報道による宣伝効果と、実験による相手側の準備というお互いのジレンマ

先日の米韓合同軍事演習の際には、北朝鮮が連日連夜にわたって日本海にミサイル発射を敢行してきました。今年は近年中では一番多くミサイル実験を繰り返しているようで、コロナ禍が落ち着いたのか、落ち着いた外国からの仕送り・援助が増えたのか、はたまたロシア絡みなのか分かりませんが、日本にとって安保上の脅威であることは変わりありません。

そのミサイル発射が行われると、日本ではJアラートや各種政府機関からの情報発信が行われ、次いで外国の発表などと合わせて、各報道機関によるニュースが流されます。

テレビニュースやTwitterでのTweetにおいて、ミサイルそのものの映像は当然あるわけがないので、北朝鮮を象徴する映像や画像として、朝鮮民主主義人民共和国の国旗が風になびいている場面、金正恩の映像、あるいは軍事パレードの際の各種兵器・部隊の映像などが用いられます。

これは報道機関としては、今このニュースが北朝鮮に関するものであるということを分かりやすく報じるために使用しているのでしょうし、当然のものなのかも知れませんが、このミサイル発射における北朝鮮関連の映像が、北朝鮮の軍事力を誇示したり、あるいは脅威的な存在だという印象を、ニュースを読む・見る人に与えていることになっているような気がします。

炎上商法というと規模も悪意も桁が違いますが、似たようなものでしょうか。ミサイル発射で報道が過熱すれば、北朝鮮がそれだけ驚異的な軍事力を保持しているというイメージを意識的にも無意識的にも持つことになるでしょう。

最近、とみに増えてきた環境保護活動家の過激派が、美術品に対してそのガラスケースになぜか食べ物や飲み物をぶちまけるというパフォーマンスにも似ているでしょう。あれも、過激な(そして大して被害がない)パフォーマンスによって、世界中で報道されることが環境保護につながるのだ、という理屈で行われていて、その一方でパフォーマンスをした人物や団体が、環境保護活動の世界において「箔が付く」ことになります。

https://hrsgmb.com/n/n8680082d09de

騒ぎになることが狙いであるのなら、環境保護も炎上商法と言えますし、金正恩の思惑がまさかここにあるとは思いませんが、世界の反米国家群の中において、ひとかどの発言権を持つ材料になっているのかも知れません。

とはいえ、だからといって、一切ミサイル関連ニュースを流すな、などと言うつもりはありません。それこそ日本にとっては非常に重要な国家安全保障に関わる大問題です。無視するわけにも行きません。

「暴走族」というとかっこ良く感じる人間もいるので、「珍走団」と呼んだらどうか、というネタが昔ネットで流行りましたが、それと同じように、この北朝鮮のミサイル発射や核開発の暴走を何とか言い換えられませんかね。

そう言えば、前アメリカ大統領が「ミサイルマン」と呼んでいました。でもこれだとまだ格好良さが残ってしまっていますね。

ともかく、日本としては冷静かつ断固たる対応をし続けるしかありません。最近では、ミサイル発射のたびにJアラートの誤作動や仕様ミスなど発覚していますが、日本の国家安全保障体制の壮大なテストを現実においてやっていると割り切った方が良いのでしょうか。

ミサイル実験を行う度に、彼らにとっての仮想敵国(というか現実的に敵国なのでしょうけれど)である国々が、その対応の精度練度を高めていくのなら、結局は独裁国家のお決まりの終焉パターンにハマるのは間違いないでしょう。その時にいかにこちら側の被害を減らすかは、それこそJアラートから始まりあらゆる防衛システムの完成度にかかってきます。そのために問題点を洗い出すテストになっているのであれば良いのですが。

ミサイル発射のニュースによって、かえって北朝鮮の宣伝になってしまうというジレンマがあれば、実験を行う度に敵国側が準備を整えやすくなるというジレンマもあるのです。

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