて良いものを求めるだけだと、三方のバランスを壊すしかありません。
コメントを残す