
中国経済において、家計債務が急増しているそうです。
https://president.jp/articles/-/106993
興味深い記事ですね。中国社会では国家による監視が強く、借金の返済が滞りブラックリスト入りすると、まともな生活が送れなくなりますけれど、この怒りの矛先は、どこに向かうでしょうか?
中国政府、共産党、習近平に向かうでしょうか?
中国による安保上の危機をもたらされかねない日本や、今更ですがデカップリングを始めた欧米からしたら、そうなって欲しいでしょうけれど、多分そうならないでしょうね。願望を交えた予測は外れるものです。
かつての、ソ連崩壊後に市場経済を導入したロシア社会を思い起こすと、借金漬けで生活が破綻した中国人は、彼らを支配する政府・共産党・独裁者ではなく、資本主義経済下で自分たちを苦しめる欧米(プラス日本)を恨むように、当局が仕向けるでしょう。
90年代のロシアでは、オリガルヒと呼ばれる新興財閥に代表されるように、ごく一部の超富裕層が生まれる一方で、資本主義経済に不慣れ、というか知らない人々が、仕事を失い、詐欺に騙され、政府の支援も足らず、生活に困窮することになりました。
その結果、「世界を二分したソビエト連邦」を「強いロシア」となぞらえて支持を得たプーチンという、強大な権力を持つ独裁者が台頭することになりました。
ソ連の崩壊をできるだけ軟着陸させようとしたゴルバチョフや、ソ連共産党の復権を阻んだエリツィンは欧米資本主義に屈したものとみなされたわけです。少なくとも積極的にプーチンを支持している人たちはそう考えています。
翻って今の中国社会はどうでしょうか。
文化大革命後の中国で、鄧小平が進めた改革により市場を開放し、資本主義経済に移行したことにより、ソ連→ロシアよりも急激に経済発展が進みました。
人口の差もあるでしょうし、指導者層の適切な経済政策もあったのでしょう。ロシアと異なり、「世界の工場」として大量の資本が入り、あっという間に先進国の仲間入りをしただけではなく、GDPで日本を抜いて世界2位にまで躍り出ました。
しかし、冒頭に引用した記事にある通り、今の中国社会は歪みが目立つようになりました。欧米プラス日本などの先進国では、長い経済発展の中で起きた金融上の諸問題に対応する形で、法規制やセーフティネットが整備されてきました。それでもまだまだ足りないくらいなのですが、共産主義から資本主義に移行したロシアや中国では、一般市民や投資家・起業家を守るべき法整備や救済措置が足りていません。
そして、一部の富裕層を優遇し、法整備が不足し、救済策もなく、民衆を苦しめる政府に対して、ロシアの有権者たちが求めたのは、まっとうな政治改革ではなく、資本主義をもたらした西側諸国を非難する独裁者だったのです。
同じことが中国でも起きるでしょうか?
そもそも、すでに中国では独裁者が君臨していますので、第一段階はクリアしているようなものです。この後は第二段階として、自分たちに批判的な国々、具体的には日本、アメリカ、欧州各国に喧嘩を売ることになりますが、こちらもすでにそのまっただ中にあります。
高市発言は一つのきっかけに過ぎません。元々、社会の不満を吸収して政治改革により消化及び昇華せずに、他国に転嫁するのは既定路線でした。
中国経済は、不動産バブル崩壊後の処理もままならない状況において、今度はEVバブル崩壊が近づいてきています。すでに、新車のEVが0日で中古車市場に流れるだけではなく、作ったものをそのまま大量に廃棄しているような状況です。
これに、中国や欧米含めたAIバブルまで崩壊すると、急速に市場が冷え込むのが目に見えています。
そうなった先は、ロシアと同じ道を歩むことになりかねません。同じ道というのは、周辺国への軍事侵略そのものですが、それによって一時的に軍事産業を中心にGDPの増加と経済の復旧は成り立つのですよね。その後は悲惨なことになりますけど。
経済的な苦境が軍事的な緊張をもたらすのは、1930年代〜40年代前半の日本がたどった道でもあります。昭和不況、世界恐慌、満州国の設立、大陸への侵攻といった事項との似たような条件は、ロシアには揃っていましたし、中国にも揃いつつあります。
20世紀後半は共産主義・社会主義と、資本主義・民主主義の西側の冷戦構造でしたが、21世紀は独裁主義と民主主義の争いになるのでしょうか。
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