国家による外国人フリーランスの保護の難しさ

国家は個人を保護し、個人は国家に義務を果たすことで両者の関係が成り立ちます。ここでいう国家は近代国家だけではなく、その地域において統治する組織を意味します。おそらくは5000年〜6000年ほど前からは統治機構が出来上がり、その地域の住民を支配してきました。

国家が国民を保護するのはその国家に貢献する人を確保するためですが、当然ながら同じ人がずっと定住して貢献し続けてくれた方が国家としては助かります。飲食店に例えれば、近隣住民が常連になってくれるようなものです。

最近は社会も経済もグローバル化したことと、ネット経由で仕事を行って収入を得ることも容易になったため、働く企業も働く場所も固定せずに移動しながらフリーランスで働く人が全世界的に増えました。

何も問題がない、平時の時には快適な労働環境でしょうし、企業側にしてみれば雇用するよりは手軽に手っ取り早く業務させることが出来るので、Win-Winの関係でもあります。国家としても、移動時にお金が動くことや他国から優れた人材が入ってくることでもあるので歓迎すべきことでしょう。

しかし、今回の新型肺炎のような、想定外の事態が起きると話は別になります。

問題発生時に国籍を持っている土地にいるのならまだしも、他国にいると公的な保護を受けるのにも困難が伴います。当然ですが、当該国政府はその国民(国籍所有者)への手当を優先させます。自国民と外国人を全く同じ扱いすると、国民からの支持を失うからです。外国人の支持を受けても政府(政治家や官僚)は自らの立場の補強にはなりません。おそらくこれはどこの国でも言えることでしょう。前述の飲食店の例で言えば、常連さんと一見さんのどっちを優遇するか、という話です。

また、同じ国民の中でも例えば日本であれば、源泉徴収によってほぼ脱税の可能性がない、いわゆるサラリーマン(もちろん女性も含みます)が税金面でも健康保険でも優遇されます。収入が安定せず、納税に手間暇がかかる個人事業主・フリーランスが割を食います(売上の少ない個人事業主なら消費税の益税がありますが)。

外国居住でも元の国にある企業(特に大企業)から出張として派遣されている人はフリーランスとは違って、元の国からの保護を企業経由でも受けることがあり得ますので、外国居住者の中ではまだマシな方でしょう。

現代社会では外国人であろうとも権利保護されてしかるべきだ、という理屈も当然ですが、いつ出ていくか分からない人・国家に継続的に貢献できない人を国家が非常事態でも保護してくれるというのはかなり厳しいでしょう。それは国家の倫理というよりも国民側の倫理観の問題だと思います。保護は監視を兼ねるものですので、監視しきれない人は保護できないという理屈になってしまいます。

もちろん、保護=監視という等式が行き過ぎてしまっているのが今の中国政府・共産党です。北朝鮮は・・・そもそも保護が出来ていない気がします。

そういうわけで、今回のような全世界的に波及し、どの国でも対処に追われる重大な問題が起きた場合、フリーランスで外国に滞在している人はかなり不便な状態に陥ることと思われます。

これをもってフリーランスや外国移住を批判するつもりはありません。人が動くことでお金も動きますし、新しい知識やアイデア、知識や能力をもたらしてくれる存在です。ただ、どの国でも同じ福祉・サービスを受けることが出来るという前提で動くべきではないでしょう。国家に対して貢献できるという能力に自信があるのなら、シンガポールのように優遇してくれる国に移住するのはありでしょうけれど、あそこはあそこで来国から来ている出稼ぎの単純労働者を「バッファー」だと公言して、経済が落ち込んだときに元の国に強制送還するくらいですから、高給を稼げるくらいの人物でないと危険でしょう。

今回の新型肺炎によって、感染拡大を防ぐためにテレワークが推奨され、オフィス以外で仕事をすることが日本でも他国でも今まで以上に広がっていくでしょう。手厚い保護が得られる企業に属する形や、国籍を持つ国で仕事をする分にはテレワークで普段仕事をしていても、いざという時でもそれなりに保護してもらえるでしょうけれど、フリーランスかつ外国移住というのは平時でないと大変なことになるんだなあ、というのが個人的な感想です。

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