アメリカのニジェールでクーデターが発生してしばらく経ちました。
クーデターそのものは、それが倫理的に正しいとか正しくないとかは遠い日本の一般人が断罪することも出来ません。旧政権が非道な行いにより国民を弾圧して政権交代も拒んでいる場合に、じゃあどうすればいいのかという実際上の解決策は限られていますので、この世の中の全てのクーデター・革命・物理的行使を否定することも無理でしょう。
しかしながら、国連、欧米諸国、アフリカ連合や最も近い共同体である西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)のいずれもニジェールのクーデターを非難していますので、政治上はクーデターを認める国や政府は限られています。
その認める国として、ロシアがこの地域の安全保障に関与している疑いがあり、ウクライナ戦争におけるアフリカ諸国の対応にも影響が出てくるでしょう。
ニジェール近隣のマリやブルキナファソでのクーデターでも同様ですが、かつて植民地支配を行っていた旧宗主国とその親玉であるアメリカ合衆国による関与を極端に嫌う勢力が、クーデター後の実権を握っています。その政権が助けを求めるのは当然ながら中国やロシアということになります。
ウクライナ戦争に関して言うと、ニジェールのみならずアフリカの大半の国家が、
「西側諸国とロシアの戦争にアフリカを巻き込むな」
という中立的姿勢を保っています。極端に言えば、ウクライナがどうなろうとアフリカ人にとってはどうでもいいということでもあります。
ヨーロッパの国々による黒人奴隷、植民地支配による搾取と弾圧、虐殺の歴史を考えると無理からぬ対応ではあるのですけれど、軍事力で他国を消滅させようとするロシアの動向を正式に非難しないことは、過去のアフリカ侵略をも正当化する極右勢力を欧米諸国に生み出しかねないリスクもあるはずです。
ロシアはアフリカ侵略の歴史がない、ということも言われますが、19世紀末のロシアがアフリカに進出しなかったのは、ただ単に距離が遠かったのと、海軍力がそれほどでもなかったこと、国力が衰退していてアフリカどころではなかったことの方が大きく、倫理的にアフリカ侵略をしなかったというわけではないでしょう。
さすがにロシアに極端に肩入れしてウクライナ戦争に関与していくほどの国はまだありませんが、ニジェールその他クーデター後の軍事政権がロシア(あるいはワグネル)の協力の下で政権を維持しているなら、国軍をウクライナ戦争やロシア国内の防衛に派遣するようなことも、今後あり得るのかも知れません。それこそ、世界戦争の序章でしょう。
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