中国がアメリカに覇権をかけて挑むのは早すぎたはずです。元々、2050年を重要な年としていたのに、2010年代の習近平が仮面を捨てて公然とアメリカと争う状態にしてしまったのは、後に失敗と見なされると思います。
中国の国家としてのGDPは日本を抜いて二位になりましたが、国民一人当たりのGDPでは先進国とは言えません。そこに到達するまでにアメリカとの戦いに突入してしまうと、経済的には勝ったり負けたり続けて順調な経済成長をこれまで通り行えるとは限らなくなりますし、軍事面でも負担が増えます。
冷戦終結後、アメリカ合衆国が唯一の超大国となりました。軍事面で悩むのは90年代から2000年代にかけては中東と旧ユーゴスラビアくらいでした。しかし、2010年代に入りリーマンショックからいち早く抜け出た中国が、東アジアと東南アジアにおいて既存の平和秩序に挑戦し始めました。時を同じくして、プーチンがソ連時代の勢力圏とシリアでもロシアのプレゼンスを高め、積極的かつ巧妙に介入して切り取り始めました。
東南アジアでは中国の軍事力に立ち向かえる国家は存在せず、直接国境を接する国とはそれなりの関係を築いていますので、ASEAN諸国が一致団結して中国と対抗することはあり得ません。
しかし、冷戦後にフィリピンが不要になった米軍を追い出すように撤収してもらったものの、中国の南沙諸島領有問題が出てきて、再びアメリカとフィリピンの軍事的な連携が緊密になってきました。
また、東アジアでは韓国・日本・台湾がアメリカと連携して中国と真っ向から対抗できる戦力と経済力を持っています。台湾も韓国も親中国と親米の政権が入れ替わりますので状況によっては、中国の仕掛けで骨抜きに出来るかも知れませんが、日米安保は強力です。
その日米安保も民主党政権時代においては、少し揺らぎ始めましたがこれもまた尖閣諸島での中国漁船衝突事件によって、日本国民を反中に追いやってしまったことで、その後の安倍政権の長期化を招いて日米安保もさらに強固なものにしてしまいました。
結局、鄧小平の韜光養晦路線を続けて国力を蓄え、国際的立場を強化してきたのに、そのベールを脱いで野心をむき出しにするのが早かったと言えるでしょう。
今後も中国が経済力を増大させて、軍事費も合わせて増やしていけば短期的にはアメリカと西側世界にとって危険な存在になり得ることは間違いありませんが、長続きはしません。
20年代後半から人口が減少し始め、急速な少子高齢化が進んでいくとGDPの成長率は落ちてきます。特にお得意さんだったアメリカとの関係が悪くなれば尚更です。
そんな中で軍事支出がこれまで以上の割合で増やしていけば、軍事費のGDP比率が急速に増えることになります。その先は20世紀後半のソ連のように見えている未来です。
そうかといって、人口動態をすぐに改善は出来ません。アメリカのように移民を受け入れ、移民が大企業のCEOや政府要人になれる国家でもありません。
自由と法の支配がなく、国際間の貿易の不公正があり、移民もないため才能の流入もない中国経済がいつまでも伸び続けることはありません。
第一、共産党や政府の幹部がその子弟と財産をアメリカやカナダに送っているのは、彼ら自身すら自国の未来を信頼していない証しでしょう。
逆に言うと、中国は共産党支配を緩め、自由と公正に基づく商業活動を行い、軍事費の増大を抑え、国内の貧富の格差を縮小するような政策を実行すれば、そのうち勝手にアメリカ合衆国に代わって世界の覇権を握ることも出来るでしょう。広大な国土と資源、人口を最大限に生かせば追いつける国は無いはずですが、そもそもそのような政策を採用することが最大の困難でしょう。
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