世界が完全に二分されたら平和になるのでは?

20世紀後半を語る上で欠かせない「東西冷戦」については、これがあって良かったという人は非常に少ないと思います。むしろいたら珍しすぎますが、ただ、朝鮮戦争終結後は東西両陣営間の直接の戦争や紛争はありませんでした。内戦かつ代理戦争となったベトナム戦争はありましたが。

社会主義・共産主義陣営と民主主義・資本主義陣営に世界が分断されたとは言うものの、実際に分かれていたのはヨーロッパ・北米・東アジアだけであって、それ以外の地域は第三勢力扱いとなっていました。世界史の教科書でお馴染みのバンドン会議はアジア・アフリカ会議という名前でもあり、アフリカと極東除くアジアと南米各国は、東西冷戦時に直接的には関わりを持たないという建前がありました。

東も西も正しいとは言えない、むしろ特定の陣営に属さない非同盟こそがあるべき姿だ、という意見もあるものの、実際には非同盟諸国間でも20世紀後半にはいくつも戦争がありました。バンドン会議を推進したはずの中国とインドが中印国境紛争や、印パ戦争、イラン・イラク戦争もそうです。

また、その一方で東西陣営の片方と、非同盟国家との戦争もありました。フォークランド紛争、ソ連のアフガン侵攻もそうです。4次にわたる中東戦争も同様です。

東西陣営内での戦争が、中ソ国境紛争(ダマンスキー島事件)、ハンガリー動乱、チェコ侵攻などありましたが、いずれも大戦というほど規模は大きくありません。

もしかして、アメリカ一強の冷戦後よりも、冷戦時の東西二分時の方が平和に近かったのではないかとも思ってしまいます。もちろん実際には大小様々な戦争・紛争があったのは事実ですが、冷戦が世界の平和を脅かす、という理屈は、冷戦終結後の35年を見てきた人には納得出来るわけがありません。

現代は再び世界が欧米諸国と中国ロシアなどに二分されそうだと言われているが、完璧に二分されたらかえって平和になるかもという思いもあります。

実際、今現在、ウクライナではロシアと欧米各国の代理戦争状態でもあり、かつての朝鮮戦争のように国境を分割しての和平もあり得なくない状態です。スウェーデンが中立を捨ててNATOに加盟したように、ロシア周辺国は防備を固め、ロシアとの緊張状態が始まり、冷戦の準備が進んでいます。積極的にロシアを味方するのは、ベラルーシ、イラン、中国、北朝鮮くらいでしょうけれど、アフリカ諸国も切り崩されていて、次に起こり得る冷戦時は本当に世界が二分されるかも知れませんし、それによってかえって戦争が行いづらくなるでしょう。

ただし、冷戦に基づく平和は正しい平和だとは言いがたい。冷戦によって様々な制限や不幸も起こり得ますし、あるよりはない方が良いのは確かです。

古の賢人キケロの言う、最も正しい戦争より最も不正な平和を望むのか。不正に基づく平和を許容出来るのか。

せめて、最も不正な戦争が続く時代にはならないでほしいのですが。

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