サウジアラビアがアルゼンチンに逆転勝利をして驚きを与えたワールドカップが盛り上がっていますが、政治的主張に関しても既にいくつかの事象が波紋を起こしています。
まず、イラン代表選手たちによる試合前の国歌斉唱拒否です。ヒジャブを巡っての死亡事件とそれに続く大暴動(デモと言って片付けるレベルではないでしょう)が続いているイラン国内を反映しているのでしょう。イランの選手たちが試合前に自らの国歌を歌わないことによって、被害者や抗議行動への連帯を示したことは非常に勇気の要ることです。イランサッカー界の英雄であるアリ・ダエイですら抗議を支持したことでイラン当局に拘束されたほどなのですから、この代表選手たちが帰国後にどんな境遇になるか分かりません。それを覚悟の上で政府への抗議を示したことは、まさに英雄的行為だったと思います。彼らは国家の代表ではなく国民の代表として試合に臨んだのです。
その一方で、開催地カタールにおける多くの人権侵害に抗議する腕章を付けて試合を行うことを公表していた、ヨーロッパの各国代表はそれを諦めることになりました。FIFAが試合中における政治的主張の禁止ルールを適用することで、カタール政府に配慮する形となりました。
人権は守られるべきですし、その侵害に抗議する気持ちも分かりますが、抗議行動としてスマートだったのは欧州各国よりもイラン代表チームの方でした。新しく何かを追加すればFIFAの判断に左右されてしまいますが、既に当然行われていることをやらないことは、FIFAの判断は不要ですから、FIFAがこのイラン代表選手たちを罰することは全くもって不可能です。むしろ、イラン政府がイランサッカー協会や選手を処罰する可能性もありますが、そうなると正時によるサッカー界への介入として、イランの国際試合禁止という可能性もあり、イラン国民の政府への反発をさらに招くでしょう。
2年前のアメリカにおけるブラックライブズマター(BLM)運動の際、試合前に片膝をつくことで黒人差別に反対を示すことはMLBやNFLで頻繁に行われていました。あれも批判する人はいましたが、競技中に行っていたわけではありません。そういう点から見ると、今回の斉唱拒否と腕章着用の違いは、試合前か試合中かの違いでもあります。瞬間的なことならFIFAも見逃したかも知れませんが、90分ずっとカタール政府批判が画面に映るなら無視できないのでしょう。
あえて行うのであれば、どこが優勝するか分かりませんが、決勝後のセレモニー時に腕章やTシャツや横断幕を持ち込んで強行するしかないでしょうね。それくらいのことは計画してそうな気がします。
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