EU加盟の停滞対策としての退会しやすさ

EU加盟国は2000年代までは急速に増えていましたが、2010年代に入ると2013年にクロアチアが加盟したところで止まりました。

原因はいくつもあるのでしょうけれど、例えばEU側がギリシャ財務危機に振り回された過去を反省して、新加盟国を安易に増やさないようにしているのでしょう。またEU加盟を求める東欧諸国にとっては、かつては経済発展のための加盟だったのが、中国による派手な国際投資・援助というしゅだんが増えたことや、ロシアのウクライナに対する圧力を明日は我が身と思って、EU加盟をそれほど焦って行わなくて良い、という判断に至っているのかも知れません。

EUは大元をたどれば、二度の世界大戦の原因となったドイツとフランスが戦争をしないために作った石炭鉄鋼共同体です。それが規模と仕組みをどんどん拡大していって、93年にEUとして発足しました。

EUはあくまでヨーロッパ大陸での戦争を防ぐために経済的な結びつきを強めてしまおう、というものです。その一方で加盟国を増やしていく方針は、先進国にとっては製品を売る市場かつ安い労働力を提供してくれる途上国が増えるというメリットがあり、加盟する途上国にとっては単一通貨ユーロによる国際投資が増えて国民の仕事が増えるというメリットがありました。

お互いにWin-WinでEU拡大は行われていましたが、もちろんどこかで止まります。ヨーロッパ大陸にも国の数にも限りがありますが、そもそもヨーロッパは昔からヨーロッパとしての境界がガッチリ決まっていたわけでもなく、今のバルカン半島の大半は、数百年間はオスマン帝国の支配下でした。逆にロシアは一番東に位置するヨーロッパ国家だったはずですが、今のEU各国もロシア共和国も、ロシアがEUに加盟するとは思っても以内でしょう。

現在がEUの限界なのかは分かりませんが、とにかく加盟してしまえ、という流行が終わったことは間違いありません。

また、一度加盟すると脱退することが想定されていない問題も、先年のイギリスのEU脱退騒動で露呈しました。全会一致原則も厄介中の厄介ではありますが、EUを退会するルールが100%は決まっていないというのがまるでブラック企業によるブラックなサービスのようでたまりません。

ヨーロッパ「連合」なのであって「融合」するわけではないのですから、連合を外れるパターンも当然想定しておかないといけないはずですが、この素晴らしい理念に基づく「EU」から外れようとするものなどいるはずがない! という傲慢な自己賛美が見え隠れているように思えます。

実際に、ヨーロッパ的ではない大国であるイギリスがそこから抜け出すとなると、EUもイギリスも、さらにはつながっているアイルランドも巻き込んで大変な騒ぎになってしまいましたが、そんな騒ぎを見ていたら、無理して加盟しなくても中国からお金もらえば良いや、と加盟候補が思うのも無理ありません。

入る時に辞めることを考えるというのは、一見後ろ向きな考えですが、リスク管理という点では当然でしょう。退会しやすくなれば、EU加盟国もまた増えるんじゃないでしょうか。知らんけど。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA