都市に広がる感染症とSNSに広がるデマ

世界中のほとんど全ての人が、常に特定の感染症の心配をし続けるという、極めて稀というか歴史上初の時代になりました。

 歴史的な経緯を考えると、人から人への感染症は当たり前ですが人々が集まって暮らすようになったことで流行するようになりました。いわば集落・都市が形成されたからこそ、感染症が流行する条件がそろうのです。

現代の先進国の都市からは想像つきませんが、古代・中世あたりまでの都市は人口密集しているために衛生面では非常に不潔な環境でした。排泄物は溝を掘って垂れ流し、密集する建物のために空気もよどみ、生活用水も一つの水源から多くの人数が使用するため、いざ感染症が広まれば歯止めがかかりませんでした。

日本では平城京や平安京のような都では貧民も貴族も天然痘や麻疹にやられました。藤原四兄弟が相次いで亡くなって、本来後継ぎではなかった藤原道長が急遽藤原氏のトップに立ちました。その後、摂政・太政大臣に就いて
「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思えば」
と唄ったことは有名です。

中世ヨーロッパでも、名高い黒死病(ペスト)は何度も流行し、その度に大きく人口を減らして、それが理由で農家の待遇改善につながり国家体制にも影響を与え、遠くはルネサンスや宗教改革にも関わりました。

それでも昔であれば人の移動は船と馬の速度が限界でしたから、原因となる細菌やウイルスの伝播速度には限界がありましたが、時代が下ると交通機関の発達によって、あっという間に世界に広まるようになりました。

1910年代末に大流行した、いわゆるスペイン風邪は第一次世界大戦の兵士が自国・地元に戻ったことで流行を広げましたが、その時代には先進国を中心に鉄道網の発達が進んでおり、知らない間に感染が広まりました。

その100年後の現代では、さらに交通は便利になり、それがために飛行機を介して世界のほぼ全ての国にまで新型コロナウイルスが広がりました。感染しても未発症の人がそれとは気づかずに移動してしまう以上、止めるのは難しいものです。

密集して生活する都市間を、人も物を行き来している現代なのですから、広がり始めたら止まりません。だからこそ、ワクチン・治療薬・行動規制・マスクなどの対策が必要になってきます。

ヒト・モノの密集と移動が感染流行の原因になります。それはウイルスだけではなくて、情報も同じことです。

高度にIT化された社会では、事実もデマもあっという間に広がります。人が密集して情報をやり取りするSNSは毎日のように「バズフィード」という流行が生まれています。バズるのは事実かデマかは関係ありません。

そう言えば、新型コロナウイルスの感染を広まる一要因に、「スーパースプレッダー」という、一人で大量の人数に感染を広めてしまう存在がありますが、新型コロナを政府の陰謀とか嘘とか主張したり、根拠のない反ワクチン論を広めたりする大元も人数は少ないそうです。

ネット上で情報が広がる仕組みと、人間社会で感染症が広まる仕組みは似ているのかも知れないですね。もしそうだとしたら誰か社会学者とかで研究してくれそうです。解明したらイグノーベル賞ものじゃないでしょうかね。

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