状況を固定化した場合のロシアの行く末

ウクライナ情勢は状況がどちらかに一気に傾くことは無さそうな雰囲気が続いていますが、そもそも日本での報道も少なくなってきました。国内の事故や事件での報道が増えてきたことによりますが、それは結局対岸の火事的な受け止め方をマスコミも日本人もしてきているのかも知れません。

どのような形で情勢が落ち着くか、いくつものシナリオを部外者に当たるメディアや研究者や専門家が語っていますが、ロシアとウクライナの双方が満足する形というのはあり得ません。どちらかが完璧に敗れるか、どちらも不満を持った状態で妥協するかのどちらかですし、まず間違いなく後者の状態になります。

ロシアがモスクワを占領されるほどの敗北などすることもあり得ませんが、ウクライナ全土をロシアが占領するほどのことも同様にあり得ません。

今のロシア、プーチン大統領がその絶望的な状況まで粘らずにどこかで諦めて、ウクライナあるいはロシア側が完全に敗北することがなく、何らかの形で合意をして状況が固定化することがあり得るでしょうか?

2022年1月時点での国境線に戻したとしても、ウクライナの破壊された施設やインフラすぐに回復出来ませんし、人的被害は回復のしようがありません。とはいえ、ロシアによる再侵攻の可能性が無くなれば、ウクライナを支持した国々からの支援もありますし、国外に避難した人もある程度は戻ってくるでしょう。それでも大変なことには変わりありませんが。

状況が厳しいのはロシアも同様で、場合によってはウクライナよりも苦難の道のりかも知れません。少なくともプーチン独裁体制が打倒されていないと、西側諸国からの資本は戻ることはあり得ません。プーチンへの反対、あるいは今回の戦争に反対して出国したロシア人、特に技術者・知識人階級のような他国でも仕事があるような人たちは、プーチンが君臨していたら戻るわけがありません。独裁者に反対する気概と能力のある人間が停戦後にいなくなっています。

さらに、ロシアがウクライナへの補償をしない限りは、西側諸国の経済制裁は続く可能性があります。西側にとっても諸刃の剣ではあるので、多少は緩むかも知れませんが、以前同様の貿易は不可能でしょう。

人的損失にしろ、経済的損失にしろ、100%失われるわけではありませんし、中国など反米勢力や、インドや南米・アフリカなど西側とも一定の距離を保っている地域とは、知識・技術交流もあれば貿易も変わらず続けられるでしょうけれど、最先端の技術をタイムラグ無しで受け取れることは難しくなります。

日本は第二次世界大戦・太平洋戦争で決定的な敗北を喫し、ロシア(ソ連)は40年余の冷戦の末に政治体制が崩壊しました。

両国のその後は最初は似ていました。

戦後日本は植民地を失い、ドッジライン、シャウプ勧告で激しく経済が落ち込んだものの、その後の朝鮮戦争による好景気で回復し、その後は西側世界で貿易を中心に高度経済成長を遂げ、世界第二位の経済大国にまでのし上がりました。

冷戦終結後のロシアも周辺の衛星国を失い、90年代後半にデフォルト、IMFによる緊縮財政で苦しみましたが、その後の資源価格高騰によりグローバル化した世界で大きな利益を上げることが出来、BRICsと称されるようになりました。

なのに日本とロシアはその後の運命が違いました。日本は自民党一党支配が続いたものの、「独裁者」は現れず、政権批判も自民批判もいくらでも出来ました。政権交代もありつつも政治は基本的には安定しています。

一方、ロシアではエリツィン時代の屈辱の混乱から、プーチンへの独裁体制を積極的もしくは消極的に支持する社会になってしまいました。それでも経済優先で国家が動いているのなら問題は無かったのでしょうけれど、偉大なロシアを復活させるという使命を掲げた政権は、ジョージア・クリミアそして今回のウクライナ奪取を目論見、そして遂に蹉跌を味わうことになりました。

ロシアは例え今回の戦争でウクライナを得られず、相応の罰を受けることになったとしても、依然として資源大国でありますし、例えプーチン大統領が失脚やあるいは何らかの形で亡くなったとしても、すぐに強権的な政治体制が崩れるとも思えません。

次の独裁者が多少は国民に考慮した体制にして、国外に逃げた技術者・知識人が戻ってきても、残っていた人たちとの軋轢は避けられないでしょう。前者は後者から見れば裏切り者、逃亡者であり、後者は前者から見ればプーチンの犬、独裁者の下僕です。

ロシアはプーチン大統領就任前の、資源輸出で大金を稼げない時代に逆戻りするか、あるいはそれ以前のもっと経済が厳しい状況に戻ってしまうかも知れません。プーチン就任後に景気が良くなり、そのロシア経済をプーチンがトドメを刺してしまったことになります。

とはいえ、完全に国家が破綻するほどにはならないでしょう。痛めつけられたロシア経済に対して、さらに痛めつけるよりは程々のところで手を差し伸べて利益を得ようとする国や大企業が手ぐすね引いて待っています。苦しみながらもある程度の資源収入は得られます。そのお金が政治家と財閥に集中することは目に見えていますけれど。

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