片野坂ガンバと伊藤ジュビロ

8月中旬に、J1リーグの18位ジュビロ磐田、17位ガンバ大阪で相次いで監督交代がありました。

ジュビロは伊藤彰、ガンバは片野坂知宏という他クラブで良いサッカーをしているという評判のあった指導者を招聘して臨んだ2022年シーズンでしたが、どちらも前契約クラブで示したようなサッカーを構築することが出来ず、相次いで更迭される結果となってしまいました。

伊藤氏、片野坂氏ともにJリーグでのプレー経験があり、複数のクラブでのコーチ経験を経て、前者はヴァンフォーレ甲府、後者は大分トリニータで監督に就任し、そこで見せたサッカーによって、いわば「引き抜かれた」格好でしたが、開幕から成績が低迷して、クラブも解任せざるを得なくなりました。

私自身はガンバのサッカーはずっと観てきていますが他クラブはそれほどではありませんので、ジュビロ磐田での伊藤前監督がなぜ失敗したのかという考察は、他者の見当に頼らざるを得ませんが、片野坂ガンバと共通するのは主軸選手の不在(ガンバは宇佐美・東口の怪我、ジュビロはルキアンの移籍と杉本の不振)と、前のクラブではJ2やJ3で時間をかけて作ったチームをJ1では築くことが出来なかったことでしょう。

ただし、この夏のクラブによるバックアップではその2クラブは明暗分かれました。

ジュビロの補強は左SBの松原だけでしたが、ガンバの方は鈴木武蔵、食野、山本(ただし怪我)、ファンアラーノと前目の選手を補強しました。この点では、伊藤前監督は羨ましく思っていたかもしれません。

詳細なサッカー戦術について私には分析も語る言葉も持ち得ませんが、伊藤・片野坂両氏のやりたかったことというのは、十分な準備や前年までの蓄積がないクラブをJ1で勝たせるまでには短時間で叩き込めるものではなかったのでしょう。逆に言うと、この両氏へのオファーはJ1クラブからは来なくても、J2・J3からはまたあるでしょう。そしてまたトップカテゴリーに挑戦してくることを期待します。

さて、残るジュビロ磐田とガンバ大阪は、共に厳しい残留争いが続きます。監督交代後の初戦ではどちらも勝ち点を得られませんでした。残留出来るかどうかはもう現有戦力での戦いしかないわけで、解任ブーストもありません。そして残留したとしても来シーズンも理想のサッカー構築までには相当な距離があることも変わりません。

残留争いあるあるなのでしょうけれど、多くの課題を抱えるチームが残留争いしていると、一度J2に降格してやり直そう、という意見を言う人がいます。負けが込みすぎると冷静な判断ができなくなるのはしょうがないのですが、降格してやり直すと言うのは選択肢としてあるのではなく、単純な結果として突きつけられるだけのものです。自ら選ぶものではありません。

また、そもそもJ2に降格してから、1年で復帰できると思っている時点で問題があります。ガンバで言えば、2012年に降格が決まり、すぐに長谷川健太監督を招聘して攻撃力を維持しながら守備を整えてJ2優勝して復帰、そして2014年の三冠に繋がったので、降格やJ2での戦いにそこまで悪いイメージを持っていないのかも知れませんが、ガンバもJ2も10年前とは全く異なります。

リーグ最多得点&得失点差プラスで降格したガンバだったからこそ、守備の整備に専念できたとも言えますが、今の攻撃も守備もボロボロのガンバが降格してからやり直すには相当な時間とリソースが必要です。

今のJ2を新しいサッカーを構築しながら2位以内に食い込める保証などどこにもありません。J2でも時間のかかるサッカーをしていると、まかり間違えば「J2でも残留争い」をしてしまう可能性も出てきます。J2で失敗するとJ3に落ちるのです。

大分トリニータはJ1でナビスコカップ優勝した後にJ2に落ち、一度J1に復帰したもののJ2降格、そしてJ3降格したところで片野坂監督が就任したのです。

別に安易に「J2からやり直そう」と言う人なんぞいないでしょうけれど、今のJ2の混沌さと複雑さを見ると、冗談でも言う気にはなりません。

ジュビロ磐田も多分同じだと思います。ガンバよりも1回多い、2度のJ2降格を経験し、それぞれで昇格まで2年かかった磐田の方が、ガンバよりもJ2の厳しさを味わっています。

どちらのチームも、降格したらヤバいと思っている割には最終手段に踏み切るのが遅くなってしまいました。少し早めに手を打った神戸と清水が浮上しているのを見ると、「時間は有限」であり、「時間は貴重」であることを思い知らされます。

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