他社動画コンテンツそのものを宣伝するYouTubeの時代

YouTubeにはありとあらゆる動画がアップされていますが、最近よく目にする種類の動画の中に、DAZNやNetflixなど他の動画配信サービスにおける新番組の宣伝動画があります。

YouTube以外の配信サービスはたいてい有料で、その中で視聴できるコンテンツも当然ながら無料ではまず見られません。その独占コンテンツを見てもらう人、契約してくれる人を増やすための広告宣伝をするのは当然ですが、その宣伝のための短い動画やダイジェスト版をYouTubeで公開しています。

本来、YouTubeとそれら動画配信プラットフォームは紛れもなく競合他社であり、お互いがお互いのプラットフォームを利用し合うというのは不思議な話です。

TwitterやFacebookのようなSNSで宣伝するならまだ分かります。どちらもネットで時間を費やす点では同じですが、TwitterとYouTubeでは性質が違います。動画を見るためにSNSを何時間も使う人はいませんから、直接的な競合関係ではありません。しかしYouTubeの宣伝動画を見てもらった後に、そのコンテンツに似ている全く別の動画にユーザーが目移りして夢中になってしまったら、元の有料の配信サービスの方は売上利益につながりません。

YouTubeでも無数の、というかどの動画配信プラットフォームよりも多くの動画が存在して、無限に時間を消費できる存在なのですが、あえてそこで動画を上げて見てもらって、自社サービスに誘導しようとするのは今の時代ならではなのでしょう。

Netflixの新番組の宣伝動画をYouTubeにアップして、アップしましたよという内容をTwitterに書き込んで見てもらう、というのは今の時代ではよくあることですが、旧来のマスメディアに無理矢理例えれば、日本テレビの新番組のCMをフジテレビで流して、そのCM放送について朝日新聞に掲載して読んでもらうようなものです。

NHKの紅白歌合戦に関しては、出場歌手が決まったときにワイドショー各局が取り上げたりしますが、むしろその方が例外の事例です。野球やサッカーなど、試合が終わってから結果を他局のスポーツニュースが取り上げるのはもちろんありますが、それは事後の話であって事前に取り合えるのはよほどの場合です。他局のドラマやスポーツ番組をそのまま取り上げたりする事は基本的にはありえないのです。

逆に、YouTube側も他社配信サービスに誘導する動画をバンバン上げてもOKとしている方針があるわけですが、これも自社の配信サービス内から他社の配信サービスにユーザーを流出させる手助けを率先して行っているようなものです。

本来、YouTubeも動画配信プラットフォームとしては商売敵になりますが、その点はお互い気にしていないのでしょう。むしろお互いがお互いを利用してユーザーそのもののマスを増やして、双方が利益を得るという新しい商売の仕組みが生まれていると言えます。

ネット産業・ストリーミング産業が今よりももっと成熟していけば、また違う展開が生まれるかも知れませんが、今のところは当面こんな感じが続くでしょう。逆に、旧メディアが完全に置いてけぼりになっているのですよね。ラジオは比較的、他局の話のタブー視はあまり無いように感じますが。

少なくとも、同一時間帯での同一人物が他局の番組に出演するのがダメ、という暗黙の了解(自主規制)から無くしていかないと、多分今の時代感に合わない感満載だと思うのですが。

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