ブルームバーグがMacへのApple内製チップ搭載を報道したことで、これまでそれっぽい噂レベルだったものが確かそうなニュースレベルになってきました。
アップル、自社設計Mac用チップへの移行を今月にも発表へ-関係者
Mark Gurman
2020年6月9日 19:00 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-09/QBMZXDT0AFB401
ちょっと前に取り上げた話ですが、いよいよMacにAシリーズのSoCが搭載されることで、Macが消費者に与える価値・経験が変わってくるかも知れません。ただ、かつてのIntelチップへの切替の時ほどは混乱は無い気がします。当然、エミュレータは準備するでしょうし、今では多くのサービスがネイティブアプリだけではなくウェブサービスとしても存在しています。
というか、MacでもWindowsでもウェブブラウザ経由で使えるようなサービスはたいてい、iOSやAndroidでのアプリがありますし、スマホ・タブレットで利用する方が多いはずです。
今でもそういったモバイルデバイスではなくMacやWindowsなどのパソコンで行う作業というのは、パフォーマンスの問題というよりも、モバイルデバイスではやりづらい内容だと思います。
端的に言うと、ファイルの存在を意識しながらする作業です。以前、ファイルとアプリの考え方の違いについてnoteに書きましたが、
https://hrsgmb.com/n/n607a5c966369
パソコンとモバイルデバイスの違い、言い換えるとWindows・macOSとAndroid・iOSの一番の大きな違いはここにあると思います。
ファイル志向で動くパソコンと、アプリ志向で動くモバイルデバイスの違いでもあります。そして、MacがArmアーキテクチャのチップを搭載することで、ハードウェア的にはアプリオリエンテッド(サービスオリエンテッド)にしやすくなるのでしょうけれど、まだまだOSレベルではファイルオリエンテッドだと思いますが、macOSも変わっていくのでしょうか?
上記noteにも書きましたが、WindowsもArmアーキテクチャにチャレンジしています。現行機種としては、MicrosoftのSurface Pro Xがありますが、使い勝手はどうなんでしょうね。パソコンとモバイルデバイスの融合っぽく見せて、どっちつかずになるという良くあるパターンになりそうな気がするのですが。
Surface Pro X
https://www.microsoft.com/ja-jp/p/surface-pro-x/8vdnrp2m6hhc?activetab=overview
MicrosoftもAppleもOSをファイル志向からアプリ志向に移行出来るのでしょうか?
というか、そもそもIntelチップからArmアーキテクチャに移行するメリットがコンシューマー側にはあまり無い気がします。消費電力が減ることで利用時間が延びたり軽く出来たりするでしょうけれど、デスクトップマシンではあまり意味がありません。Intelが最新の技術開発で後れを取ったことが理由とも言われていますが、そこまで一般消費者が求めているのだろうか、という疑問もあります。
AppleにはMacとiPad、あるいはmacOSとiOSを融合させてしまうメリットは存在します。OS開発やハードウェアの部品調達で費用を下げて利益率を上げるため、というのは分かりやすいです。しかし、Windows側の方ではそもそもArmアーキテクチャに賭けるメリットがありません。
PCメーカーにとってはIntelがダメならArmではなくAMDから調達すればいいですし、OSも同じWindowsが使えます。Arm用Windowsは市販されていませんし、出来ないこともあるのでそのサポート費用も馬鹿にならないでしょう。
Surfaceを出しているMicrosoftにとってもあまりメリットがないように思えます。というか、もはやMicrosoftもコンシューマー市場にあまり魅力を感じていないのではないでしょうか。バルマーCEO時代はモバイル化・クラウド化に出遅れましたが、ナデラCEOになってモバイルのWindowsPhoneには見切りを付ける一方で、クラウドでは見事な立ち直りを見せました。AzureとOffice365(つい最近、Microsoft365に改称)で利益の半分をたたき出しています。もはやWindowsはMicrosoftの利益の源泉とは言えません。
もちろん、Windowsがあるからその他のMicrosoftのサービスも利用されているとも言えますが、Windows10になってからはアップグレード費用を取らないことを明言し、年2回の大型アップデートでどんどん機能を追加していっています。Windows10がWindowsの最終形であるのでしょう。少なくとも、Windowsはみんながつかってくれたらいいな、という感じなんでしょうね。その上で、サブスクリプションのOfficeソフトの利用とか、あるいは企業がAzureを使ってくれれば良いのでしょう。
Appleは元々ハードウェア企業です。自社サービスは自社製品を売るためのものだったのですが、世界的にSpotifyと一騎打ちになってきたAppleMusicや、iOSアプリ販売での手数料も結構稼げるようになってきました。ただ、どちらもApple製品が前提のサービス(AppleMusicをAndroidやWindowsで使うのもまあまあ変態だと思います)ですので、やっぱりハードウェアを売ってなんぼの企業です。そのAppleが、Intelチップから内製チップに切り替えるのは、利益率を考えたら当然ですし、逆にMicrosoftはそういったメリットがないのだから多分、Intelチップというかx86アーキテクチャを使い続けるでしょう。そして両社の交点はブラウザ上で利用出来るクラウドサービスになります。
最終的に一般人のIT利用は、ハードウェアやOSの志向を考えずに使えるウェブサービスに収斂されていくのだと思います。