リスクテークする人が政府に集まると政府のリスクが増えてしまう

ものすごく大雑把に人間を2つに分けるとします。

・リスクを取って勝負する人
・リスクを避ける手堅い人

そして、その2種類の人が政府と民間の2種類の仕事に就くとしたら、自由資本主義国家であれば、民間に対する制約も抑圧も少ないため、リスクを取って大儲けしたい人は民間企業に勤めます。残る手堅い人が政府の公的な仕事に就くことになります。

逆に、共産主義国家・自由が抑圧されている国であれば民間レベルでのリスクテークの許容度は非常に低いため、ビッグになりたい人は漏れなく政府に行くことになります。そうなると政府がリスクを取って勝負することになります。

中国政府が民間での仮想通貨・暗号資産を全て禁止する命令を出し、デジタル通貨をデジタル人民元のみにすることになりました。民間レベルでのリスクテークを認めないのですから、全てのリスクは国家に掛かってきます。これが吉と出るか凶と出るか。ただ単純に、政府が把握出来ない仮想通貨の流れを一切断ち切りたいのでしょうけれど、反政府勢力の資金源になることを避けたいという思惑は誰にでも分かります。

逆に、資本主義・自由主義・民主主義国家なら、民間がリスクを取って政府が規制をかけたり緩めたりするだけです。中央銀行発行のデジタル通貨で、IT先進国だった欧米各国よりも中国が先駆けとなったのは、政府がリスクを取ることになる国家体制だったからではないかと推察します。アメリカも日本もイギリスもフランスもドイツもイタリアもカナダも、別に政府が急いでデジタル通貨を作り出さねばならない状況ではありません。

実際のところは、反政府組織対策だけではなく、中国国内の経済事情も大きいのでしょう。現金決済の割合が大きく減少してきたのは、アリババやテンセントなどの巨大IT企業の金融サービスが大きな役割を果たしていますが、シニョリッジや信用創造の甘い利益を民間に渡すのではなく、国家が全てを管理するのだという考え方は、習近平体制の方針としては腑に落ちやすいものです。

デジタル人民元による決済で国内経済が回るようになるとしたら、現金を使っていた商取引も全て政府がチェックすることが可能になります。反政府的な考えの持ち主のみならず、不正な取引や賄賂でウハウハだった政府役人や国有企業の幹部も怯えることでしょう。

公明正大ではないお金のやり取りの記録がデジタルで残るとしたら、賄賂もへったくれもありません。収賄で死刑になる国でそんなリスクは取れないでしょう。賄賂を防ぐデジタル人民元を導入した習近平同士は偉大なる主席なのだ・・・という理論に持っていけそうです。

とは言っても、最初に述べたように、民間への締め付けが厳しい国家では大儲けしたい人は役人になります。そういう人が自分の薄給に満足できなければ、不正や賄賂に手を染めるのは当然の成り行きです。鄧小平の改革開放路線で民間企業でリスクを取って大金持ちになるルートが出来上がっていたのに、そのルートを閉ざし始めた習近平体制で、リスクを取ってでも賄賂で大儲けする役人は減るどころか増えるのではないでしょうか。

なにせ、「上に政策あれば下に対策あり」ということわざがある国なのですから。

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