Amazonの電子書籍サービス、Kindleが中国市場から撤退するそうです。ストア停止から1年はダウンロード可能で、そのさらに翌年にはアプリの配信も停止するそうです。その後もずっと読み続けられるかどうかの保証はないでしょう。Kindle端末に保存しておいてネットにつながなければ、ずっと読めることは読めるでしょうけれど。
中国市場の閉鎖性、政府の圧力、市場での劣勢などもあるのでしょうけれど、外資は撤退するときは容赦なく撤退するものです。
こういうことが起きると、電子書籍サービスの将来への不確実性や、外資サービスへの不信感というものがクローズアップされますが、この点については、便利さ、豊富さ、事業の開始時期などなど、色々な理由によってKindleが優勢を保っています。
だからこそ、Amazonが日本市場からKindleサービスを閉鎖する可能性はかなり低いですが、5年10年はともかく30年50年先は誰にも分かりません。それを考えると、Kindleが日本における電子書籍業界において大きな影響力を保っているのは、日本社会・文化的にどうなのか、という考えが出てくるのは当然です。
日本国内だけでも、いくつもの出版社、IT企業などが電子書籍サービスを運営しています。それらの企業が大同団結して一つのサービスになり、各社で既に購入した電子書籍は読めるようになり、今後もその巨大な電子書籍サービスが続いていきそうな感じを出してくれるのなら、それなりにユーザーは付くと思います。
楽天のkoboは元々カナダの会社で、楽天が買収しただけですので無理でしょうけれど、日本国内市場がメインで、日本語の書籍・漫画中心のサービスなら加わる価値はあるはずです。それだけ巨大な電子書籍サービスならAmazonにも対抗できます。
出版社・書店が運営に参画しているなら、例えば紙の本を購入したら同じ本の電子書籍版も無料で手に入るなら、逆に紙の本も生き残っていけます。日本ではまだまだ紙の本のニーズが大量に存在していますが、紙の本のエコシステムそのものを破壊せずに、電子書籍のニーズも満たしていくにはこのやり方くらいしかない気がします。紙の本と電子書籍の値段設定は難しいでしょうけれど。
電子書籍が普及すれば、現行の紙の本が読めない、読みづらいという人にも恩恵があります。見た目が良いから、読みやすいからということで、小さな文字と巨大な空白が特に単行本などではデザインされていますが、年を取って老眼になると、小さな文字が読めません。老眼向きの大きな文字の本もごく一部はありますが、ごく一部でしか有りません。ほぼ全ての本を自由に文字を大きくして読むには電子書籍しかないのです。
さらに昨今では、ディスレクシアの人への配慮もあってしかるべきで、フォントも変えられる(もちろんそういう仕様にしないといけないですが)機能も電子書籍ならではです。見た目が良いから、読みやすいからということで、明朝体やゴシック体で印刷されている紙の本がほとんどですが、弱視やディスレクシアの場合は読みづらいフォントです。UDフォントに変更して読めるなら、そういうハンディを持っている人も膨大な知識にアクセス出来るようになります。
これこそ社会貢献にもなりますし、日本人が日本文化を継承していく国家戦略にもなります。
国家戦略と言えば、先日、国会図書館による絶版本の閲覧サービスが発表されました。絶版本の売買をしている古書店は困るでしょうけれど、稀覯本が手に入らなくて参考に出来なかった研究者(特に地方の)にとってはありがたいサービスなんじゃないでしょうか。
いっそのこと、国産大同団結電子書籍サービスと、国会図書館による絶版本閲覧サービスがコラボしてくれるとなおさら良いですね。そうなると色々な企業に影響が出て、独占禁止法にも引っ掛かってきそうな感じもしますけれど、文化遺産を文化の担い手自身が後世に遺していく、ということとのトレードオフとして、ある程度は認めてほしいものです。
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