ワールドカップでの監督による戦術の時代は終わりが近い?

今回のカタールワールドカップでは、決勝トーナメントに進出した16チームのうち、外国人監督で決勝トーナメントに行けたのは韓国のみでした。

ワールドカップ常連国、昔からある強豪国、南米・欧州の強国なら自国人監督が自国代表チームを率いて良い結果を出せるのは当然と言えば当然でしょうけれど、そうではないアメリカ・オーストラリア・日本・セネガル・モロッコといった国々が自国人監督でGLを突破したのは、サッカーの潮流の変化を意味しているかも知れません。

少なくとも、優れた戦術を持つ監督を外国から連れてきて強化するトレンドは無くなりつつあるあるのでしょう。

サッカーの戦術の進化の度合いは、年々そのスピードを速めていて、どんどん流行が変化していきます。新たな戦術を適用しようとしても、戦術を浸透させるのに代表チームは練習時間が少なすぎるし、人が入れ替わりすぎます。

クラブチームなら同じ選手たちに時間をかけて複雑な戦術でも落とし込めますが、代表では数多くの選手の中から優れた選手や調子の良い選手を試合の度に選出し、年間わずか十数日だけでやり方を浸透させなければならないのです。

集まってすぐに出来る戦術と、多くの選手がクラブチームで馴染んでいる戦術を中心として、あとはその都度、対戦相手に合わせてサブ戦術をセットするくらいで準備時間が過ぎてしまいます。

それなら、クラブチームのように長期的なプランを立てて、ある程度絞った選手層に長時間代表活動をさせれば、戦術を浸透できるということになります。実際、1994年自国開催のワールドカップでアメリカ代表は、長期間の合宿などを通して強化した結果、優勝候補のコロンビアを破り、決勝トーナメントに進出しました。

そして今回のカタール代表も、同じく自国リーグに所属する代表選手に対して代表活動期間を長く準備していることもあり、2019年のアジアカップでは日本を破って初優勝を果たし、3年後の自国開催のワールドカップでの躍進を予感させました。

しかし、ご存知の通り今大会のカタール代表は、開催国として初の3連敗に終わりました。多くの原因があっての失敗だったのでしょうけれど、一つには、現代サッカーでは、相手チームの戦術をすぐに分析して対抗するテクノロジーも誰もが使えるようになっていることもあるでしょう。

試合中に相手の選手配置ややり方をすぐに分析し、それに応じて数分単位で戦術が変わっていく時代のサッカーでは、試合中にこちらの戦術に相手が対応する前に得点を取ってしまうか、相手の戦術対応を破壊するような飛び抜けた個の力で得点するかのどちらかしかありません。日本がドイツ・スペイン相手に逆転した数分間はまさにその前者でした。メッシやエムバペは後者に当たりますね。

森保監督が選手任せで何もしていないという非難を言われるのは、この辺を最優先事項に位置づけて監督としてチームをマネジメントしているからかも知れません。勝手な想像ですが。

自らものすごい戦術を落とし込んでも、すぐに相手に対応されたらそれまでです。

ここで冒頭の話に戻りますが、戦術で代表選手を惹きつけて従わせようにも、その選手たちは欧州のクラブで代表チームよりも長い時間をかけてもっと優れた戦術で日々戦っています。代表選手を戦術で惹きつけるのではなく、その選手たちのサポートが出来る監督の方が、代表においては求められているのでしょうか。

ハリルホジッチを解任したモロッコ代表がベスト4まで進んだことは、結構重要な示唆なんじゃないでしょうか? もちろん、ハリルホジッチに人徳がないとも言いませんし、後を継いだレグラギ監督に戦術が無いと言うわけでもないのですけれど。

森保監督に戦術が無いと批判するのは勝手ですけれど、監督の仕事は戦術を編み出すことだけではないのですよね。

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