ブラジル大統領選挙がこの30日に決選投票を迎えますが、現職のボルソナロ大統領と、ルラ元大統領の争いは当初の予想に反し接戦の様相を見せています。
どちらかというとリベラル寄りのマスメディアなどが、選挙に関して世論調査による予想を見誤ることはブラジルに限らず最近の世界全体に共通する問題ですが、このブラジル大統領選挙でも、ブラジル国外特にリベラル系の人たちからは全く人気がないとされるボルソナロ大統領が惨敗するとの事前予想もあったくらいですが、実際には接戦で、現職が支持率においてかなりの追い上げを見せています。
ボルソナロ大統領はコロナ禍におけるその対策(というか対策しないこと)や、環境破壊に関して厳しい非難を国内外から浴びてきましたが、既存の支持者はもちろん、有権者の何割かはそんなことよりも重要なことがあり、それを抜きにしては生きてはいけないのです。
コロナで死者が多数出ようとも、アマゾン川流域の熱帯雨林が伐採や火災で消滅しようとも、最貧困層の支持を得られれば良いのだ、という割り切りを感じます。それを良いか悪いか決めるのは結局ブラジルの有権者ですので、他国の人間や組織、マスコミがアレコレ言うにしても限界があります。
独裁者が地位を維持する方法は、非民主主義国家では軍隊を握ることですが、民主主義の体裁を保っている国なら大統領選挙で勝つことです。そしてそれはポピュリズム的政策に反映されます。
先日、ボルソナロ大統領が一部の個人や企業の債務免除を行い、配当に課税して社会保障の財源に充てる計画を打ち出しました。いわゆるバラマキ政策です。
富裕層も貧困層も一人の人間が持つ選挙権は同じ一票ですが、富裕層の一人を満足させる費用よりも、比較的少ない費用で多くの人間の一票を得られる貧困対策の方がこういう時には目立ちます。
これだけ見ると、またボルソナロが無茶なことやってる、と思いがちですが、対抗のルラ元大統領も同じく債務免除や最貧困層への支給を公約とし、そしてどちらも財源を明確にしていません。
ルラ元大統領は極左では無いとは言われていて、今回の公約はボルソナロ大統領の政策に共感する人を取り込む狙いがあるのでしょう。それでも、公約として出している以上は当選後に実現しなければ反ルラ勢力が攻撃する口実にされますし、実現させたらそれはそれで財政も資本主義市場も破綻が近付きます。
金持ちから富を奪って分配するという理屈になりますが、当然の如く、自らの支持者(スポンサーともパトロンとも言って良いでしょう)から富を奪うわけがありません。そもそもボルソナロ氏が大統領選に勝てたのも、それまでの左翼政権の恒常的な腐敗が原因でした。多分、ルラ元大統領の復権がなってもブラジルの苦難は続くでしょう。
社会主義的政策は左翼系の十八番のように思われますが、右翼・保守系や国家主義にも存在します。いわゆる国家社会主義ですが、これは極左と極右が本質的に持つ、「国家が国民の全てを管理する」という点での共通項を意味します。
社会主義の対立概念は自由主義であり、自由主義は資本主義と密接な関係があるために、社会主義&共産主義 V.S. 自由主義&資本主義という構図が成立します。
とはいえ、全てがそういう理屈でもなくて、例えばトランプ前大統領のように資本主義から生まれたはずの人物が陰謀論者をまとめて国家主義者として振る舞うこともあります。彼の場合は自由主義とか社会主義とか言う概念よりも、受けの良い陰謀論を取り込んでいるだけのような気がしますけれど。
ともかく、右も左も極端な政策を取るようになると、やることは結局近くなっていきます。
思えば、戦前日本の国家主義・国粋主義は大企業・資本家とそれに結びつく政治家を厳しく非難していました。だからこそ国家社会主義が生まれ、共産主義者からの転向者を吸収していきました。
現代では陰謀論者からの転向がどこに向かうかというところが一番の問題かも知れません。彼ら彼女らはどこに行き着くのでしょうか?
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