ロシアによるウクライナ侵攻は起こるはずがないという楽観的な憶測が半分混じった国際情勢の中で発生しました。1930年代にナチスドイツに対する宥和政策がどのような結果を招いたかを結局はまだ人類(少なくとも欧米)は学べていなかったことになります。
プーチンを刺激したくないからという理由で、2008年のジョージア、2014年のウクライナに対するロシアの侵攻に関して、
「かつてはソ連の支配下にあった地域だし、ロシア系住民も多いから」
という理由にならない理由でロシアの軍事行動を黙認したことが、今回のウクライナ侵攻を招いたとも言えますが、厳しく対応していたらプーチンが大人しくしていたかというと、そうでもないでしょう。結局はどうしたってプーチンは侵攻していたはずです。
ロシア・中国・北朝鮮・イランをかつての枢軸国と見なすのは、あまりに安易に歴史をもてあそんでいるように思えますが、これらの国をそのまま放置していても事態が良くなる可能性は見えません。その野望を打ち砕く手立てはないはずです。戦争を起こすべきではないが戦争を起こそうとしてくる以上は対抗しなければならないのです。
1938年にヒトラーを放置したツケはその翌年以降に襲ってきました。当時は国際連盟が無力でしたが現代はNATO、日米安保、QUADが存在します。その一方で第二次世界大戦「開戦当時」は存在しなかった核兵器は各国に無数に存在します。
良い意味でも悪い意味でも抑止力をお互いに持つ陣営同士の戦いです。
ウクライナがロシアにさっさと降伏していれば被害は防げたという人もいますが、降伏後に生命・財産を奪われて蹂躙されるなら結局同じでしょう。チェコやポーランドをヒトラーに差し出したフランス、そしてイギリスが無傷で済んだでしょうか?
経済制裁がロシアの暴走をもたらすという言い分も分からなくはないですが、対日禁油措置が太平洋戦争開戦の大きな原因ではありました。しかし、当時の日本に対してABCD包囲網が緩められて経済的圧迫が無くなっていたら、日本の大陸進出がストップしていたでしょうか?
外交交渉によって片方が譲歩しても、もう片方が次は退いてくれるとは限らないのです。片方が譲歩したら、相手方はさらにもっと強く要求をしてくるでしょう。
1940年前後に、アメリカ・イギリス・フランス・中国が、日本・ドイツ・イタリアに対して譲歩したとしても、ヒトラーも、ムッソリーニも、東條内閣もそれに満足して軍事侵攻を止めたとは思えません。
そして今も、プーチンや習近平が、もし制裁を緩められたとして西側諸国に対して自発的に退くでしょうか? ロシアや中国が民主的で対外進出に消極的な国家に勝手に生まれ変わるでしょうか?
ウクライナを差し出しても、次はモルドバやポーランドやバルト三国が犠牲になるだけです。
とはいえ、全面戦争を選ぶわけにはいきません。ウクライナに対して支援しつつ戦線を膠着化させるのが短期的な目標になるでしょう。その間にロシアが経済制裁で破滅すれば、というところですが、北朝鮮を見れば分かるように、経済制裁によって締め付けられても独裁権力は揺らぎません。
膠着化したら今度は搦め手で来るはずですが、中国が動くかどうかが重要になりそうです。キャスティングボートを握っているのはNATO側ではないのが気掛かりですね。
しかし、かつて連合国側として、枢軸国の野望を食い止めたロシア(ソ連)や中国が、領土的野心をむき出しにしているのは因果は巡るといったところでしょうか。
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