平繁無忙の何でも書くブログ

  • 野党やリベラルが果たすべきは正義の主張ではなく選挙で勝つことのはず

    コロナウイルス騒ぎの中、検察庁の定年延長問題は今期中の法案成立断念から当の黒川検事長の賭け麻雀問題が出てきて辞職したという怒濤の展開となりました。ニュースバリューとしてはあっという間に終息しそうです。

    今回の黒川検事長の賭け麻雀問題は新聞記者が関わっていましたが、記者に厳正な処分は下ったのでしょうか? 謝罪のコメントはあったと思いますが、確か懲戒免職にはなっていないようです。軽率だったと言っていますが、さすがに上司もある程度承知の上だったのかとも思ってしまいます。ニュースを聞いてかつての西山事件を思い出しました。

    肝心の法案が見送りになったことと合わせて、政権もマスコミも無かったこと扱いに近いような状況になりそうです。そもそも見送りになってからこんな爆弾ネタが公表される時点で、政府とマスコミのどこかの部分では始めから折り合いがついていたはずです。知らぬは素人ばかりなり、といったところでしょうか。

    黒川氏の方がどこまで理解していたか分かりませんが、記者の方は取材対象が麻雀の面子不足で困っているところを助ければ、取材のネタをもらえるかもという気持ちがあったのでしょう。となると、賭け麻雀の負けのツケを、検察が扱っている事件の裏情報のリークというかたちで清算していたのではないか、という疑念を持ってしまいますが、その辺はマスコミも突っ込まないのですかね。朝日や産経の過去の検察からのリークを調べるべきだと思うのですが。

    つまるところ、このような密接な形での取材対象への潜り込みはどのマスコミもどの記者も、逆に対象者側の政治家・幹部官僚・財界人などでは良くある話なのでしょう。

    第一、新聞社もテレビ局も散々政権を批判しながら、それぞれの経営トップクラスは歴代首相としばしば会食やらなんやらで関係を保ち続けてきました。決定的に政府と対立するメディアなんて赤旗くらいじゃないでしょうか。記者クラブの存在も含めて、批判しつつも双方織り込み済みでの出来レースでもあるわけです。記者クラブに入り込めない雑誌の方がしばしばエグいネタを扱いますし、新聞記者が自社で扱えないネタを週刊誌など記者クラブ外のメディアにリークするのもよくあることです。そうやって日本の政治と報道は成り立ってきました。今回の賭け麻雀問題もそれが表面化しただけで、何かが悪化したわけでもないのでしょう。

    はっきり言えば、検察庁法改正問題も賭け麻雀問題も政府とマスコミの関係も今も昔も特に変わっていないようです。

    インテリ・リベラル・エスタブリッシュメントな著名人が検察庁法改正案への反対を表明して大きな流れとなり政権にダメージを与えた!とマスコミは取り上げますが、そもそも、同じようなことは安倍内閣の8年間でずっと続いてきました。マスメディアや一部のネットでの批判がどれほど強くても、国政選挙で安倍政権が勝ち続けてきました。モリカケ問題も安保関連法案も選挙ではネガティブには大して影響しませんでした。

    結局のところ、現在の有権者は、自分の生活に関わらない問題に関してはどうでもいいのです。多分、メディアもそれは分かっています。野党とマスメディアの主張を鵜呑みにする人たちだけが踊らされる状況がずっと続いています。そしてそれは日本だけではなくアメリカでも同じでした。だからこそのトランプ大統領就任という、リベラルにとってのサプライズが生まれました。

    アメリカのリベラル勢力がそれを分かっているかどうか分かりませんが、バイデンはバックグラウンドがヒラリーと大差ないので、多分トランプ大統領が勝つでしょう。そして日本のリベラルはどうか。

    安倍首相が自民党総裁選挙でが4選を目指すのかどうかはまだ分かりませんが、もし継続するとしたら次の衆院選でこの検察庁法改正案やら賭け麻雀問題やらの責任問題を持ち出しても野党は負けます。選挙に影響はありません。

    今回の法案は、与党にとってははっきり言うと政権の生命を賭けてでも強行採決するほどの重要性がなかったから見送られていたわけで、やろうと思えば強行採決で乗り切れます。それを防ぐにはツイート数が何百万もあっても意味がありません。結局、国政選挙で勝つしかないのです。そしてその選挙に勝つには有権者の投票を得ないといけないのであって、リベラルの人たちが自分が思う正義を主張しても有権者の投票にはつながらないのです。選挙で勝って政権を取ってから正義を実行するしかないのです。

    選挙で勝つには今の有権者が必要と思っている、ウイルス対策と経済復旧を行うしかありません。消費税増税は安倍内閣にダメージがあり、そこをつくのがポイントだと思いますが、経済対策としての消費税減税案は有権者に響かないでしょう。それはお金を使う人が得をするものであり、有権者の大半にはピンとこないはずです。

    また、多くの野党が言い続けている財政再建も選挙対策としてはしばらくは封じるしかありません。財政再建のための支出削減と、国民生活の安定のための各種給付金は真っ向から対立する概念です。安倍政権の国民給付が足りないとか遅いとか言う以上は、財政再建を後回しにせざるを得ません。給付を増やして財政赤字を減らせというような矛盾した主張を掲げ続けるのはある意味、有権者を馬鹿にしているとも言えます。

    野党にしろリベラルにしろ、次の国政選挙、特に衆院選で勝つことでしか自分たちの正義を実行することは出来ません。遅くとも来年秋には実施されます。そこに最大限の労力を持っていくべきであって、ツイート数とかはどうでも良い話です。選挙で勝つつもりがない、あるいは既に諦めているのであればツイート数くらいしか言えないのかも知れませんが。まさかそんなことはないですよね?

  • 回線分散というリスクヘッジ

    今や携帯電話(スマートフォン)は通信手段だけではなく、遊び、勉強や仕事などにも欠かせないものとなりました。それを支える携帯電話回線(モバイル通信回線)はもはや社会的に重要なインフラでもあります。

    それだけに、通信回線を提供している各キャリア(docomo、au、SoftBank、楽天)は会社の利益だけではなく、社会的利益を支える存在でもあり、総務省の認可を得て周波数帯を使用しているわけですから国民に対しても重要な責任があります。

    だからこそ、通信回線のトラブルが発生すると重大な問題になり、IT系のニュースだけではなく一般のニュースでも取り上げられるほどです。もちろん人間のやることですからミスもありますし、機械は壊れるときには黙って突然壊れます。事前のチェックで壊れそうな状態を見つけられれば交換できるでしょうけれど、100%の稼働のためにチェックや交換の頻度を高めると、結局は利用者の料金に跳ね返ってきます。100%ではなく99%にするだけで、相当な費用節減になります。その代わり、利用者側は年に数回の通信障害は我慢しなくてはなりません。

    稼働率と料金の費用対効果を見極めて各キャリアは事業を展開しているので、絶対障害が起きないと断言できる通信会社は存在しません。その一方で障害が発生しても何日も続くこともありません。数時間から十数時間あればまず復旧します。利用者はその間の対策を立てていればいいわけです。

    自分が使用している通信回線が使えない状態になったとき、無線LANがつながっている状態であれば連絡の取りようはあります。回線交換方式での通話が出来なくても、メールやSNSでやり取り出来ればたいていの問題はなくなるでしょうし、直接話したければLINEなりZoomなり、通信速度さえあれば何とかなります。

    無線LANもつながらない状況ですとお手上げになってしまいますが、仕事や家族との連絡を欠かせないような人は、そのためのバックアップ回線を考えておいた方が良いでしょう。手っ取り早くて普段から便利なのはモバイルルータでしょうね。モバイルルータの方で月々の通信容量に余裕があるなら、メイン回線の料金プランを安く設定することも可能でしょう。

    モバイルルータは必要ないし、バックアップ回線はいざという時だけでいいという使い方をしたければ、MVNOの契約を出来るだけ安くすることでしょうね。

    昔と違い、今ではMVNOの存在で複数の回線をバックアップとして契約するハードルが下がりました。MNOである携帯キャリア本体と契約してそれをバックアップ回線とするのは、お金持ちならともかく庶民には厳しいものがあります。メイン回線が障害で使えないのは年間でも丸1日もありません。そのために毎月数千円も払いたくないのは当然です。

    そこでMVNOで、速度は遅いけど数百円のプランで契約してしまえばいいのです。それを持っておけば、メイン回線が障害で使えないときに、速度が遅くてもメール・SNSでの連絡だけは充分可能です。

    MVNOであればdocomo・au・SoftBankの全ての回線を準備しても大した金額にはなりません。さすがに同一時間帯に複数のキャリアが障害を起こす可能性はかなり低いですので自己満足にしかなりませんが。

    ここで注意しないといけないのは、MVNOの業者も分散させることです。一つの会社でdocomo・au・SoftBankの3種類あるいはどれか2種類を扱っているところも結構ありますが、一つの会社で複数の回線を契約していると、その会社の設備内で障害が発生したときに全部使えなくなってしまいます。

    楽天モバイルは現在無料で使えますので、楽天モバイルをメイン回線として、後はdocomoかSoftBankの安いMVNO回線(数百円からあります)をバックアップとして準備しておけば充分じゃないでしょうか。

  • MNOの新規事業者がもっと出てくるかも?

    楽天モバイルの利用者にとっての目玉は月々2,980円で電話・SMS・ネット回線使い放題というサービスですが、携帯回線事業者としてはネットワーク仮想化という特徴があります。

    私自身は全くの素人ですので、これがどれくらいすごいことなのか、逆にすごくないのかということは分かりませんが、素人なりに考えると、アンテナ・基地局とネットワーク機器、そしてその間の光ファイバーを準備できたら通信事業者(MNO)として稼働できることになるのでしょうか。

    もちろん認可だの工事だの相当な苦労があるはずですが、携帯電話事業を始めるハードルが以前よりは低くなったのは間違いないでしょう。

    楽天モバイルが正式稼働して1ヶ月と少し経ちました。私自身も使い始めて1ヶ月ほど使っていますが、トラブルには遭遇していません。電話の音声が聞こえづらいことはありましたが、最近はそれもなくなりました。移動中も電波がつながらないことも無かったです。KDDIとのローミング切替もスムーズな感じがします。ネットでの不評の大半は楽天本体のアンテナが少ないことのようですので、これは時間をかけて設置していけば解決する問題です。

    携帯のアンテナを立てるのも、設置場所の地主のOKが出れば即設置、というわけにはいきません。周辺に既にあるはずの他社のアンテナと電波干渉しないように設置する必要があるそうですので、後発組みはその点が難しいですよね。SoftBankも業界参入後、電波が悪いということはよく言われていました。だからこそ既に基地局を抱えていたイーモバイルやウィルコムを買収したということもあると思います。

    携帯各社がそれぞれに基地局を設置していくのもある意味、無駄が多いでしょう。この地域ではこの場所に設置するのが一番良いけれど、そこは取られているのでその近くに設置したために、お互いに干渉して通信速度が出なくなったら本末転倒です。基地局を共同で利用しようという動きとか、あるいは逆に、全く別の会社が設置した基地局を複数のキャリアが利用する、ということも出てくるはずです。

    実際、基地局インフラを共同利用させる事業を行う企業も出てきています。

    携帯大手が自前主義捨て基地局をシェア?「5G」めぐる大量増設で
    https://diamond.jp/articles/-/183685

    鉄塔設備はそもそも建てるのも大変ですけれど、電波干渉さえクリア出来れば、コンビニや薬局などのチェーン店とか、マンションやアパートを抱えている不動産会社や建設大手とかが基地局を建ててキャリアに貸すということもあるかも知れません。

    それこそ、IIJのような現在フルMVNOをやっているところが、MNOを始めたりすることもあり得なくもないのではないかと思います。さらに、そのIIJはeSIMも取り扱っていますが、物理的にSIMの郵送もしないeSIMオンリーのMNOなんかもあり得ます。

    自社アンテナは持っていない、ネットワークも仮想化している、eSIMだけ扱うので送付するものもない、利用者と携帯事業者がオンラインだけのやり取りで完結してしまうようなMNOも出てくるのでしょうか。

    まあ妄想はいくらでもできますが、実際にそこまで乗り出して来るにはかなりの技術や人的資源が、量も質も必要でしょうし、90年代のような携帯事業者の戦国時代の再来とまではならないでしょうね。そう考えると楽天モバイルがこの時期に業界に乗り込んできたのはすごいことなんだなとも思います。

  • ArmアーキテクチャのPCという繰り返される挑戦

    AppleはiPhoneなどのiOSデバイスに搭載されている、AシリーズのSoCを用いたMacBookを開発しているのではないか、という噂が少し前に流れました。

    一般的にパソコン(WindowsやMac)で使用されているCPUはx86アーキテクチャとか言われるもので、スマートフォンやタブレットで使われているArmアーキテクチャとは全く異なるものです。

    Armアーキテクチャの方が省電力とかでもありますし、IntelのCPU開発も一時期停滞していたそうですので、そういった事情に加えて利益率を高める施策として、AppleとしてはAシリーズをMacに搭載したいのでしょうか。

    かつてAppleはIntelのCPUではなく、PowerPCと呼ばれるCPUをMacに搭載していました。2006年にCore DuoやCore 2 Duoに乗り換えてからはずっとIntelのCPUだけ利用してきましたが、ここでAシリーズのCPU(というかSoC)に移ってしまうと、BootCampは使えなくなるのは確実ですね。Parallel DesktopなどのmacOS上で動く仮想環境はどうなるんでしょうかね。

    そういえば、WindowsのSurfaceにもArmのCPUを載せた製品があります。全く受けなかったSurfaceRT、Surface2の後継に当たりますが、それらとは違いx86エミュレータを積んでいるのでソフトウェア資産が使えないということはないのですが、32ビットアプリしかエミュレート出来ないそうです。それはそれでなんじゃそらと言いたくなりますが、速度的に無理なんでしょうか。

    Appleはかつて、PowerPC搭載のMacからIntelのCPU搭載のMacに移行したときには、旧来のソフトウェアを使えるエミュレータを出していましたが、今回もそのようなものを出すのは間違いないでしょう。使い物になるかどうかは分かりませんが。

    Web2.0そしてクラウド化の流れが進んで、パソコン上ではたいていのウェブサービスは専用アプリケーションではなくブラウザ上で動作できるようになりました。ただ、負荷が大きいソフトウェアなどはブラウザ上ではなく、あくまでネイティブアプリが未だに利用されています。

    ソフトウェアサービスのクラウド化が中途半端なまま、AppleもMicrosoftもArmアーキテクチャの方に乗り出していくと、x86のソフトウェアは全てエミュレータ上で動かす時代が来るのでしょうかね。そうはさせじとIntelが猛烈な巻き返しをするのは確実でしょう。自社利益に直結するAppleは移行すると決めたら完全にArmアーキテクチャに移行するでしょうけれど、Windowsは過去の膨大なソフトウェア資産を利用出来ることが大きな利点でもあるので、そう簡単には完全移行出来ないでしょう。

    一番あり得る未来としては、AppleはArmアーキテクチャに移行して、WindowsはMicrosoftがArm搭載端末を再び諦める、ということかも知れません。

  • 巨大IT企業の本体事業

    今回の新型コロナウイルスにより、在宅勤務、テレワークを導入した多くの企業でオンライン会議を実施したり、あるいは学校や塾などの教育機関でもネット経由での授業をするようになりました。

    そこで利用されたのがZoomです。無料で40分は誰でも使えることもあり、利用のしやすさや動作の軽さなどもあって、世界中でものすごい勢いで利用者が増えました。セキュリティの問題で非難を浴び、Zoom禁止という動きもありましたが、逆に言うとセキュリティをそれほど気にしなくて良いようなビデオ通話であればZoomで充分ということでもあります。

    そんなZoomの急成長に呼応するように、多くのIT企業がオンラインミーティングサービスをリリースしたり改修したり、あるいは無料で提供ということを始めました。Microsoft、Facebook、Googleといったソフトウェアやウェブメインの企業が次々と発表しました。

    しかし、Appleはやらないですね。自社端末同士で使えるFacetimeという機能を持っていますがあくまで自社端末のためのサービスなのでしょう。Appleは本質的にはハード屋さんですね。MacやiPhoneなどを売ってそれを使う中でサービスでも稼ぐというビジネスです。AppleMusicはAndroidやWindowsでも使えますが、それらの利用者がApple端末を全く持っていないという状況も相当レアケースでしょう。

    Amazonも特にしてないですね。元々はネットショッピング(特に書籍)で始まり、その後AWSが大成功したサーバ提供事業者でもあります。Amazonも音楽、動画、電子書籍などのコンテンツ配信は行いますが、ソフトウェア・ウェブサービスそのものを提供して儲けるという考えは希薄なのかも知れません

    巨大化した企業はITに限らず、多くの分野に進出します。元々の事業に付随する分野でさらに売上利益を増やすこともあれば、リスク分散のために全く異なる分野に乗り出すということもあります。

    しかし、こういった危機においてその企業が元々何で成り立っているか、ということが分かるかも知れません。危機の時に本質が現れる、みたいなことはよく言いますが、こういった見方も出来るのではないでしょうか。

  • 移民がCEOになる国となれない国

    現在、MicrosoftとGoogleのCEOはインド出身のアメリカ人であることはどれくらい知られているのでしょうか。

    どちらも創業者のの印象が強いですが、既にCEOはインド系アメリカ人が担当しています。Microsoftはサティア・ナデラ、Googleはサンダー・ピチャイという人物です。

    奇しくも、ソフトウェア・ウェブサービスの最大手とも言えるこの2社のCEOがインド出身者であることは偶然なのでしょうか? そしてそのことをもって、インド人はすごいなあと感心するか、巨大IT企業でCEOを出来るほどの頭脳がインド国内で生かせず流出してしまっていると嘆くかどちらでしょうか?

    世間ではインド人は数学に強いと言われがちですが、ある意味当たっている一方で人口が多いのに社会階層が固定化されてしまっているがために、成り上がるためには外国に行く必要があるとも言えるでしょう。

    その一方で、言うまでもなくアメリカ合衆国は移民の国です。国の成り立ちから移民が作ったものですし、その後も継続的に移民を受け入れ続けて巨大化し、世界一の超大国となりました。移民やその子孫が繁栄を築いてきました。今でも、学問・経済・文化などで世界中から優れた人材を集め続けています。見方を変えると、集めた分は世界の他の国が人材不足に陥っているわけです。

    アメリカにしてみれば、世界中から人材を集めることで、新たなイノベーションを起こして国力を大きくして超大国の地位を保ち続けていることになります。

    翻って日本では外国のトップクラスの国際的大企業でCEOになるような人がいない上に、日本企業で社長をする外国人もなかなか上手く行きません。日産やオリンパスではいろいろありましたね。

    そんな日本がアメリカと20世紀に二度、覇権をかけて挑んだが負けたのもある意味当然かも知れません。資源が無いということに加えて人材供給も国内に限られています。

    だからといって、そのままアメリカのような移民国家になるべきとは思いません。それぞれの国にはそれぞれの歴史があります。少なくとも日本は近代国家として成立したときには「日本人」という枠組みの中で国家を作ったのであり、明治政府が令和の時代でも形を変えながら継続しています。日本国という枠組みは基本的には変わっていません。

    さて、そんなアメリカにまた覇権をかけて挑む国が出てきました。言うまでもなく中国のことですが、日本のように敗れるのか、それとも超大国の地位を奪うのか。

    中国は領土も人口も巨大ですが、多様性ではアメリカに負けます。漢民族と一口に言っても実は中身は様々(客家は有名ですね)ですが、それこそ外国出身の移民がアリババやHUAWEIのCEOになれるでしょうか?
    それでも人口が多いから多様性を確保できるはずですが、政策として多様性を否定しています。

    都市戸籍を持たないと教育面では大きなハンデになりますので、この時点で人口の多さのメリットが大きく損なわれます。

    その上、多様性の源でもある民族・人種・文化が異なる自治区のウイグル・チベット・内モンゴルでも弾圧によって、政府・共産党に従順な人しか大きな出世は見込めません。これでは社会全体を大きく引っ張っていくような原動力となる多様性を確保しないことになります。結果として中国は、優れた人材を国外だけではなく国内からも登用出来ません。

    しばらくの間はアメリカは中国の挑戦に苦しむでしょうし、短期的には敗北することもあるかも知れませんが、最終的には中国が敗れると個人的には思っています。

    アメリカの問題点はトランプ大統領のような保守の名を借りた移民否定派が出てくることですが、そこでもアメリカの国家のフェイルセーフ機構が機能します。トランプ大統領は最長でも8年しか任期がありません。強制的に国家のトップが変わります。間違った道に一方的に進まないようになっています。

    一方、中国では以前は国家主席の任期は最長10年でしたが、変更してしまいました。習近平が終身で国家主席をこの後もずっと務めるはずですが、これによって間違った方向性を修正出来なくなります。変更したら過去の自分を否定することになり、今の自分が間違っている可能性を部下や国民に示してしまうことになります。国家元首の在り方でも、中国はアメリカに勝てないでしょう。

  • ソリューションビジネスを掲げるITスタートアップは本当に解決をもたらすのか?

    ウォールストリートジャーナルにこんな記事がありました。

    料理宅配サービス、需要急増でもなぜ儲からない
    https://jp.wsj.com/articles/SB12076302647651404700904586382963218056764
    コロナ特需もコスト増加で利益は縮小

    特需が起きても儲からないビジネスはそもそもビジネスではなくて慈善事業といった方が近い気がします。じゃあその赤字を誰が負担しているのかといえば、多額のお金を突っ込んでいる出資者、Uberで言えばSoftBankのビジョンファンドです。

    日本のSoftBankの携帯利用者が支払ったお金の一部が回り回ってUberの配達員の報酬に補填されているとも言えなくもないということになります。

    じゃあそもそもなんでこんな赤字前提の状況が常態化しているのかと突っ込みたくもなります。記事中にはマーケティング費用や配達員確保のための報酬にも費やしているとあります。しかし、こういった料理宅配サービスの根本的な問題は、そもそも画期的な商売ではないということです。

    同じく記事中にありますが、飲食店側もわざわざ宅配サービスに多額の手数料を費やすよりも自前の配達員を抱えていた方が良いかもしれないと思い始めています。

    このサービスにはそもそもイノベーションは存在していません。ただ単に中抜きしているだけです。ITを用いて中抜きがやりやすくなっただけの話であり、参入障壁はゼロに近い業界です。同じくビジョンファンドが失敗したウィーワークも同様ですが、買収や合併でシェアを独占して利益率を上げようとしても、またすぐに中小の新企業が出てきて利益を奪われることが目に見えています。

    ITスタートアップが社会問題の解決というよりは、社会問題の解決を掲げてベンチャー企業としての成功(上場もしくは買収)を模索するためのものになっているのでしょうか。何かが当たればいいというくらい、世の中には膨大な数のスタートアップ企業が立ち上がっています。それらの企業が「社会問題解決のためのソリューション」を提供するというビジネスを行っていますが、本当に社会にとって必要なものは少ないかも知れません。

    そもそも本当に問題が存在したのかという疑問すら持ってしまいます。料理宅配サービスがあれば便利と言えば便利ですが、投資家が数百億円も費やして支援しないといけないほど社会に必要とされているのでしょうか?

    第一、本当に必要であればそれほどの支援がなくてもビジネスとして成立するはずですし、支援しないといけないのであればそれはビジネスではなく福祉の問題として政府や自治体の範疇でしょう。

    ITベンチャーは大量にありますが、むりやりニッチな分野を見つけて必要以上に問題を大きく取り上げているような気がしてなりません。

  • コロナ対策に不思議の勝ちあり、感染拡大に不思議の負けなし

    少し前に亡くなった野村克也氏の座右の銘として有名な
    「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
    という言葉があります。

    今回の新型コロナウイルスへの各国の対応と被害を見るに、表題のような感想を持ってしまいました。

    後段の「感染拡大に不思議の負けなし」については誰も異論はないと思います。感染が拡大してしまった国や地域には、何らかの理由や原因があります。それは政府や地元当局が無為無策あるいは失敗したケースもあるでしょうし、対策の立てようが無かったケースもあります。感染が広がっているからといって全てを政治家の責任に帰すのは難しいでしょう。

    それでも、中国の武漢地方政府や感染初期のEU、特にイタリア・フランス・スペイン・イギリス、そしてアメリカの政府レベルでは対応が遅くて甘かったことは間違いないでしょうし、だからこそどこもロックダウンをせざるを得なかったとも言えます。

    その一方で日本については前段の「コロナ対策に不思議の勝ちあり」という感覚を覚えざるを得ません。多くの議論と批判を織り交ぜながら政府・自治体・民間レベルで混乱しつつも対策を進めてきた結果、それなりに何とかやっていけそうな気配が見えてきました。

    もちろん、日本でも亡くなった方がたくさんいます。それは忘れてはいけませんし、亡くなっていなくても重症になった方にとっては相当な苦しい思いをしたことと思います。感染者あるいは濃厚接触者の家族にとってもストレスが溜まる状況が続きます。

    しかし、それでも人口の多さ、人口密度の高さ、中国との物理的かつ経済的な近さに加えて、これまで法的な規制ゼロの自粛要請・休業要請のみで、この被害者数はある意味驚異的で、ある意味奇妙なのでしょう。

    日本の「生ぬるい」新型コロナ対応がうまくいっている不思議
    https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93421.php

    ソフトな緊急事態宣言を聞き入れた日本人の不思議
    https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60513

    「奇妙な成功」と米外交誌 日本のコロナ対策を論評
    https://www.nikkansports.com/general/news/202005150000252.html

    外国人が不思議と思うのは当然でしょうし、日本人でも不思議に思っている人はたくさんいるはずです。

    個人的には世界的にも早い時期に休校要請をしたことが最初の大感染を防いだと思っていますが、検証のしようがないことですので正確なところは分かりません。

    ・うがい手洗い
    ・マスク
    ・家では靴を脱ぐ
    ・挨拶でキスやハグをしない

    といった、従来の日本人的習慣が防いだこともあるでしょう。クラスター対策に絞って対応していたことも理由となるでしょう。日本の病院では人口比率でCTが世界一多く設置されているそうですが、それも重症患者をいち早く見つけることが出来た原因のはずです。また、多くの人が自粛要請に素直に従っていることも当然ながら理由の一つです。自粛していない人に対して過剰なバッシングが集まることも、その中には含まれます。

    まだ収束したわけではありませんが、ここから例え気が緩んだとしてもアメリカやイタリアのような惨状にはならないでしょう。

    それらの国のような被害が広がっていない、という一つの結果に対して、原因を一つに絞ることの方がナンセンスです。おそらく、多くの原因が少しずつ積み重なってパンデミックを防げたのだと思います。逆に各国が感染防止に失敗した理由は一つだけであったとしてもそれが致命的に重大であれば充分なのでしょう。

    結局のところ、冒頭の、
    「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
    という言葉は、負ける理由は一つで充分だが、勝つ理由はいくつも存在している、ということを言い換えているのかも知れません。

    納得出来る対策を立てているが被害が多い国や地域の首長より、曖昧な対策を緩慢に行っているが被害が少ない日本のトップが非難されまくっているのは何というか皮肉ですね。もちろん、これで収まればの話ですが。

  • 安倍内閣を延命させてしまう反安倍勢力

    韓国は主要先進国の中で最も早く、新型コロナウイルスの封じ込めに成功したようです。まだ余談は許しませんが。

    それを受けてか、日本の一部の人たちは政府にPCR検査件数を増やすように問い詰めていますが、韓国が成功したのはPCR検査が多かったことよりも、私権の制限を強力に行ったことの方が強いと思うのですが、その辺はあまり主張を聞かないですね。

    韓国は北朝鮮との「休戦」状態にありますので、いつでも戦争の備えが出来ていないといけません。国民総背番号制に基づく、日本におけるマイナンバーカードがないとマスクの購入も出来ないようにしていましたし、感染が濃厚と思われる人は携帯電話の記録から行動履歴を丸裸にされてチェックされています。

    また、同じく人口数千万人以上の国家では最も被害が少ない台湾でも、厳しい検疫と罰則規定で制限を設けています。そういえば、台湾も韓国も民主化してから30年程度の政府であり、どちらも隣国との軍事的緊張が70年間続いている地域です。国民も不満はあれど政府による私権の制限を受け入れています。

    一方で日本では、現時点ではまだ、国家による私権の制限は行われていません。あくまで全て「自粛」や「勧告」であって、法的な強制力を伴う命令などは出ていません。道義的に非難されることを気にしなければ何でも出来る状況です。

    北欧のスウェーデンでも日本と同じく、強制力を伴う措置は取られておらず、あくまで国民が自己責任の上で自粛しつつ行動しています。そのスウェーデンでも感染による死者が増えていることで近隣の国のようにロックダウンを含めて強力な措置を取るべきではないかという議論が湧き上がっていますが、日本ではそのような議論ではなく、ただただPCR検査を増やすべきとか、あるいはいつまで緊急事態宣言を延長するのかとか、パチンコ屋の営業を止めろとか、他国から見ればノンビリしているような批判しか出てきません。

    ある意味、それだけ平和とも言えます。感染被害を自分のものと思えてないのかも知れません。本当に感染を恐れていれば、もっと厳しい措置を政府に要求してもおかしくないと思うのですが、直接感染拡大を防止できる法的強制力ではなくPCR検査ばかり主張しています。

    個人的には、PCR検査件数はもっと増やすべきだとは思います。ただ、増やす先は感染が疑われる人への徹底的な検査であって、症状がない人も含めた希望者全員とか国民全体でPCR検査を受けさせろと言うのは暴論以外の何物でもないと思っています。

    私権の制限を含めた法的な強制力によって封じ込めを図るのか、自粛レベルのお願いにとどめて緩やかな感染速度をもって集団免疫獲得を狙うのか、大きく分ければこの二つのはずですが、安倍政権も反安倍政権も、どちらの道を目指すのかはっきりとは宣言していません。どちらの側も、一つの道に進むことを主張した後に失敗した場合の責任を逃れるためのように思えます。

    安倍内閣はこの新型コロナウイルスの問題で政治的リソースを使い果たして終わる、と思っていたのですが、反安倍の人たちが
    「クルーズ船対応をもっと早くやれ」
    「休校措置をするな」
    「早く緊急事態宣言しろ」
    「私権の制限はするな」
    「PCR検査を増やせ」
    「強制力は行使するな」
    「緊急事態宣言の見通しが甘い」
    「韓国を見習え」
    という内部で矛盾している主張を混在させて声高に叫ぶことで、かえって反安倍勢力の主張の不透明さが際立ってしまい、逆に安倍内閣の消極的支持につながっていくかも知れません。

    いわば使い果たしそうになった政治的リソースを、反対勢力が補充してくれているようなものです。もうちょっと主張を整理して、安倍内閣の言動の矛盾を突くことに集中すればいいと思うのですが、手当たり次第に噛みついた結果、自分たちの主張が矛盾してしまうことによって安倍内閣の延命に手を貸してしまいかねない状況です。

    もうちょっと冷静になって主張しろと言いたくなりますが、もはや安倍内閣が倒れたら反安倍勢力の存在意義が失われるので逆に応援しているのではないか、と思ってしまうくらいお粗末な批判です。もちろん、中にはピンポイントに安倍内閣批判を適切に行っている人もいるのでしょうけれど、悲しいかな、社会は声が大きい人の主張が目立つものです。

    そしてその反対勢力の内部で反対を唱えると良くて内ゲバか、悪いと強制排除されます。かつての70年安保の学生団体の成れの果ての過激派諸団体や、日本共産党内部で執行部批判が全く起きないことなどを見ていればある程度の想像はつきます。

    安倍政権が日本をどのように進めていくのか分からない不安はありますが、反対勢力がさらに不安をかき立てるのは笑えないジョークですね。

  • 残価設定ローンによる「所有」から「利用」への移行

    残価設定ローンによる自動車購入は、導入されたときは結構話題になりましたが今では普通になりました。

    利用しない人はもちろんたくさんいるでしょうけれど、利用している人にとってはそれはそれで当然のサービスになっていると思います。

    言うまでもありませんが、残価設定ローンとは、数年後にその車を買い替えるときの下取り価格を想定して、本来の価格から下取り予想価格を引いた金額に対してローンを設定して購入する仕組みです。

    ほとんどの人は同じ車を何十年も乗り続けません。数年後には買い替えます。必ず買い替えるのなら買い替える前提でローンを組んだら安く済む!というのが残価設定ローンの特長です。

    車を「所有」したい人にとっては多分不評な仕組みですが、モノに対する考え方が「所有」から「利用」に変わりつつある現代社会だからこそ生まれてきた仕組みでしょう。数十年前なら受け入れられなかったでしょうし、そもそもメーカーや金融機関も考えなかったはずです。

    さて、この残価設定ローンの必要条件としては、数年後には買い替えるということの他に、買い替えて古くなった車の中古市場が存在することがあります。中古車市場はそれこそはるか昔から存在します。新品は高価だけど中古品でもメンテナンスすれば長く使えるモノには中古市場があります。自動車・バイクは当然ですが、衣服やパソコンなどもそうです。最近ではスマートフォンの中古市場もiPhoneの高価格化に伴い急成長してきました。

    そういえば、スマートフォンでも残価設定ローンによる購入形態が出てきました。

    業界初、5G時代に向けた”新しい残価設定型スマホ購入プログラム”「かえトクプログラム」を2月21日から提供開始
    https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/02/17/4285.html
    24回払いを条件に、購入機種の2年後の買い取り価格を残価 (=最終回支払分) として設定し、本体価格から残価分を除くことで23回のお支払いまでは低廉な割賦金額となります。

    スマホおかえしプログラム
    https://www.nttdocomo.co.jp/campaign_event/okaeshi_program/?icid=CRP_CHA_discount_to_CRP_CAM_okaeshi_program
    36回の分割払いで購入された対象機種を当社にご返却いただいた場合に、その翌々月請求分以降の分割支払金(最大12回分)のお支払いを不要とするプログラムです。

    新品のiPhoneが原付バイク並の金額になってきた以上、業界としては必然の導入だと思います。

    「所有」から「利用」への移行は社会的な現象ですが、この所有から利用への移行というのがなぜ起こってきたのか。財産は負債でもあります。所有によるメリットがある一方で維持費用というデメリットもあるからです。

    それでも財産にこだわるのは歴史的にほぼ全ての時代でモノが不足していたことの裏返しです。継続して維持するための費用と使わなくなったときの処分費用が獲得費用を下回るのであれば所有する理由になります。

    逆に、例えば自動車で言えば維持のための税金・駐車場代が高くなり、一方で新車も中古車も溢れていて個人では高く売るのが難しい(つまり処分費用が高い)のであれば、車を個人で所有する必然性は大幅に低下します。所有することによっていつでも自由に使えることと所有欲を満たすことくらいしかメリットがなくなります。

    とは言っても、いきなり「所有」から「利用」形態に完全移行するのは精神的にも物理的にも大変でしょうから、その過渡期の形態として「残価設定ローン」が出てきたのかも知れませんね。

    ちなみに、例えば人生や命に残価設定ローンを設定して、利用中は楽しめて期限が来たら命を失ったり死後は苦しむとしたら・・・と考えたところで気がつきました。いわゆる死神との取引と同じですね。ゲーテのファウストとか古今東西でさんざん使われてきたシチュエーションですね。残価設定ローンの最初の利用形態は小説などのフィクションだったとも言えそうです。

  • 自分が見ているものは自分が見たいもの

    去年から今年の初めあたりにかけて、テレビでは「優しい笑い」というキーワードというかトレンドというか、そういう流れが持ち上げられていました。

    人を傷つけない“優しい笑い”がトレンド『2020年 ネクストブレイクランキング~芸人編~』
    2020/02/07
    https://deview.co.jp/Article?am_interview_id=862&set_cookie=2

    別にそれは個人の好き嫌いですし、流行り廃りをどうこう言うつもりもありませんが、笑いの本質には残酷さも含まれているはずなので、ことさら「優しい笑い」を取り上げるのもなんだかなあとは思いました。ただ、どぎつい笑いに対するカウンターとして、またニッチなブルーオーシャンとして「優しい笑い」というジャンルを切り開いた芸人さんたちは素晴らしいチャレンジをされたと思います。むしろ「優しい笑い」という現象を取り上げて、現代社会をアレコレ斬っていくっぽいう言論の方が個人的には受け付けません。

    さて、それから数ヶ月。新型コロナウイルスの感染による被害と、感染防止のための自粛などによって、社会は協調や連帯よりも非難や罵倒が目立ってきたのではないでしょうか?

    あまり外に出ないことや他人と直接会話しないことにより、精神的に不安定になってきているのかも知れませんが、それ以上に自宅でネットメディアを見続けていることもその原因ではないかと思っています。

    TwitterなどのSNSやSmartNewsなどのキュレーションメディアでは、登録時や随時、自分が読んだもの、いいと思ったものの情報を収集して、その趣味嗜好に合わせた情報を表示してくれます。それによってそのサービスの利用時間を増やして、そのついでに広告を見てもらってサービス提供者の利益になるというビジネスモデルです。

    それらのサービスではユーザーは当然ながら自分の趣味嗜好に合った情報が真っ先に、かつ、たくさん表示されますから、不快な思いもすることなく、時間もかけず手軽に好きな情報を大量に得ることが出来るわけです。

    つまり、そういったSNSやニュースメディアを通して得ている情報は、自分が見たいと潜在的に思っている情報とも言えます。

    自分が見ているものは自分が見たいものなのです。

    いわばそういったメディアの情報を見ることによって、自分の感情をひたすら肯定し続けます。言い換えると、感情が増幅され続けます。

    そのこと自体を悪いとは言いませんが、世の中にはポジティブな情報ばかり流れているわけではありません。ネガティブな情報だって大量に存在します。
    そういった、自分が日頃から批判的に見ている対象などがSNSやニュースで批判されている情報も、SNSやニュースでたくさん目にすることになります。すると・・・、ネガティブな感情が自分の中で増幅されてしまいます。

    自分の感情を自分でコントロールすることは結構難しいものです。新型コロナウイルス対策によって生活が一変してしまった後、自分の感情がイライラしたりキツくなったりしていると気がついた人は、いっそのことネットでの情報収集を止めた方が良いかもしれません。完全にネット断ちは出来なくても、リアルタイム性の高い情報はあえて見ないようにすれば、感情はある程度平静を保てるのではないかと思います。

    冒頭に書いた「優しい笑い」の流行は、ネットメディアからネガティブな情報ばかり受け取りその感情が増幅される状態からの救いを求めるSOSなのかも知れません。

  • 先行者利益とイノベーションのジレンマのバッティング

    ITベンチャーなんかの話で、先に起業して業界シェアを広げてしまった方が有利だ、ということを聞きますが、本当なんでしょうか? 先行者利益というのは存在するんでしょうか?

    個人的には結構胡散臭く思っていて、先にシェアを取っても後から来た企業が、先行者のサービスの問題点を改善し、模索する必要も無いので安い費用でより良いサービスを提供してしまうことで、かえって先行者が損をすることも結構あるものだと思います。

    MySpaceとFacebookの関係は分かりやすいですよね。あるいは日本で言えばmixiもそうですが、ソーシャルネットワーキングサービスで天下を取ったのはFacebookでした。もちろんそのFacebookもこの後どうなるかは分かりませんが、1セントも売上がないInstagramを高額で買収していたことが、結果的にFacebook本体の減速を補っています。その資金をもたらしたのはFacebookそのものですから、やはり成功したと言えるでしょう。
    一方でMySpaceやmixiはSNSにおける勝者になれませんでした。どちらも2000年代前半に始まって当初は大きく広がったはずですが、その小さな成功を大きな成功に持っていけなかったわけです。

    もっと巨視的に見ると、いち早く広がったサービスがある一方で、そのサービスにとらわれて新しいシステム・テクノロジーの導入に遅れてしまうということは社会全体にもあり得ます。

    先日、FAXの呪縛についてのnoteを書きましたが、

    https://note.com/notes/n309f836b909e/

    これだって日本やイスラエルでかつてFAXが大きく普及して便利になったことが、未だにFAXが一部で残り続けてしまった結果をもたらしたことになります。

    その他にも、日本は現金での支払がまだ多く残っていて、世界的なキャッシュレス化の波に乗り遅れていると言われます。それはとりもなおさず、現金を扱うのが非常に便利な社会だからであって、そうなるように多くの技術と労力を費やしてきたからでもあります。紙幣・硬貨の偽造を防ぐための技術が進み、印刷や鋳造の技術が磨かれ、それを認識するATMや自動販売機の読み取り装置の技術開発や進展も世界的に見ても希有なものがあります。

    また、ATMやCD(キャッシュディスペンサー)の普及も現金社会の利便性に大きく寄与しています。あらゆる銀行・郵便局や駅・商業施設などで気軽に手軽に現金を引き出せますので(しかも条件付きでほぼ手数料無料で!)、現金を利用する不便さを感じることがないほどの社会を作り出しました。

    その結果として、別にキャッシュレスにしなくても不便をあまり感じないような情勢になってしまい、他国に比べるとその進みが遅くなってしまう、という状態になっています。

    偽札に悩まされ、小切手払いの不便さが残るアメリカ社会でクレジットカード決済が進んだことや、同じく偽札や社会統制の問題からキャッシュレス化をすることのインセンティブが大きかった中国などの事例を考えると、テクノロジーの導入が進んでいるかどうかというのは時の政府や社会だけの問題ではなく、歴史的な流れを見るべきでしょう。いわゆる、「イノベーションのジレンマ」でもあります。先に進んだことで後で送れてしまう、というのはまるで「ウサギとカメ」の童話のようです。

    そういえば今年はアメリカ合衆国の大統領選挙の年です。今年はコロナウイルスの問題がある中、どこまで従来通りの選挙が行えるのか分かりませんが、その選挙方法については古いシステムだというのは4年毎に取り上げられるくらいです。州ごとの選挙人団を取り合っての戦い方というのは、19世紀前半にはそれなりに効率が良かったのでしょうし、そもそも当時としては民主主義の最先端でもありました。それが上手く機能していたからなおさら、ずっと残り続けて問題の多い(得票率や得票数と、獲得した選挙人の数の逆転など)システムとなってしまいました。だからといってすぐに選挙方法が大幅に刷新されるとは思えません。ある意味これも、イノベーションのジレンマと言えるかも知れません。