国際的ポジショントークを生み出す国際交流という自衛手段

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対して、日本でもロシア非難する人が多いのですが、その一方でロシア寄りの立場を取ったり、ウクライナを批判する人もいます。

もちろん、言論も思想も自由であるべきですからそれはそれで勝手なのですが、じゃあなんでそういうポジショントークをその人がしているのかと考えると、半分くらいのケースではその人自身がロシアとのつながりがあります。

ロシアに留学していたとか、ロシアで働いていたとか、あるいはロシアと日本の間での経済的なつながりに関わっているとか、そういう人がロシア寄りの言説をするのは理屈としてはおかしくはありません。そういう立場でもロシア批判をしている人は確かにいますが、そうでない人もいます。

全てがその人の善意と良心からではなくて、その人の立場や経済的利益に基づく言動というケースはあり得ます。

そういうポジショントークそのものは、どこにでも誰にでもあり得ることですのでそのこと自体は批判するつもりはありません。むしろ日本が当事国になった時のことを考えると、日本寄りのポジショントークをする人を世界中に作っておくべきでしょう。

日本とどこかの国が揉めたときに、第三者の立場である他の国々からの日本支持を得るためには、いわゆる「日本シンパ」な人が多い方が良いのは当然です。

日本と揉めている国が実行するプロパガンダに対抗するには、日本の味方となる人たちを国外に作っておかないといけないのです。そのためには日本が日本のみに閉じこもらず外国人を差別せずに多く受け入れる一方で、日本人を外国に送り出す国際交流が一番効果的です。日本は日本だけでやっていけばいいという考え方は、孤高と言えば聞こえはいいですが、いざという時には世界中に日本の味方がない状態を作りかねません。

日本が正しければ支持する人や国はたくさんいるはず、というのはあまりにナイーブな考え方でしょう。揉め事にしろ戦争にしろ、双方自分が正しいと思っているから発生します。日本と揉める国だって自分たちが正しいと思っているはずで、係争状態になればどちらが正しいかを当事国だけでは決着することは出来ません。

その係争を軍事力で解決してはいけませんよ、というのが国連憲章に入っていたはずなのですが、常任理事国が絡む戦争においてはその憲章は無視されてきました。

いざという時に国連は役に立たない、という意見がありますが、より正確に言うと、国連が役に立つ場合と役に立たない場合があるということです。常任理事国・国連創立時の大国が絡んでいる係争案件では国連は紛争解決にあまり役に立ちません。

朝鮮戦争・ベトナム戦争・ソ連のアフガン侵攻・アメリカの911後のアフガンイラク戦争など、常任理事国が直接軍事行動を起こしている場合は常任理事国は機能せず、国連総会でもせいぜいが非難決議止まりです。

今回のウクライナ侵攻でもロシアを押しとどめようとしているのは国連ではなくNATOとアメリカの同盟国です。将来的には今回破壊されたウクライナ各所を復興させるのに国連が関与できることはあるでしょうけれど、戦争真っ只中では出来ることはほぼありません。

国際問題が起きたときに国連を頼ろうとする人と、国連など頼りにならないと切り捨てる人が出てきますが、そもそも現在の国連=国際連合は元々国際的な組織ではなく、第二次世界大戦時のUnited Nations=連合国が母体です。枢軸国に対抗する国家間の軍事同盟でしたから、連合国(米英ソ中)内部での紛争である冷戦や、連合国の一部が当事国となる各種紛争を国際連合は止めることが出来ませんでした。

今さらUnited Nationsを国際連合(国連)と訳したのが間違いだったとか言うつもりもないですが、前身の国際連盟はLeague of Nationsなのでこれは直訳に当たります。ウィルソン米大統領が提唱して国際組織として立ち上がりましたが、これもまた国家間紛争に関しては常任理事国である英仏伊日が当事国の場合は役に立ちませんでした。

国際連盟にしろ国際連合にしろ、国際組織が効果的に紛争解決に役立つのはその組織内でのトップメンバー「以外」が当事国の場合です。「国際連合」と呼んでも「連合国」と呼んでも結局は同じなのですが、「国際」と名が付くだけで国家間の上に立っている印象を日本人が持ってしまっているような気がします。

そもそも「国際」とは何でしょうか? 「国家間」ではなく「国際」と言うからには、国家同士の交際関係を意味しているはずです。

漢字源には「際」の意味がこう書かれています。

一(名)
❶あい・アヒ。
㋐二つの峰が合うところ。
㋑すき間。
❷境界。ふち。かぎ-り。きわ・キハ。「涯際」「天際」
❸〔…の〕あいだ。間柄。まじわり。人との関係。
❹〔…の〕とき。前後あい接する時間。時期。
❺ある情況が生まれる時機。
二(動)
❶出合う。めぐり合う。あ-う・ア-フ。
❷至る。達する。つづ-く。
❸まじ-わる・マジ-ハル。
㋐交合する。ふれあう。
㋑〔人と人とが〕行き来する。接する。

『国「際」』という言葉自体に、国家同士が出会い、交わり、触れ合い、行き来し合うという意味が入ります。その点が「国際連合」という言葉への幻想につながりかねないのでしょう。

「国際連合」が役に立たないとしても、「国際」交流によって日本シンパを増やすことで日本を守れるのなら、日本独歩の国粋主義よりは余程日本のためになるのではないでしょうか。

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