韓国は主要先進国の中で最も早く、新型コロナウイルスの封じ込めに成功したようです。まだ余談は許しませんが。
それを受けてか、日本の一部の人たちは政府にPCR検査件数を増やすように問い詰めていますが、韓国が成功したのはPCR検査が多かったことよりも、私権の制限を強力に行ったことの方が強いと思うのですが、その辺はあまり主張を聞かないですね。
韓国は北朝鮮との「休戦」状態にありますので、いつでも戦争の備えが出来ていないといけません。国民総背番号制に基づく、日本におけるマイナンバーカードがないとマスクの購入も出来ないようにしていましたし、感染が濃厚と思われる人は携帯電話の記録から行動履歴を丸裸にされてチェックされています。
また、同じく人口数千万人以上の国家では最も被害が少ない台湾でも、厳しい検疫と罰則規定で制限を設けています。そういえば、台湾も韓国も民主化してから30年程度の政府であり、どちらも隣国との軍事的緊張が70年間続いている地域です。国民も不満はあれど政府による私権の制限を受け入れています。
一方で日本では、現時点ではまだ、国家による私権の制限は行われていません。あくまで全て「自粛」や「勧告」であって、法的な強制力を伴う命令などは出ていません。道義的に非難されることを気にしなければ何でも出来る状況です。
北欧のスウェーデンでも日本と同じく、強制力を伴う措置は取られておらず、あくまで国民が自己責任の上で自粛しつつ行動しています。そのスウェーデンでも感染による死者が増えていることで近隣の国のようにロックダウンを含めて強力な措置を取るべきではないかという議論が湧き上がっていますが、日本ではそのような議論ではなく、ただただPCR検査を増やすべきとか、あるいはいつまで緊急事態宣言を延長するのかとか、パチンコ屋の営業を止めろとか、他国から見ればノンビリしているような批判しか出てきません。
ある意味、それだけ平和とも言えます。感染被害を自分のものと思えてないのかも知れません。本当に感染を恐れていれば、もっと厳しい措置を政府に要求してもおかしくないと思うのですが、直接感染拡大を防止できる法的強制力ではなくPCR検査ばかり主張しています。
個人的には、PCR検査件数はもっと増やすべきだとは思います。ただ、増やす先は感染が疑われる人への徹底的な検査であって、症状がない人も含めた希望者全員とか国民全体でPCR検査を受けさせろと言うのは暴論以外の何物でもないと思っています。
私権の制限を含めた法的な強制力によって封じ込めを図るのか、自粛レベルのお願いにとどめて緩やかな感染速度をもって集団免疫獲得を狙うのか、大きく分ければこの二つのはずですが、安倍政権も反安倍政権も、どちらの道を目指すのかはっきりとは宣言していません。どちらの側も、一つの道に進むことを主張した後に失敗した場合の責任を逃れるためのように思えます。
安倍内閣はこの新型コロナウイルスの問題で政治的リソースを使い果たして終わる、と思っていたのですが、反安倍の人たちが
「クルーズ船対応をもっと早くやれ」
「休校措置をするな」
「早く緊急事態宣言しろ」
「私権の制限はするな」
「PCR検査を増やせ」
「強制力は行使するな」
「緊急事態宣言の見通しが甘い」
「韓国を見習え」
という内部で矛盾している主張を混在させて声高に叫ぶことで、かえって反安倍勢力の主張の不透明さが際立ってしまい、逆に安倍内閣の消極的支持につながっていくかも知れません。
いわば使い果たしそうになった政治的リソースを、反対勢力が補充してくれているようなものです。もうちょっと主張を整理して、安倍内閣の言動の矛盾を突くことに集中すればいいと思うのですが、手当たり次第に噛みついた結果、自分たちの主張が矛盾してしまうことによって安倍内閣の延命に手を貸してしまいかねない状況です。
もうちょっと冷静になって主張しろと言いたくなりますが、もはや安倍内閣が倒れたら反安倍勢力の存在意義が失われるので逆に応援しているのではないか、と思ってしまうくらいお粗末な批判です。もちろん、中にはピンポイントに安倍内閣批判を適切に行っている人もいるのでしょうけれど、悲しいかな、社会は声が大きい人の主張が目立つものです。
そしてその反対勢力の内部で反対を唱えると良くて内ゲバか、悪いと強制排除されます。かつての70年安保の学生団体の成れの果ての過激派諸団体や、日本共産党内部で執行部批判が全く起きないことなどを見ていればある程度の想像はつきます。
安倍政権が日本をどのように進めていくのか分からない不安はありますが、反対勢力がさらに不安をかき立てるのは笑えないジョークですね。
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