憲法改正の話題になると、護憲派からは軍国主義化や侵略戦争を懸念する批判が出てきます。憲法9条があるから日本は平和なのだということはともかく、本当に改憲が実現すると他国を侵略する可能性が出てくるのでしょうか?
戦前の日本は帝国主義に基づき、資源のない国家が生き残るための植民地を獲得する目的を持って領土を広げていきました。その経緯や結果として、政党政治の崩壊、軍部特に関東軍の暴走、軍事国家化の果てにアメリカ合衆国との決定的な戦争が始まり、そして敗れて体制が変わりました。
冷戦とその崩壊後、そして今まででの戦後の75年間を経て、日本は国家戦略的にも、あるいは単なる流れ的にも、他国からの輸入品と他国への輸出品に大きく依存する国家となりました。
GDPにおける輸出金額はそれほど比率は高くありませんが、戦争によって経済活動が大きく減退し、特に輸出が滞るよりも輸入がストップする方が大きな影響があるはずです。
それは個人の生活においても、企業の生産活動においても、あるいはそもそもの戦争を仕掛ける軍隊に必要な物資においても、輸入が無ければやっていけません。
必需品の第一として誰でも簡単に挙げるのは石油です。石油がなければ多くの車両、火力発電、あるいは生活必需品の生産などが出来なくなります。例え動力・発電方法を原子力発電や自然エネルギーに切り替えるにしても時間がかかりますし、プラスチックなど石油から作られる製品そのものの問題もあります。
第一、太平洋戦争はアメリカとの対決が決定的になって石油禁輸措置を食らったことが開戦の直接の契機でした。それほどまで石油は国家の行く末を決定してしまいます。産油国で無い以上は国際社会における石油禁輸制裁は事実上の現代国家の崩壊を意味します。
それ以外にも日本は食糧自給率が低く、多くの食品を輸入しています。日本産が多くを占める卵や牛乳などにしても、鶏や牛が食べる餌はほとんど輸入に頼っています。田畑で作る穀物や野菜にしたって、肥料や農薬は原材料やそのものを輸入しています。
収穫にはトラクターなどの耕作機械が必要ですし、それを作る金属や動かすガソリンも輸入品です。食品を加工する機械も、都会まで輸送するトラックも、食品をパッケージするプラスチックも輸入が止まれば何も出来ません。
国際社会に逆らって戦争を始めるというのはそこまで覚悟しないと現代では出来ません。ロシアやイランやベネズエラが反米的でいられるのは産油国であるからでもあります。
そもそも、国連憲章では戦争は禁じられています。不戦条約があっても第二次世界大戦・太平洋戦争が起きましたが、当時の世界情勢と比べると今の時代に日本がどこかに戦争を仕掛ける可能性を論じるのは、非現実的と言わざるを得ません。
護憲派は護憲の理由をもう少し他に求めるべきではないでしょうか。
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