コロナウイルスと中国と清朝とモンゴル帝国

アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスの責任が中国にあるという批判を繰り広げていますが、どんなに明確な証拠があったとしても、現在の中国政府が認めるわけがありません。でっち上げなら当然認めないでしょうし、本当に事実だとしたらなおさら認めるわけにはいかないでしょう。世界的な感染による被害の損害賠償を請求されたら中国の国家予算の数十年分でも足りないくらいです。

そもそも、一つの国家が別の国家に責任を追及して、はいそうですすみませんでした、ということにはなかなかならないものです。第二次世界大戦後のような、明確な戦勝国と敗戦国に分かれるのであればともかく、単に言い合っているだけならそこからの進展はないでしょう。アメリカだって中国に新型肺炎の責任を取らせるために戦争をふっかけるところまでいくわけがありません。

「〜〜の責任を取れ」と言っても、責める側と責められる側によほどの力の差がないかぎり成立しないわけです。一つの国家の枠内であれば、唯一の合法的暴力装置である政府が裁判や行政を通じて国家内の企業や個人に責任を取らせることは可能ですが、国際社会においてはそんなことが出来ませんから、中国の責任を追及したところで、中国以外の全ての国が責める側に回らない限り無理ですし、ロシアやイランのような反米の国が擁護するでしょうから結局は何も変わらないでしょう。

しかし2000年代後半以降から、中国は国際社会において協調姿勢ではなく、対立と懐柔の二本立てであからさまに挑戦するようになりました。日本にとっては尖閣諸島問題と過去の戦争問題で責めてきますが、南シナ海での対立やチベット・ウイグル地域での弾圧、西側諸国との明らかな意見の相違や人権問題など、当面解決することがないであろう問題ばかりです。

中華人民共和国はその前の中華民国を引き継いだものであり、中華民国は清帝国を引き継いだものです。その論理を持って、南シナ海や満州、チベットやウイグルなどを含む広大な領土を所有する正当性を主張しています。

その前の清帝国は創始者のヌルハチがチンギスハンの正当なる後継者を名乗って出来たものでもあります。元王朝の末裔から引き継いだわけですが、この歴史を縮めて考えれば今の中国はモンゴル帝国(少なくとも元朝)から続いているとも言えます。

だったら日本としては、元寇(文禄の役・弘安の役)の責任を取れと今の中国共産党政府にふっかけてしまうことも出来ることになります。

それに対して今の中国は元寇の責任も無いというのなら、元朝の後継者たる清朝が支配していたウイグル・チベット地域を支配する正当性もなくなります。

元朝だけではなくモンゴル帝国がユーラシア大陸の人々に与えた暴力の責任を取らせるなら、今のロシア・ウクライナ・ポーランド・イラン・アフガニスタンあたりも訴える権利が出てきますね。実行するかどうかはともかく。

まあ、これは無茶な論理です。ただ、国家が国家の責任を追求するのはかくも難しく微妙な問題ではあります。

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