解散総選挙を持つ高市政権と、習近平批判を避けたい中国政府

高市発言とそれに続く中国総領事の暴言により始まった「日中舌禍事件」とも言うべき緊張状態は終わりが見えません。

台湾有事(によって在日米軍や米軍基地への攻撃が行われて場合に)は日本の存立危機になり得る、という高市首相の発言は、最小限よりも少ない言葉にしてしまうと乱暴になりますが、普通に聞けば普通の話です。

ただ、台湾(それと香港とウイグルとチベット)が絡むと正気を失う中国政府の公式発表は、習近平の手前、引くことが出来ないためエスカレートしていきます。

日本観光の禁止、留学の中止、海産物締め出しなどの対抗措置は、中国人観光客と留学生と中国市場を相手に直接的に商売をしている人は溜まったものじゃないでしょうけれど、観光公害に悩む地域などでは歓迎されることでしょう。中国人観光客は韓国に向かっているそうですね。

中国流の日本に対する経済制裁が行われているわけですが、経済制裁そのものは大して効果がないことは、中国が支援しているロシアへの経済制裁を見れば明らかでしょう。あれほど広範にやっても駄目なのですから、中国一国で日本に対してシャットアウトしたところで国家レベルではたかが知れています。もちろん、直接的な被害を被る人や企業は影響があるのは確かですけれど。

むしろ、この日中緊張状態が続く中、高市政権批判がもし高まったりすれば、国民に信を問う、という触れ込みで衆議院解散総選挙という首相としての伝家の宝刀を抜きかねません。そこでもし大勝してしまえば、2年半後の参院選まで安定的に対中強硬政権が出来上がるのですが、中国政府・共産党はその辺りまで考えているんでしょうか?

日本国内においても、意外と高市政権批判の声が挙がっていない気がします。特に政治セクターにおいて、立憲民主党や共産党はともかく、その他の政党や政治評論家とかニュースとかでもそんなに厳しい追求には至っていません。高市首相を追い詰めすぎて衆院解散になったらかえって面倒だという思いがあるのかも知れません。

特に維新の会なんて、連立を組んで高市内閣を成立させた恩義が、直後の藤田代表の金銭スキャンダルによって吹き飛んでしまったばかりですから、ここで解散後の総選挙でもしも自民が大勝して単独過半数を取ってしまったら、自分たちの存在意義が失われかねません。

かように、高市発言に対しての反応を見ても、日本には日本国内におけるパワーバランスやら政治動向によって、見え隠れするものがあります。それは中国も同じであり、台湾に関係する対日政策において、弱い顔を見せてしまうと即失脚に至る恐怖があり、また習近平に対しての長老や抵抗勢力による批判が出てきてしまうという問題があります。

お互いに相手国だけを見ているわけではなく、どちらも国内政治においての自分のポジションを維持するための言動も行われるわけで、ことここに至ったら、あの発言は正しいとか間違いとかいう次元の問題ではなくなっています。

最悪の行き着くところは戦争なのですが、そこに至らないようにギリギリのところでコントロール、すなわち武力行使を行わないという大前提を両者ともに理性で保持し続けていればいいのですが、今のところは、なんとかなるでしょう。あくまで「今のところは」ですけれど。

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