アフガニスタン情勢が歴史の繰り返しになるか

アメリカ合衆国が性急にアフガニスタンから撤退したことで、タリバン政権が事実上復活することになりました。バイデン政権の判断には非難が集まっていますが、もともと撤兵を正式決定したのは前任者のトランプ前大統領ですし、さらに言うとそもそもアメリカの安保政策については歴史的に見て党派性は強くありません。

2001年の9・11同時多発テロの後に、時のブッシュ政権がアフガンへの派兵を決め、次のオバマ政権が増派した後に兵力を減らし始め、トランプ政権がアフガン撤退を決め、バイデン政権が実際に撤退した流れです。共和党→民主党→共和党→民主党と入れ替わってきましたが、それぞれ、直前の政権の安保政策少なくともアフガン問題についてはひっくり返すことは無かったわけです。

もう少しやりようはあっただろう、とは言えますし、イラン核合意はトランプもバイデンも前政権の方針をひっくり返したのですから、アフガンは何が違うのだとも言えなくはないですが、外交上の段階か、軍事行動の段階かの違いで変わるとも言えます。

ともかく、そのアメリカが抜けたことでアフガニスタンに権力の空白が発生し、そこを一気にタリバンが埋めたのですが、タリバンのみではアフガニスタンを国家として維持するのはまず無理です。これまではアメリカを中心に国際社会の支援が20年近く続いていたのですが、これが一気に無くなれば、資金も資源も食料も不足する最貧国中の最貧国になってしまいます。

テロの温床になる危険と大量の難民発生を防ぐために、アメリカは周辺の中央アジア諸国への米軍配備を目論んでいましたが、報道によるとロシアのプーチン大統領が強固に反対したそうです。ロシア及び中国の裏庭に当たる地域に相応の戦力の米軍が存在することは、プーチンも習近平も認めないでしょう。

ただ、そうなるとアフガニスタンへの支援と監視は、アメリカ憎しのロシアと中国に担われます。ソ連時代のアフガン侵攻は大失敗に終わったロシアがどこまで本気でアフガンに関わる気があるのか知りませんが、失敗に学べるならロシアの属国扱いにするのではなく、ウクライナ東部地域の未承認国家のように不安定な国家として緩衝地帯にするでしょう。旧ソ連でもダメ、今のアメリカでもダメだった地域にがっつり手を入れたら多分、メリットよりデメリットが多くなるはずです。

ロシアはこのアメリカの失政に対して、
「西欧の主義を他地域に押し付けるな」
と大上段に立っています。それは確かにそうで、ベトナムでもイラクでも失敗し、中国の富裕化が民主化をもたらすという理屈も大破綻した結果を考えるとどう考えてもプーチンのこの理屈は正しいのですが、問題はロシアもかつてアフガニスタンに共産主義を押し付けようと侵攻して失敗したことを忘れていそうなことです。

中国もこのアフガンでの混乱を、アメリカによるベトナム戦争の失態の二の舞だと鬼の首を取ったように騒いでいますが、もしベトナム戦争の繰り返しになるのだとしたら、ベトナム戦争終結後に起きた中越戦争も繰り返すんでしょうか?

あの時は、クメール・ルージュによって大虐殺が行われて滅茶苦茶になっていたカンボジアを、アメリカを撃退したベトナムが攻めたことを中国がとがめて、中越戦争が起きましたが、アフガニスタンが周辺国と揉めないとも限りません。その時、中国とロシアはどうするのでしょうか?

今のベトナムは、アメリカと協力しながら南シナ海における中国の横暴に立ちはだかっているのですが、将来的にアメリカがアフガンと協力して中国やロシアと対抗する歴史を繰り返すのでしょうか?

結局のところ、アフガニスタンにしてみればアメリカだろうとロシアだろうと中国だろうと、過度に干渉してきたら反抗するだけの話です。第一、ロシアも中国も国内の自治区におけるイスラム教徒弾圧は止む気配はありません。真剣にタリバンと信頼関係は作れないでしょう。

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