「おう、雄二。久しぶりだなあ」
「おう、光男。何年ぶりかな」
「俺がアメリカに転勤になる直前に会って以来だから、五年になるかな」
「もうそんなになるのか。どうだい、時間があるならそこの喫茶店で話そうぜ」
「ああ、いいよ」
「おや、その指輪。そうか、結婚したのか。水くさいぞ。連絡くらいくれよ」
「ああ、すまない。向こうで忙しかったものでね。今も向こうから日本に出張しに来てんだ」
「まあいいや。それより結婚の事、聞かせてくれよ」
「結婚したのは三年前。相手はメアリーって言うんだ。もちろんアメリカ人だよ」
「おお、国際結婚ってやつだな。やっぱ美人なのか」
「うん、俺が言うのも何だけど、そうだよ。もう子供もいる。二歳になる」
「そうか、そいつはめでたい。かなり遅いが結婚・出産祝いとしてここはおごらせてくれ。かなり安上がりだがな」
「いや、うれしいよ。ありがとう」
「ところで子供の名前は?」
「ジャクソン=光彦って言うんだ。向こうで暮らしてるし、みんなジャックと呼んでる」
「そうか。ずっとアメリカに住むつもりか?」
「ああ。ジャックもアメリカ国籍にするつもりだ」
「もう決めてるのか。何で?」
「日本国籍にすると、反抗的になりそうで……」
「その言いぐさは、日本人としてはいただけないなあ」
「だって、俺の名字『天野』だぞ」
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