
香港への中国共産党の締め付けに対して、欧米社会特にイギリスと関係の深い国やアメリカからの反発は非常に強いものがありました。
特にアメリカからは、中国政府に対してだけではなく中国の民衆に対して、立ち上がって共産党支配を打倒せよ!と言わんばかりの呼びかけを行っていました。まさにかつてマルクスがその著書「共産党宣言」の最後にある「万国の労働者よ、団結せよ!」という文句を思い起こしますね。
民間レベルでのプロパガンダ先進国であるアメリカから、国家レベルでのプロパガンダ先進国である中国に対して攻撃を仕掛けているようなものですが、上手く行かなさそう。中国の大半の人民は不満はあれど生活は向上しているし、そもそも民衆が団結して政府を打倒する、という革命が西洋以外、特に東アジアにおいて実行可能なのかどうかは微妙なところだと思います。自由はないけど飢え死にするわけでもないので、その辺のコントロールは共産党も間違えないでしょう。衣食住に苦しむくらいまでいけば分かりませんが。
ただ、経済戦争に持ち込まれて中国がアメリカに勝てるとも思えません。80年代の日本と同じ道を歩みそうですが、日本はアメリカの同盟国でもあるので経済以外、特に軍事的な対立などあり得ませんでしたが、中国の場合は南シナ海や台湾、尖閣諸島、インドなど多くの国と軍事上の問題を抱えているため、程々のところで両者矛を収める妥協なども出来ないでしょう。さらに悪いことに、習近平独裁・終身体制が成立した後ですので、トップを入れ替えて前任者の責任にしてしまって面子を保つようなことも出来ません。
そもそも共産党は間違いが存在しないことが大前提の組織です。中国共産党として自分たちが間違っているとは絶対に認められないません。一般的な民主主義国家では、権力の正当性は国民から選挙で選ばれたことに担保されますが、複数の政党から選挙で選ばれたわけではない共産党は、自らが正しいこと(無謬性)を権力の正当性の源としています。そのため、国内外問わず共産党への批判は正当性を揺るがすものであり、絶対に許すわけにはいかないのです。例えば、武漢地方政府のコロナウイルス対策への批判は許容出来ますが、北京の中央政府や共産党そのものへの批判・非難は認めません。もし何か逃れようのない間違いがあったとしたら、個人の責任にして処罰するしかありません。文化大革命はその最たるものでした。共産党はあくまで正しく、その中にいた個人が間違っていた、というだけの話にしてしまいます。
それが、戦争なり経済対立なりで妥協や敗北を認めざるを得ない場合、政権交代できる国なら前の政権のせいにしてしまえば自らの正当性は保てますが、今の中国では誰のせいにも出来ませんので負けを認めるくらいならとんでもないことをやりかねません。それこそ、台湾侵攻も可能性が無くはないでしょう。
対立のもう一方であるアメリカにしても盤石の体制ではありません。トランプ大統領について問題点を指摘するのも面倒になってきましたが、果たして今年の大統領選でバイデンが勝つかどうかとなるとどうかなあ・・・と思ってしまいます。
どの世論調査でもバイデンがリードしていますが、前回の選挙にもいた隠れトランプ支持層が存在しているはずです。そこを読み誤るとまたトランプが勝つでしょう。トランプがアメリカの分断を煽っているのは事実ですが、分断を生み出したわけではありません。分断されている状況がトランプ大統領を生んだのですから、その分断を無くさないとまたトランプが勝ってしまいます。ヒラリーの時と比べてバイデンが異なるところがあるのかなあ・・・と気になりますが、トランプを非難するだけでは何も変わらないでしょうね。
アメリカ国内のコロナ対策や差別問題などにおいては失策だらけですが、トランプ大統領の切り札としては大統領選に米中対立を持ち込んでしまうというネタがあります。
バイデンの次男はウクライナ疑惑だけでなく、中国企業の取締役でもあったので、米中対立のトピックを大統領選に持ち込まれると苦しくなるでしょう。
さらに、中国に対して強い大統領を演じるのであれば、いっそのこと台湾電撃訪問という特大の爆弾もあり得ます。
アメリカ大統領として歴史上初めて、台湾訪問を行い中国を牽制(どころか超弩級の挑発)を行ってセンセーショナルな大騒動を起こすことで、大統領選を米中対立の話題一色にしてしまう可能性があるのではないでしょうか。
そこまでやってしまったら中国は引くに引けませんが、最悪、アメリカの方はトランプが選挙や弾劾で大統領職を追われた後に、後任がトランプのせいにして中国への当たり方を変えることは出来るんですよね。その辺が民主主義国家の強さでもあると思います。
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