
アメリカ合衆国は建国(独立)時から民主主義国家として生まれたので、王族も貴族もいません。まあ、革命を食らって追い出された他国の王族貴族が亡命状態でアメリカで余生を過ごしていることはなぜか多いですが、アメリカ生まれアメリカ育ちでアメリカの国歌における王族貴族は存在しません。
当たり前と言えば当たり前のことなのですが、その代わりにアメリカの上流階級は基本的にお金持ちです。他国の上流階級だってお金持ちですが、その国の王族貴族だって上流階級に分類されますし、必ずしも民間人の富裕層並みの資産を持っているとは限りません。
アメリカの上流階級も全員富裕層とは言えないかも知れませんが、そもそもアメリカ合衆国という国が資本主義の権化でもありますので、富裕層が社会的にも上位に当たります。清貧という思想が全く無いわけではないでしょうけれど、マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」にあるように、利益を上げて資産を蓄えることが出来ることが信仰の先にある国でもあります。富裕層になった(特に一代で)人は尊敬の対象になりますし、さらにその人が自らの財産を少なくとも表面的には惜しみなく、社会のために寄付することがさらに尊敬を集めます。
そうやって出来た最上部の階層は、いわば王制国家の貴族に比すことが出来るでしょう。セレブとしてメディアや人々に持てはやされる人達でもあります。富裕層とセレブは完全一致するわけではありませんが、貧乏なセレブは存在しません。
貴族と似ているといっても同じではありません。セレブは一代で成り上がることが出来ますが、貴族は古くから続いていることが誇りでもあり存在意義でもあります。貴族階層は庶民と入れ替わることはめったにありません。セレブは資産を失えば一気に庶民に転落です。逆にアメリカンドリームを実現させればセレブの仲間入りです。
現代社会におけるセレブは交代可能です。言い換えると資本主義的・民主主義的な貴族です。庶民層から成り上がることも庶民層に落ちぶれることもあり得ます。貴族本人は本来働きませんが、セレブは働いた結果で働かなくても良いくらいの資産を築きます。
文化的なリーダーでもあるところは貴族とセレブは似ているでしょうか。セレブの一挙手一投足がメディア(マスでもソーシャルでも)が取り上げることで他人に影響を及ぼします。
セレブは貴族と違って働きます。もちろん親のすねをかじる子どももセレブ扱いされることはありますが、その贅沢の源泉はあくまでセレブ本人が稼いだお金ですし、労働の意識がなくてもInstagramでインフルエンサーとして大量のフォロワーがいるならそれはそれで働いていると言っていいでしょう。
そういえば、アメリカには貴族がいないけれど外国大使になる人が社会的地位の高さを得られるために、著名人や実業家がなることが多いと聞いたことがあります。いわば金銭では得られない名誉職でもあるので、セレブ(富裕層)にとっては魅力的な役職なのかも知れませんね。
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