人材派遣を人身売買のように批判する意見があります。
まあ労働力の中抜きとしては紛れもなくそうなのですが、一応は法律的に認められている業態です。
労働基準法6条には
「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」
とありますように、本来は駄目だけど社会のため法律で認めますよ、ということです。
人材派遣業は功罪相半ばするというか、もしかしたら罪の方が大きいのかも知れませんが、派遣会社だけに罪をなすりつけるのも問題であり、根本的には労働者による労働の提供とはなんなのか。
人材派遣業について、労働者を物のように扱うとか言われますけれど、労働の対価に消費税があるのがその一因ですかね。それはあくまで税制の問題でありますが。
派遣業を擁護するつもりはないが、派遣業の隆盛によって、そもそも企業は労働をお金を払って労働者から買っているのだ、ということに気付かせた功績はあると思います。
何をどう言いつくろうと、企業は労働という商品を買って事業を行っているのです。
派遣社員だけではなく、正社員だろうとパート・アルバイトだろうと、労働の対償として給与・報酬を渡しています。
「労働市場」という言葉があるように、労働は商品です。市場に存在する商品である以上は、需給関係によって価格が決められるべきであり、質が高ければ単価も高くなります。供給量が多すぎれば価格は下がります。
その現実から目を背けて、やりがいやアットホームの言葉の下に、長時間労働やサービス残業で単価を安く、あるいはゼロ円で搾取している企業は、労働市場における原理原則を無視していると思うのですが、概してそういう企業って安売りの原資を労働力の安買いに依存しているのですよね。言い換えると、価格を下げて競争力を得るために、働く従業員の給与を安くしているということです。
労働力を提供する側も、自分の労働に値付けをするなら高くするべきで、やりがいがあるから安くていい、というのは良くないのです。多分に、企業側はそんな思いに感謝しません。
こういうことは解禁された人材派遣とか関係なくて、日本企業や日本社会の根本的な問題なんでしょうね。安い労働力に依存している企業は、労働市場における供給不足になってくると成り立たなくなるでしょう。
移民を受け入れれば、と経営陣は思っているかも知れませんけれど、本当に移民が来たい国なのかというと多分違うんじゃないですかね。しばらく前にバイデン大統領が何故か、日本を中国・ロシアと同様に移民を受け入れないゼノフォビア扱いと批判していました。さすがにそれは言い過ぎだろうと思いますが、日本は移民がすぐに馴染めない国であることは確かです。
逆に移民が上手く入ってこず、労働市場における需給によって人件費が高い方に振れていくのなら、日本の労働者にとってはいい話なのですが、企業経営者はボロクソに批判するでしょうね。時給100円理論を掲げていた某巨大アパレルの社長さんとか。今さら資本家と労働者の対決を煽る気はありませんが、そうなったらいよいよ完全に昭和から続く日本型経営が終焉を迎えることになりますかね。
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