以前、こんなnoteを書いたことがありますが、
https://hrsgmb.com/n/n4311604b2a4c
スポーツと政治というのは時に密接につながり、時にお互いに利用し合います。
先日、北京五輪において、ウクライナの選手が
「ウクライナに戦争は要らない」
というメッセージをカメラに掲げたとニュースになっていました。
これを持って政治的宣伝として、IOCが処分を下す可能性はあるかもという懸念がありましたが、果たしてこれは「政治的」主張でしょうか?
政治とは妥協であり、様々な異なる意見を調整して結論を下す社会的プロセスです。となると、件のメッセージが政治的主張ということになると、
「ウクライナに戦争は要らない」
という主張に対立する
「ウクライナに戦争が必要だ」
という政治的主張が存在することを認めることにになります。
実際の世界では、軍隊も紛争も無くなることはこれまでなかったですし、これからもおそらくないでしょうけれど、国際組織としては戦争の必要性を認めるわけにはいかないでしょう。
ですので、
「ウクライナに戦争は要らない」
というメッセージは政治的主張ではなく、人類の普遍的な理念であることになり、ウクライナの選手に対して罰則を適用することもありません。
これが例えば、
「クリミア半島はウクライナの固有の領土だ」
というメッセージなど出したら、これはさすがに政治的主張と見なさざるを得ません。ウクライナにして見れば不当に奪われた領土だということは間違いありませんが、具体性が強まれば政治的主張である該当性が高まります。ぶっちゃけて言うとクリミアには親ロシアの人々も多数います。反対意見が現実的に存在すれば、もうそれは政治問題です。
ともかく、
「ウクライナに戦争は要らない」
というメッセージが政治的主張なのかどうかはギリギリセーフのはずです。
結果的に現段階では、IOCも平和のためのメッセージだということで特に何もしないと表明していますが、プーチン大統領にして見たら腹立たしいでしょうね。とはいえ、プーチン大統領もロシア政府も「ウクライナに戦争は要らない」というメッセージに対して異を唱えるわけにはいかないので、黙殺するだけでしょう。
それで終われば良いのですが、問題はこれに反発して例えばROC(ロシアオリンピック委員会)所属として出場しているロシアの選手が、
「ウクライナはロシアのものだ」
などというメッセージを主張し出すと大変です。当然ながら紛れもなく政治的主張ですが、これに対してIOCが何らかの処罰を与えてしまうと、今度はロシアが反発します。
ロシア側にして見れば、ウクライナ人選手がメッセージを出しても罰せられなかったのに、なぜロシア人選手だけ処罰を食らうのか、という理屈で抗弁してくるでしょう。ただでさえロシア国内では政府もマスコミも民衆も、ウクライナ危機は欧米の反ロシア野郎が企んだ罠だという見解が一般的ですので、ROCが選手達には政治的メッセージを出さないように厳命していても、やらかす選手が出てこないとも限りません。
オリンピックを「平和の祭典」というのは、理想はともかく現実は難しいものの、公然と平和を非難する選手が出てきたら、IOCも黙ってはいられませんが、もしロシアに肩入れする中国政府まで口出ししてきたら、IOCは板挟みで何も出来なくなるでしょうね。









