DIC川村記念美術館が縮小するのに伴い、所有する美術品の大半を手放すというニュースがあり、日本から優れた美術品が国外に流出することへの懸念や危機感や嘆きといった感想がほうぼうから出ていました。
そして先日、ニューヨークはクリスティーズでオークションが開かれ、有名所の作品たちが落札されていきました。
https://artnewsjapan.com/article/53700
これを美術館単体の問題ではなく日本経済没落の証拠として、日本が駄目だという論法を補強するために使う人もいます。
日本経済がかつてのバブル時代と同様の熱気を帯びていたら、この美術館が放出したとしても同じく日本の美術館や好事家たちが買っていたのは間違いないでしょう。ただ、日本国内から流出したことで駄目だ駄目だというのもどうかと思います。かつて日本が買った相手の国や地域がその頃、経済的に駄目だったのでしょうか。そして数十年たった今、その相手国は消滅でもしているのでしょうか。
バブル期の日本が世界から美術品を買い漁ったのは、かなり顰蹙を買いましたけれど、今の世界的な美術品価格の高騰は、バブル期の日本の札束攻勢なんて可愛いものに思えるくらい、値上がりくらいがひどくなっています。
そもそも30年間物価上昇しなかった日本経済も問題ではありますが、将来値上がりするであろう資産として美術品を買い漁る国々の富豪が増えたことが一番の原因でしょう。
それに、美術館の苦境は日本だけの問題ではありません。
ルーブル美術館ではメンテナンスや警備の予算が取れないほど、経営状態が悪化しています。先般の大規模窃盗事件の原因でもあります。
https://artnewsjapan.com/article/21802
アメリカでは首都ワシントンD.C.に存在するフィリップス・コレクションでも大規模な所蔵品売却が議論を招いています。
https://artnewsjapan.com/article/53746
世界的なアート人気の高まりが、美術館の予算や労働環境の改善に必ずしも結びついていないことの方が問題でしょう。
日本国内における問題を、日本特有の問題と考えてしまうと、解決策が近視眼的になりそうな気がします。世界的な美術館経営や美術品高騰の目線からの解決策が出てくれば良いのですが。
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