三すくみのウクライナ情勢

ウクライナ情勢が年末からずっと緊張感を孕んだままです。現時点では外交によって双方共になんとか衝突を避けたいと思っている状態ですが、お互いに緊張しているうちは衝突も侵攻もないでしょう。

NATO側はウクライナに対するロシアの侵攻を防ぎたい、ロシア側はウクライナがNATOに加盟することを防ぎたい、という思惑ががっぷり四つとなっていますが、落とし所が見つからなければ、ロシアから動くはずです。

まずは小規模な国境侵犯から始めるでしょう。そして抵抗が小さければ大規模侵攻に移り、抵抗が大きければ即座に退いてこれまで通りウクライナ東部の不安定化を維持しつつ、再度の侵攻を窺うことになります。

欧米、NATO側にしてみたら、小規模な国境侵犯レベルで大規模な軍事反攻や経済制裁を叩きつけるわけにもいきません。ドイツはエネルギーで首根っこ掴まれているので反対します。

もし外交レベルでの落とし所が見つかるにしても、ウクライナのNATO加盟を認めるか認めないかのただ一点です。例えば今後5年や10年、ウクライナのNATO加盟はない、という約束をするにしても、そもそも外交という国家主権を侵犯するような約束を米露間やロシア・NATO間で出来るはずもありません。

ウクライナにバレないように密約で、ということも出来ません。こんな約束は公開されていなければロシアにとっての利がなく、アメリカのバイデン後の大統領が反故にしてしまいます。

ここまでのことを思うに、プーチンの思惑通りにも見えますが、緊張状態によってウクライナが欧米に大っぴらに援助を頼む理由を作ってしまいました。クリミア奪取の時とは大きく経緯が異なります。ここでただ軍をウクライナ国境から退いたら元に戻るかというと、ウクライナのNATO加盟が一層可能性大となるだけでしょう。

カザフスタンはデモから始まった政変で完全にロシア側に付くことになりましたが、ジョージアなどあまりロシアとの関係性が良くない国が欧米・NATO側に走る可能性も高まります。

両者ともに外交も軍事も引くに引けない、かといって実力行使に出た場合の大規模な衝突になったら両者ともに不確定要素が多すぎる上に、政治・経済・軍事などのリソースが大きく失われます。お互いに相手がこのまま退いてくれることが一番良いのです。

双方共にトップに理性が保たれていて、お互いに攻めても不利だ、と思っているうちは戦争は起きません。トップというのはプーチン大統領と、ウクライナのゼレンスキー大統領です。アメリカのバイデン大統領ではありません。ゼレンスキーがこの状況に暴発しなければという話です。

ゼレンスキーはむしろ、アメリカに対してパニックになるなとなだめている側ですが、アメリカが騒ぎすぎるとウクライナ内部にそれなりに存在する親露派勢力が、余計に動きかねません。

欧米、ウクライナ、ロシアの三者が、情勢を維持することを望めばこのまま何も起きないでしょうけれど、どこかでロシアが軍隊を動かさざるを得ません。

ロシア側が譲歩して兵を退けば、ロシア国内でのプーチンの求心力が低下し、政治的な動きに加えて軍隊からの信任を失えば政権も維持できません。

欧米がウクライナのNATO加盟を認めない言質をロシアに与えれば、ウクライナで政変が起きてロシアとのつながりを求めることになるでしょう。

ウクライナは現時点ではロシアへの対抗的な軍事措置も、NATO加盟という大決断も出来ないでしょう。やったらウクライナ国土が悲惨なことになります。

こんな時に戦争など起きない、という時こそ危険ではありますが、三者三すくみでもう数ヶ月は続くのではないかと思っています。

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