少し前に退職代行サービスで一躍名を馳せた、モームリの社長夫婦が逮捕されましたが、去年の時点でかなり話題になっていて、あのスキームが本当ならどう考えてもアウトだろうと思っていました。ただ、見せしめ的な要素もありそうな逮捕劇だったとは思いますが。
容疑が事実だとした場合は、かなり社内の環境も結構なブラックだったんじゃないかと邪推してしまいますけれど、実際、モームリの従業員が退職代行サービスを使って退職したことがありました。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2411/11/news168.html
この時は半ば笑い話のように世間では受け入れられた感じでしたけれど、もしかしたらこの退職の理由は・・・?と思ってしまいますね。
さて、この事件を受けて、退職代行サービス自体、不要なのではないかという意見もやっぱり出てきました。退職の意思は自分で伝えろ、という道徳的なお話ですが、言い換えれば根性論に近いものがあります。
退職の意思を伝えられない環境にいる人が退職したい場合にどうしようもなくなり、どうしたらいいかも分からず、ズルズルとブラックな環境で働き続け、最終的には最悪の結末を迎えることがないように、というサービスである以上、言葉は悪いですが必要悪的な存在であって不要とは思いません。どんな環境でどんな状態の人でも自分で退職したいと言わなければならないと断ずるのは、乱暴にすぎるでしょう。
というわけで私個人としては退職代行サービスの存在自体は別に問題ないと思っています。ブラックではない企業でも使用する人がいますが、辞めたいと思う人の直属の上司や部署だけがブラックな可能性はあります。その場合は人事総務や内部監査などが調査すべきでしょうね。
さらに、企業も部署も上司もブラックではないのに退職代行サービスを使用する人もゼロではありません。ただ、そのことを理由として退職代行サービスの存在自体を否定するのも、やっぱり乱暴な議論でしょう。
情けないとかコミュ力が無いとか、断じたくなる気持ちも分かります。辞めたいと言うだけやん、と思いますけれど、それが無理な人には無理なのだから、こういう商売が急速に拡大しているのです。
とはいえ、揉めそうな職場に退職代行サービスが連絡して、予想通り揉めた場合は、弁護士を頼ることになります。その連携のところで、今回モームリがやらかしちゃったわけですが、揉めそうな職場に勤めているなら、最初から弁護士に頼ればいいのに、と思ってしまいます。
ただ、一般の労働者にとって弁護士に依頼を持っていくのは結構ハードルが高いものです。相談料も高いし。法テラスのような存在があることもあまり知られていませんし。
特定社会保険労務士の資格があれば、120万円以下の個別労働関係紛争(あっせん・調停・仲裁)において代理人となれます。訴訟そのものの代理は弁護士の専権ですが、社労士は「補佐人」として弁護士とともに裁判所へ出頭し、事実や法律上の主張・陳述が可能です。それを拡大するなりして、そもそもの最初の労働債権の交渉でも一定の金額まで特定社労士でも対応できるようにしてもいいんじゃないでしょうか。
法テラスを知らん人が社労士を頼れるのか、と言われると微妙ですし、社労士はそもそも企業ベッタリで利益相反をどうクリアするかという問題もありますが、退職代行サービスが弁護士を雇うのは大変ですけれど、社労士を雇うのはそれほど難しくないでしょう。
企業の突かれたくないところを知る社労士は多いでしょうから、結構需要ある気もします。労働法も憲法も全無視する超ブラックだと社労士では難しいでしょうが、そもそもそんなところは警察の領分ですよね。
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