ロシアの民間軍事会社ワグネルと、ロシア正規軍との間に険悪な雰囲気があるのは前からでしたが、最近は明らかに対立することを公言するようになりました。
ワグネル創業者のプリゴジンにしてみたら、だらしない正規軍の代わりにウクライナ戦争で頑張っているのだ、という自負がある一方で、正規軍・国防省にしてみたらあくまで民間・非正規軍であるワグネルが大きな顔をしてキャスティングボートを握るのは許さない、という建前を捨てるわけにもいきません。
プリゴジンが批判しているのはあくまでロシア軍であり、ショイグ国防相ですので、直接的なプーチン大統領批判をしていないのは、そこに踏み込んだら自分がやられることを理解しているのは間違いありません。まるで歴史物に出てくる、君側の奸を批判する家臣のような感じですが、むしろプーチンとの個人的関係性を元に民間軍事会社でのし上がったプリゴジンの方が、君側の奸に近い属性のような気がしますけれど。
ともかく、プリゴジンによるロシア軍批判は止むことがなく、その一方でロシア軍はワグネルを完全に支配下に置きたいという意向があるので、いずれは決定的な状況が訪れるでしょう。具体的に言うと、プリゴジンがプーチンの信用を得てロシア軍を命令する立場になるか、プリゴジンが立場的にも物理的にも排除されてロシア軍がワグネルを支配下に置くことになるか、どちらかです。
いずれにせよ、そのような状況になれば排除される側が黙っているわけもなく、場合によっては自分を切り捨てた大統領への反抗という手段、詰まるところクーデターに乗り出す可能性だってあるわけで、そこまでいくよりは、プーチン仲裁で対立の棚上げ先送りというのが穏当な落とし所になるのですけれど、それが出来るならこんな対立まで行かないはずです。
プーチンが悪いニュースを拒絶し、良いニュースしか聞かなくなっている、という西側報道もありましたし、ロシア軍とワグネルが対立しているということも真相を知らされていない可能性もあります。
それが正しければ、ロシア軍の優勢を信じるプーチンが和睦・停戦やましてや撤退・敗戦を認めるわけもありません。まあ、現場の苦境を知らされていないなら、核兵器使用を命令することもないでしょう。
また、現場指揮官や軍幹部にしても、プーチンがそんな状況なのに戦場の劣勢をカバーするための核兵器使用の進言などするわけもありません。現場で勝手に核使用に踏み切り、もし敗戦に至った場合は戦犯・非人道的行為として国際軍事裁判にかけられるリスクがその現場にのしかかるわけですから。
その点だけは不幸中の幸いですね。戦争継続中である以上、何の慰めにもならないといえばそうなのですが。






