自分で作らないとアーティストではない?

シンガーソングライターという言葉をそもそもあえて言わなくても、メディアでよく見かける歌手やバンドは自分(自分たち)で作詞作曲していることが当然のようになりました。しかし、1980年代くらいまでは、作詞・作曲と歌手が分離している歌謡曲がヒットチャートの上位を占めていました。フォークソング、ニューミュージック、バンドブームなどを経て、自分が歌う曲は自分で作ることが一般的になってきたように思います。

他人が書いた曲よりも自分で書いた曲(あるいは詞)の方が、自分が歌いやすく自分の持っている世界観を打ち出せる、というメリットはもちろんあるのでしょうけれど、自分が作らなくても歌手としての力量があれば大きな影響力を持つことは出来るはずです。美空ひばりを大したことのない、影響力のない歌手だという人など存在しないでしょう。

他の分野で言えば、漫才も同じでしょうか。漫才作家が作ったネタを喋るのは以前はよくあることでしたが、今の若手芸人といわれる人達は間違いなく自分たちでネタを作っているでしょう。ベテラン漫才師の一部だけが、テレビでネタをするときにテロップで(作:〜〜)と表示されていると思います。もしかしたら漫才作家のネタもあるのかも知れませんが、作家が作ったネタだということが分かるケースは非常に稀になってきました。

しかし、作ることと演じること(歌う、喋る)は本来別の才能のはずです。歌手や漫才師を目指す人が大量に増えたことで、その両方をこなせないと表舞台に上がってこられない過酷な競争が行われているのかも知れません。

別の才能であることの証左としては、古典落語を演じる落語家や、クラシックを演奏する音楽家を例に出せば十分でしょう。創作落語も重要でしょうけれど、古典落語を自分の中に落とし込んで新しい解釈を示して見事に演じて喋ることができるのなら落語家としては一流なはずです。音楽家だって、自分で曲を作っていないから指揮者やバイオリニストとしてはダメだ、ということなどないはずです。

歌手や漫才師がこのようになったのは、歌謡曲の消滅や漫才ブーム・お笑いブームもなんでしょうかね。逆に自分で作るようになったのがそれらの現象の原因にもなっているのかも知れません。

作詞も作曲も別の人で、歌うことに特化した歌手ももっといていいのではないかと思っています。

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