平繁無忙の何でも書くブログ

  • 早寝早起きする子供にシンパシーを覚えますか?

     若い頃ならともかく、年齢が増してくると夜更かしが翌日に堪えます。徹夜なんてとんでもない。明らかに翌日の行動に差し支えます。

     しかし、若い時分には一日くらい夜更かししてもなんともなかったです。高校時代は帰宅部だったこともあるのだと思いますが、授業を真面目に受けるくらいなら深夜どころか明け方まで起きていても平気でした。
    運動系の部活や吹奏楽部のように練習が厳しいクラブに入っていて、朝練があったりすればとてもそうはいかなかったと思います。最近の子供はスマホ、インターネットで夜中でも布団の中でひたすら時間を潰せますから、夜更かしの度合いも私の若い頃より半端ないのではないかという気がします。

     むしろ、部活もないのに真面目な子が、ただ真面目ということだけで、夜更かしもせずに夜の9時や10時に寝て朝の5時6時に起きていたら、むしろそれはそれでなんというか怖いと言ったらアレなんですが、へーすごいね、といった感じで少し引いてしまうかも知れません。部活で帰ってきたらバタンキューと眠り、朝練が6時に始まるとか理由があるなら別なんですが。

     中高生が夜中3時4時までなんやかんやとダラダラ夜更かしするなんて当たり前のことです。昔は違った、子供は真面目だった、という反論が当然あると思います。クラブ活動があろうがなかろうが真面目に早寝早起きしていた、という人はいるかもしれませんが、それは社会や家族など周囲からのプレッシャーが存在していて、かつ夜更かしするにしても物理的に無理だったからです。早寝早起きを家族もしていて、部屋の明かりを夜中までつけていたらバレる、テレビの音が漏れてバレる、そもそも一人きりになれる部屋が無かった、という子供時代を送っていた人は、現代の子供の環境と比べることは出来ません。

     しかし、前述の通り、今の子供は消灯した自室の布団の中で、スマホ一台で明け方まで楽しむことができます。今は家族からのプレッシャーがなく、物理的に夜更かししやすくなっている状況ですから、子供の夜更かしを防ぐのは非常に難しいと思います。スマホの設定によって使用時間を制限することは可能ですが、保護者にある程度のITリテラシーが必要です。なにがしかのマニュアルやアドバイスを聞いてなんとか設定しても、子供の方が早くITリテラシーを学びますから、すぐにすり抜けられてしまうでしょう。あるいは、すり抜けられない制限をかけると今度は子供に多大なストレスがかかります。

     激しく怒ったり、物理的に制限をかけたりすることで夜更かしをさせないようにするのではなく、保護者と子供がお互いに話し合って理解させる、というよりも理解し合う、という状態にする方がいいのではないでしょうか。

  • ガンバ大阪のフィロソフィーもしくは傾向

    あくまで、20年近くガンバのサポーターとして試合を見続けてきた一人としての感想ですが、こんな感じかなあと思っています。主に2000年代以降に当てはまります。フィロソフィーというよりは傾向といった方が近いかも知れません。

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    攻撃に関しては、調子が良いときは同サイドをショートパスで攻め続ける。一気にサイドチェンジすることはあまりない。調子が悪いときはロングボールを収めたFWが頑張る。パスサッカーと言われることも多いが、低い位置から何が何でもショートパスというほど徹底しているわけではない。ただ、敵陣の片方のサイドでずっとパスを回し続ける。とりあえずクロスを入るという攻め筋は行わない。ある程度の約束事を決めておいて、最後は個の力、個の閃きで得点することが多い。

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    守備に関しては、調子が悪いときは人数をかけて引きこもって何とか耐え忍ぶ。オールコートハイプレスのようなことはしない。調子の良いときは守備の人数は減らして失点は覚悟する。見方を変えれば、「攻撃は最大の防御」を実践している。なのでチームが好調時は攻め続けて相手はカウンターとセットプレーくらいでしか攻め筋がない。必然的に失点が減る。ただし攻撃陣の調子が落ちてくると、得点も失点も増大する。さらに調子が悪くなるとただ失点だけが増える。守備に関しても個の力に頼ることが多い。

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    選手構成としては、前線は強力な外国人FW(エムボマ、アラウージョ、マグノアウベス、バレー、ルーカス、パトリック、ファン・ウィジョなど)と日本人FW(松波、吉原、大黒、播戸、平井、宇佐美など)のコンビが多い。中盤はユース育ちの才能ある若手MF(稲本、橋本、二川、家長、倉田、井手口、堂安など)と移籍組のMF(遠藤、明神、今野など)で構成される。ディフェンスラインは別のJクラブから獲得した実力あるCB(山口、シジクレイ、岩下、ファビオ、三浦など)と生え抜きのSB(新井場、安田、下平、藤春など)、GKはDFと同じく移籍選手(藤ヶ谷、東口)と生え抜き(都築、松代、日野、木村、田尻、林など)を組み合わせる。

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    監督についてはJ初期の頃は除いて、他クラブで高評価だった日本人監督(早野、西野、長谷川)が本筋。外国人監督(セホーン&ロペス、クルピ)で降格危機になったら、選手時代にガンバのレジェンドだったコーチ(松波、宮本)を昇格させる。

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    ガンバのファン・サポーターの方からはツッコミどころが多いかも知れませんがご容赦ください。ガンバの対戦相手のサポーターの方は攻撃や守備を頭に入れておくと試合観戦でもう少し楽しめるかも知れません。

    選手構成に関しては、現在のガンバ大阪の選手構成と見比べると今は日本人FWと、ユース育ちの若手MFが不足していますね。個人的には一美(レンタル中ですが)、芝本、奥野あたりに期待しています。

  • バイトテロ対策としての縁故採用

    最近バイトテロと言われる、飲食店などで従業員が悪ふざけで不衛生な行為をしてそれをSNSにアップする問題がかまびすしいですが、縁故採用をメインにすることである程度は防げるんじゃないですかね?

    昔、新卒一括採用システムが一般化されるまでは、経営者や既に勤めている従業員がその親類・知人経由などの縁故を頼って雇う縁故採用が当たり前でした。

    その後、企業が拡大して大量の人員が必要になると、新卒を一括で採用して自社で鍛えて一人前にするようになります。これはこれで高度経済成長期には非常にマッチしたシステムだったのだと思います。好景気の時は売り手市場、不景気の時は買い手市場になるのは当然ですが、その後、低成長の時代になり合わせて少子化の時代がやってきました。

    そうなると、企業側は非正規雇用を増やしますが若い世代が少ないため、雇う人をとにかく見つけることに専念し、入ってからは簡単なマニュアルと研修ですぐに現場に放り込むようになります。

    そんな現場では正社員も少なく、非正規従業員に対する管理の目も行き届かないですから、いわゆる「バイトテロ」が発生する土壌が生まれてしまいます。

    別に今の若い世代だけが倫理や道徳に問題があるとは思いませんが、SNSの使い方については物心ついた頃から存在するために慣れすぎているという問題はあると思います。ウェブ上にアップしたらいけない言動が何か、ということを学んでいないということですが、それは雇用主である企業が教えることでもないでしょう。家庭や学校で教えるか、SNSを提供しているプラットフォーム企業が利用時に注意を出すべきものだと思います。

    しかし、企業としては何とか人手を確保しなければなりませんが、求人サイトなどを利用して広く募集して初めて会う人間を雇う、ということについてリスクは残ります。そうやって見つけた人がSNSを注意深く利用する人かどうか分からない上に、その企業に対する愛着も忠誠心もない(当たり前ですが)状態の人だけで現場を任せることになります。

    そこで、せめてその企業に薄くとも関わりがある人を雇う縁故採用をメインでの採用手段としてはどうでしょうか。毎年何百人も雇うような企業では出来ないでしょうが、数人レベルならインセンティブ次第では可能だと思います。

    雇われた従業員にとって、その仕事を紹介してくれた人とのつながりを意識していれば、馬鹿げた行為をSNSにアップすることに対しての心理的制約に出来るのではないでしょうか。

    また、雇われる方にとっても親類や知人による紹介ですから、詳細を知らない企業に入社したらブラック企業だった、ということが減るはずです。

    かつての若者が多い時代は縁故採用はコネ入社として非難されました。みんなと同じように過酷な就職試験や面接を経て公平な競争を通して入社するのが正しい就職だと思われていました。しかし、この若者世代が少なく、かつブラック企業問題が存在する現代においては、縁故採用は雇う方にとっても雇われる方にとっても良い手段ではないでしょうか。

    ちなみに冒頭の画像は裏返った「ネコ」です。

  • 巨大IT企業を分割して望み通りの結果になるのか?

    GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と呼ばれる巨大IT企業が政治家から非難されることが多くなりました。(その政治家が属する国への)納税額が売上に比べて極端に少なく、(その政治家が属する国における)利用者のプライバシーにも配慮せず、Webサービス上において独占的地位を占めるようになったからですので、政治家にとっては当然の行動なのだと思いますが、以下のリンクにあるような、巨大IT企業を強制的に分割して影響力を低下させようという要求は果たして実現するでしょうか?

    アマゾンなどハイテク大手解体目指す ウォーレン議員
    https://jp.wsj.com/articles/SB10905485610916124090804585169030579930118

    まず、この政治的理由による民間企業の強制的分割が出来るかどうかについては、アメリカではAT&Tという実例が存在します。公正取引委員会が電信電話網の独占的地位を疑問視した結果、AT&Tは地域毎に分割されて全米における影響力を低下させました。GAFAによるロビー活動や、便利さを失う利用者からの反発次第では分割は難しいかもしれませんが、大統領と議会の両方が認めれば可能でしょう。

    では、分割が実行された結果、それらの巨大IT企業は実際に独占的地位を失うでしょうか?

    この点において、政治家が期待するような効果が出ずに、逆に緩やかな連携を持つGAFA派生企業連合のようなものがさらに強大な力を持つ可能性があると思います。

    AT&Tのような、広大なインフラを持つ企業が一度インフラごと分割されてしまうと、再度インフラを全米に広げるのは相当困難ですが、GAFAのような、Webサービスにおける展開はあっという間に実行可能です。分割されても物理的なインフラはサーバくらいですのでソフトウェアサービスを新たに大きく広げる制約は、重厚長大産業に比べると非常に少ないはずです。

    さらに、現時点でのGAFAたちを分割することによって、かえって企業経営が効率的になり、分割したそれぞれが巨大になる可能性もあります。

    巨大であることは抱える事業同士で密接な連携を取ることで事業間は低コストでサービスを展開できますが、その分、他社から受け取る対価を受け取っていないとも言えます。分割してそれぞれが独立し、提供するサービスに応じた正当な対価を正確に受け取ることが出来たら、伸びる事業は今以上に伸びることになります。

    AmazonもGoogleもFacebookもAppleも、いくつもの事業体を抱えている。
    Amazonはネットショッピング(物販、デジタルデータ、ストリーミング)とサーバ事業(AWS)、
    Googleはウェブ広告、サーバ事業(GCC)、Androidなど、
    FacebookはFacebookとInstagramの二大SNSを抱えています。
    Appleは、ハードウェア販売が本体ですが、ハードと密接につながったウェブサービス(AppleMusic、iTunes、アプリストア)からも大きな売り上げがあります。

    こういった各事業部門のそれぞれが分割されて独立した企業になることによって、高収益部門はお荷物部門の負担から解放されてさらに巨大になる懸念はないのでしょうか?

    事業部門レベルではなく、それぞれがCEOを抱えてトップからの意思決定が迅速化することで今以上に巨大化してそれぞれの分野で独占的地位を占める恐れはないのでしょうか?

    巨大企業に批判的な人たちにとって、GAFAのような存在はモンスターのようなものかも知れませんが、モンスターと異なり、分割されてもそれぞれが存続し続けます。

    9つの頭を持つヒュドラは確かにとんでもない災厄ですが、災厄としては1つです。もし、その頭ごとに分割した後にそれぞれが独立した怪物としてバラバラに移動するとしたら災厄が9つに増えることになります。しかもそれぞれが成長していくのですから、本当に分割した方がいいのかどうかは考えるべきでしょう。

    非効率部門を抱えた状態で巨大企業として存在させておいて、その状態で政府として制約をかける方が、本来の目的を達成しやすいかもしれません。分割が手段ではなく目的とならないように、言い換えると、GAFA分割自体が政治家の政治的業績とならないように注意すべきです。また、政治家側の要求にしたがって分割された後の各企業が、いわば政府のお墨付きを得たような印象を与えてしまう危険性もあるのではないでしょうか?

    巨大IT企業がもたらすメリットよりもデメリットが大きいと考えて、分割・解体させようとしているのだと思いますが、果たして本当にそれによって目的が達せられるのかどうか、政治家も政府も利用者もしっかり考えた方がいいでしょうし、それは日本人としても対岸の火事ではなく、思考テストとして考えていても損は無いでしょう。

  • 5Gと先行者利益とリスクヘッジ

    今、IT関連のメディアでトップページに5Gの文字が見当たらない日はほぼ無いのではないでしょうか?

    5G(第5世代携帯電話システム)はすっかりここ最近のモバイル分野の話題をさらっています。SamsungとHUAWEIの2社は、2月に開催されたMWC19の直前に、折りたたみスマートフォンを発表しました。そのどちらも5Gに対応しています。

    そしてMWC19では華々しく5G通信システム対応の機器が発表されました。

    5G時代スタートを実感させたMWC19 Barcelona
    https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/mobile_catchup/1174265.html

    残念ながら日本の通信業界は5Gの最先端の波に乗り遅れてしまいました。しかし、記事中で筆者が書かれているように、3Gや4Gで日本が最先端にいたためにかえってフォロワーである他国でのスムーズな展開を日本のメーカーやキャリアが出来なかったという面がありますので、5Gに関しては他国での先行展開を見極めた上で、何が必要か、どんな点に注意がいるかを見ながら普及させるのも良い手だと思います。まあ、3大キャリアが高すぎる通信料に対して、アンテナや最新技術などのインフラ整備に必要だという言い訳してたのが通らなくなりますが。

    以前投稿した
    わざと、鈍く
    https://note.mu/hrsgmb/n/n1af637553c8d

    にも書きましたが、最先端をひたすら突っ走るのも大変です。また、先行者利益が見込まれる一方でリスクもあります。先日のボーイング社の最新旅客機であるボーイング737MAX型機の墜落事故は、「最新=最も安全」ということとは限らないことを図らずも証明してしまっています(くだんの墜落事故については現時点では原因は分かっていません)。

    そもそもIT業界で本当に先行者利益というのは存在するのでしょうか?
    検索システムでいえば、Yahoo!やinfoseekなどがありましたがGoogleが完全に駆逐しました。SNSですと日本のmixiやアメリカのMySpaceはFacebookに叩きのめされました。そもそも、その前に日本の携帯業界ではiモード(それに類するauのezwebなど)が標準になっていましたが、AppleのiOSアプリとGoogleのAndroidによって、フィーチャーフォンからスマートフォンに大きく転換されました。日本がなかなかキャッシュレス社会に移行できないのも過去に整備された銀行システムの出来が良かったからです。ATMがあらゆる場所に整備され、現金をほぼいつでもほぼどこでも引き出せる便利なシステムを構築しましたが、それが故にキャッシュレス社会への移行を阻むほど、簡単便利に現金を使える世の中になっているためです。同じくインフラレベルで言うと、電話回線も日本は固定回線が日本中に張り巡らされています。一方発展途上国では電話線を国中に整備するのは非常に大変ですが携帯電話の端末と設備が既に先進国で実用化されて安くなっているため、国中を結ぶ携帯電話網を構築して固定回線は光回線も含めて、都心部の一部のみで充分です。

    こうしてみると、ITに関しては最先端を追う国々で生き残ったのを後から追う国が取り入るのが、もっとも少ないリスクで最先端に近い技術を享受できそうです。そして日本は実用面では二番手グループになりつつも、その部品レベルでBtoBの供給を一番手グループに行う、という戦略が良いのかも知れません。

    話は戻りますが、5Gがもたらす変革のうち、5Gでないと出来ないものはどれくらいあるのでしょうか? いろいろな面で社会が変わる! と大見得を切るような宣伝が多いのですが、高速化されたWi-Fiでもいいような内容も多いような気がします。なぜ、5Gよりも安定していそうなWi-Fiではダメなんでしょうか。

    5Gはこれまでのモバイル通信よりも遙かに高速化できますが、様々なシステム特にIoTでは通信の安定性の方が最高速よりも重要なはずです。途切れたらデータの連続性も信用性も無くなるはずです。
    5Gによって速度も安定性も増すのかも知れませんが、そもそもその5Gシステムに重大な障害が発生したときに、5Gでしか通信できない体系だと何も動かなくなるのではないでしょうか。Wi-Fiにオフロードする仕組みが備わっていれば、5G通信のみに障害が出ているが有線通信は大丈夫な場合、そのシステムは稼働し続けます。

    Wi-Fiと5Gを一緒に、さらに可能ならばBluetoothも含めて複数の通信システムをシームレスに統合して、何があろうとも途切れずに通信し続けることができるシステムが一番理想なのではないでしょうか。

    そしてそのようなシステムは最先端を追わなくても、既存技術を組合せで出来るはずです。アメリカや中国のように5Gで先行している国を出し抜くチャンスでもあると思います。

  • Appleの戦略的転換の必要性(iPhoneを安くしてください)

     先日、SamsungとHUAWEIが相次いで折りたたみスマホを発表しました。べらぼうな値段なのですぐに普及するものではありませんが、スマートフォンにおける最新技術に関して、iPhoneを要するAppleがその二社に先行されている感は否めません。Appleは頻繁にアップグレードや新商品を行う企業ではありませんので、今年折りたたみiPhoneが出ないとも限らないのですが、iPhoneに関しては事前にリーク情報が出回るのが最近の常ですから、当面は折りたたみiPhoneの発表は無さそうです。

     iPhoneは端末価格が高額であることがこれまで、新興国市場での低価格Android端末に大きく市場を奪われてきた原因でしたが、ハイエンド端末としても機能面で競合機種に劣ると見なされれば、先進国市場でも益々シェアを落としていくことになります。現時点でも日本以外の先進国市場ではiPhoneは劣勢でしたが、もしかすると日本でも苦しむようになるかも知れません。

     AppleがiPhoneに高値を付けているのは、もちろん理由があってのことです。品質(本当に高質かどうかはともかく)維持のためだけではなく、iOSの開発費用も必要ですし、世界中に展開するアップルストアの維持費も必要です。また株主への配慮も必要ですから、高収益企業であることを証明し続けないといけません。Appleは株主配当を行いませんが純利益を積み上げ続け、たまに自社株買いを行って株価を上げることで株主に利益を還元しています。上場企業である限り株主を気にするのは当然ですが、今のAppleは株主を気にしすぎのような気もします。そのためにiPhoneなどの値付けを高額にせざるを得ません。その結果、販売台数が当初予想より減り、かえって市場で株価が弱気になる材料を提供してしまっています。

     もうAppleはスマートフォン単体でのハイエンド競争の最前線で、SamsungやHUAWEIと戦い続けるべきではないと思います。画面パネルや半導体の開発・生産システムを抱えるSamsungはグループ全体での利益を考えればGalaxyをそこまで高額に設定する必要がありません。HUAWEIにしても、先進国よりも安いが大量に顧客がいる自国で売れることを考えると他国での値付けを高額にしなくても利益を確保できます。一方Appleは生産拠点を自社で抱えないことで低リスクで高リターンを効率よく得られましたが、コモディティ化したスマートフォンにおいて限界が見え始めました。ハードウェア生産で他社に依存していますから原価を抑えるのが難しいためです。Android端末を開発してOEMやODMで安く作ったロットを売り切るだけでいいスタートアップ企業は、コモディティ化したスマホ分野で充分利益を上げられます。しかしAppleにはそれは出来ません。
     いわば、今のiPhoneは少しずつ、かつての日本家電業界におけるテレビ事業のような状態になりつつあります。このままだとジリ貧ですが、見方を変えてスマートフォンだけではなく、自社の強みを生かせる形で売上・利益を確保するようにすべきです。

     Apple製品の強みは、ほぼ全ての商品・サービスが連携して一体化している点です。デザイン的にiPhone・iPad・MacBookなど一目でApple製品だと分かるようになっているだけではなく、iPhoneで書いているメールをMacで引き継いで書けますし、iPadで開いていたウェブページをiPhoneでも1タップで開くことが出来ます。Apple以外の企業の製品でもそういったことが出来ないわけではありませんが、標準機能で可能なApple製品ほど簡単かつシームレスに出来るわけではありませんので、これは間違いなくAppleの強みと言えます。

     iPhone・iPad・mac・Apple Watch・AirPodsなどのハードと、macOS・iOS・AppleMusicなどのソフトと、各地のアップルストア・オンラインストアの販売チャネルで形成される強固なエコシステムの全体から広く、顧客から利益を得る方針にすれば、各商品の単価を下げることも出来るでしょう。
    iPhone単体の単価も下げることができ、かえってSamsung・HUAWEIなどの競争相手と値段で勝負できるようになります。そうすれば販売台数を増やせますし、iPhone所有者にiPhoneだけではなく他のApple製品にも手を出してみようか、という気にさせることが出来ます。現在は、一番の目玉商品であるiPhoneのみで顧客から多額の利益を得ようとするから高額な値段設定にせざるを得なくなるのです。その戦略は変えた方が良いでしょう。

     逆にサムスンやHUAWEIはそこまでのエコシステムは持っていません。AndroidはOSとして順調に発展してきてAndroidスマホもver.4.4(KitKat)あたりからiOSと張り合えるようになりました(ちょうどGoogleがNexus5を出したころです)が、Androidタブレットは低調なままです。市場においてiPadほどの影響力を持っていません。タブレット端末はiPadもしくはWindows端末の2択になりつつあります。スマートウォッチ市場も同様で、Samsungが踏みとどまっているくらいで、スマホと連携したスマートウォッチとしてはApple Watchの一強です。パソコンとの連携に関しては、MicrosoftがWindowsPhoneを諦めた一方でWindows10とAndroid端末の連携がやりやすくなりました。しかし当たり前ですがiOSとmacOSほどの連携は出来ていません。スマホ・タブレット・時計・パソコンをメーカーバラバラで購入して、連携が限定された(もしくは存在しない)状態での使用しかできません。この点にAppleの企業としての戦略的価値があります。

     さらに言うと、Android端末のメーカーは自社でOSを作っているわけではありません。WindowsPCのメーカーも同じです。ある意味、GoogleやMicrosoftに依存していることになります。AndroidやWindowsに自社の方針を反映させるためには、GoogleやMicrosoftと緊密な関係を結ぶ必要があります。Microsoftは北京にも開発拠点を置いていますので、中国政府との関係は良好ですが、Googleはそのサービスを中国国内において遮断されています。Android自体はオープンソースですので、GoogleがAndroidを中国メーカーに使用を禁止させることは出来ませんが、例えばHUAWEIが最新の技術を開発してAndroidの機能として使えるようにするところで問題があるかも知れません。そういうことはAppleの場合では社内の折衝だけで済みますから大きな差があると言えるでしょう。

     結論としては、AppleはiPhoneだけで多額の利益を確保しようとするからかえってシェアを落としているので、Apple全体のエコシステムの中で広く浅く利益を得ることで各分野でのシェアを増すことが出来るはず、ということです。さらに今後は、家電、IoT、電気自動車などとの連携を取ることになるでしょうし、その点でもAppleは自社で完結できれば非常に有利なはずです。スマホもパソコンもあるいは他の分野でもOSレベルを他社に依存しているSamsung・HUAWEIはAppleほど幅広く各製品・サービスを統合することは出来ませんから、さらにコモディティ化したスマホやITガジェットにおいて低価格競争に苦しむことになるでしょう。

  • ウェブ上における段落文頭の一字下げは必要か?

    日本語の文章において文頭の一字を下げて書くというのは日本語の書法としては当たり前のことだと思います。しかし、これは紙に手書きや活字で書かれている文章として必要なことであって、ウェブ上で読む文章においては必要無いというよりもむしろ不必要なのかも知れません。日本語に限らず英語でもインデントとして存在していますね。

    元々、紙媒体における日本語文章で、段落文頭の一字下げが必要とされたのは、読みやすさのためだと思います。

    紙という有限の資源で書く場合、一ページに文字を詰め込めばその分、紙を節約できますから、出版物としての原価を下げることが出来ます。行間が詰まっている文章はただでさえ読みづらいのに、どこで段落が変わっているのかが分かりづらいとさらに読みづらくなります。そのために文頭の一字を下げて、ここで段落が変わりますよ、ここで少し主張が変わりますよ、というサインだったわけです。

    しかし、ウェブ上の文章であれば基本的に分量の制限はありません。紙媒体のようなコストはかかりませんので、書きたいことの区切りを付けるための段落変更の際に一字下げるのではなく、行を一行以上空けることによって実現出来ます。例えば、こんな風に。

    これまで私がnoteに書いてきた文章では、空行と一字下げを併用してきましたが、そもそも空行を入れているのであれば一字下げは要らないんじゃないかな? という気もします。

    例えば小中学生が学校の作文でこんな書き方していたら先生に注意されるでしょうし、紙を無駄に使用してしまうことになりますが、ウェブ上であれば空行を入れた方がよみやすいですよね。一字下げを入れたとしても空行が無ければ結構詰まって見えてしまう場合もあります。行間設定やフォントや文字のポイント数によって読みやすい読みにくいということは左右できますが、逆に言うとそういう操作をしないと駄目ということであればやっぱりそれは利便性に統一性が無いことになります。そういった煩わしさをすっ飛ばして読みやすく出来る、という点では、

    こういった空行をところどころに入れた方がいいのでしょう。

    だからといって、

    こんな感じで、

    空行ばかり

    追加していると、

    読んでいる方にしてみたら

    こいつ何考えて書いているんだ

    という気持ちになってしまうんでしょうけど。まあ、ほどほどがいいんでしょうね。

  • CLOはリーマンショックの再来をもたらさないのか?

    日本の機関投資家において、企業向け貸出債権であるCLOの所有が増えているそうです。

    CLOの説明については
    CLO(ローン担保証券)の仕組みとポイントを分かりやすく解説
    https://finance-gfp.com/?p=2448
    こちらが分かりやすいかと思います。

    そして長期に渡る日銀のゼロ金利政策によって投資先に困った日本の機関投資家(銀行や年金など)が目を付けたのがCLOです。アメリカではFRBが日銀ほど極端な施策を取っていませんのでCLO以外の金融商品にも旨みがあり、CLOの人気が低下しているようですが、逆に日本からの需要が増えています。

    CLOは米国で人気低下、利上げ見通し後退で-日本からの需要は強い
    https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-25/PNBHS26S972M01

    果たして、このCLOは安全なのか危険なのか?
    絶対安全な金融商品など存在しませんが、邦銀が大量に抱えているこのCLOについてリスクを理解しているのでしょうか?

    このような邦銀の姿勢に対して、金融庁や地銀協会が警鐘を鳴らしはじめました。

    CLOローン担保証券、金融庁が調査 景気悪化時、不良債権化リスク
    https://mainichi.jp/articles/20190312/ddm/008/020/107000c

    ローン担保証券警戒 地銀協会長、リスク指摘
    https://mainichi.jp/articles/20190314/ddm/008/020/162000c

    かつてのリーマンショック時のサブプライム・モーゲージ債や、それを元にしたCDOや、さらにそれを中心としたCDSで大損害を出したのに結局懲りないんでしょうか。

    リーマンショックが起きる直前、アメリカの投資家が逃げ始めたような場面でも日本の投資家がさらに購入していましたから、今の状況が過去と重なって見えるのは私だけなのでしょうか。

    CLOを購入している人達は、CLOが「信用度の低い」方から焦げ付くと思っているかも知れませんが、12年前のサブプライムローンを元にした証券化商品はほぼ「全て」焦げ付いたのですが、CLOはそうはならないという確信は何を根拠に思っているのか知りたいです。CLOはサブプライムモーゲージ債とは違って、企業に貸し付けている債権を元にしているから大丈夫、と思っているのなら思い違いです。

    かつてのサブプライムローンの問題点は、返済能力が無い借り手に対して、ろくに審査をせずに貸していたことでした。そして不動産値上がり後に借り換えをさせて返済させていた自転車操業が行き詰まったところで不動産バブルの崩壊と、不動産ローンが焦げ付いたことでそれを元にした証券化商品が破綻していってリーマンショックが起こりました。

    不動産は値上がりし続ける、という理屈は幻想でした。
    そして、企業の株価も長期的には値上がりし続けるもの、という理屈も幻想なのではないでしょうか。

    ちょうど、先日、アメリカの株価も長期的にみて絶対に上昇するとは限らないということを、日本の株価を引き合いにして指摘している記事がありました。

    「数十年待てば株価上昇」は確実でない-日本を見よとガンドラック氏
    https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-13/POABFG6K50XS01?srnd=cojp-v2-domestic

    CLOが理性を保った貸付に基づいているのであれば、正常な範囲の焦げ付き率で収まるでしょうが、サブプライムローンの時のように、本来貸すべきではない企業への貸付を元にしたCLOが存在するとしたら、そしてその企業が倒産しCLOが破綻したら、CLOを保有する日本の機関投資家も大きな損害を受けることになります。そのような事態にならないことを祈ります。

  • 2019年Jリーグルヴァンカップ第2節ガンバ大阪対松本山雅FC観戦記

    大阪は強風に見舞われ、昼間には大阪モノレールがそのために一部区間で徐行運転するほどでしたが、夕方になると風は少し弱まりつつもその分寒さが増してきました。気温低下と強風により体感温度は真冬並みに感じられたこの日、ルヴァンカップ第2節としてパナソニックスタジアム吹田において、ガンバ大阪対松本山雅FCの試合が行われました。

    リーグ戦と異なり平日夜のカップ戦では客入りが少ないので、美味G横町での購入がしやすいという利点があるため、夕食をゆっくりスタジアムで摂ろうとほぼ開門時間の17時30分ごろに到着しましたが、「寒い!」

    とりあえず、藤春選手オススメの「春爛漫!えびのかき揚げうどん」を購入して自席にて実食。美味しい。かき揚げが素晴らしい。

    しかし寒い。あっという間にうどんの汁が冷めていきます。寒い中に冷めたうどんを食べるのは嫌なのでさっさと食べ終わりました。

    さてスターティングメンバーの注目はDFラインです。三浦、菅沼、キム・ヨングォンと3人並べてきましたがどうするのか。三浦の右サイドバックか3バックか。

    そしてもう一つの注目はおそらくボランチに入る高宇洋。これまでの試合では満足どころか及第点を取れる試合も無かったと思いますが、果たしてどうなるか。

    キックオフ直後にガンバにビッグチャンスがあったものの、わずか6分で試合はすぐに逆に動きました。90分通じて不安定だったキム・ヨングォンが左サイドで上がりすぎたところにロビングボールが上がり、ヨングォンが中途半端なヘディングで松本ボールとなり、さらに自陣深い位置でのルーズボールに藤春がためらって対応出来ず、中央に折り返されてのシュートに倉田がハンドを取られたフリーキックを直接決められて先制される、というどこかで止めるところがあっただろうと後悔したくなるような失点でした。前述の通り、監督の支持なのか自分の判断なのか分かりませんが、今日のキム・ヨングォンは位置取りがかなり高めでした。攻撃の組み立てに関与するためなのか相手の攻撃を押し込むためなのか、結局のところ効果的とは言いがたく、また個人レベルでのミスも多かっったため、チームにフィットしている状態ではありません。この状態が今後の試合でも続くのであれば、宮本監督がスタメンから外す決断を下してもおかしくないかも知れません。2008年の水本のようなことにならなければいいのですが……。

    しかしこの日はこれまでとは見違える動きを見せる高宇洋が相手のチャンスを摘み取り続けます。パスコースを遮ってボールを奪い、ボールを持った相手に正確にプレスをかけ、DFラインから中盤にかけて中短のパスをつなぎ続けて試合のリズムを作っていきます。松本がターンオーバーしてきたこともあるのでしょうが、このレベルで守備が出来るのであれば今後も間違いなくトップチームで出番はあるでしょう。まさに覚醒という出来でした。

    そして高の守備によって松本の攻撃が寸断され続けるのを確認したからか、相方の遠藤がほぼフォワードのようなポジションに入りファン・アデ・ヤットの3トップのような形になります。ガンバで遠藤がFWに入る時というのは概してチーム状況が良くない時なのですが、まさにこの試合では良くないチーム状況を立て直すために前線に陣取った感じでした。サブメンバーの松本DF陣は、この老獪なフリーマンのふわふわ漂いつつも相手の嫌なポジショニングを取り続ける動きについていけません。守備の高と攻撃の遠藤でガンバがピッチを制しはじめます。

    遠藤が上がったことで高が中盤で一人残る形になりますが、運動量が多い倉田と小野瀬が攻守にスペースを埋め、アデミウソンがしばしば下がって攻撃の組み立てに参加するのでボールは回り続けます。J1のリーグ戦ですとここまで上手くはいかないでしょうが、上手くいっているうちにゴールが生まれます。

    前半31分にガンバ右サイドで三浦の縦パスが相手に当たったところを小野瀬が詰めて奪い、高い位置にいた遠藤がすかさず最前線のウィジョに送り、短いラストパスを小野瀬が冷静に決めて同点に追いつきます。遠藤が前にいることで分厚いショートカウンターが実行できたという結果となりました。

    さらに34分に同じようなショートカウンターが見事にはまります。中盤で相手の不用意な緩いパスをアデミウソンが身体を強く当てて奪い、ドリブルで持ち込んで後ろからきたウィジョに渡してしっかりウィジョがゴールを決めました。この時のウィジョはカウンター発動時にも相手を押さえ込んではじき返し、ゴールシーンでも相手のチャージに耐えて落ち着いて流し込みました。2トップのフィジカルコンタクトの強さが明らかに出たシーンでした。

    結局この後は両チームともゴールは生まれず、2-1でガンバの逆転勝ちとなりました。60分以降ガンバ側の雑なプレーが続いて嫌な時間帯になりましたが、この試合の松本のメンバー相手には何とか追いつかれずに済みました。しかしあのような緩んだ時間帯はリーグ戦だと命取りになるでしょう。

    ガンバの選手交代がかなり遅めでしたが、戦術的な理由で替える理由が無かったのもあるでしょう。交代で入ってきた3人は渡辺、藤本、今野というベテランで、明らかに試合をクローズさせる目的でしたが、3人とも無事ミッションを終えて何事も無く試合終了出来ました。

    ガンバがほぼベストメンバー、松本がほぼサブメンバーということで勝ってもらわないと困るというのがガンバサポーターとしての気持ちですが、勝てたことでチーム全体の良い雰囲気を保って日曜の川崎フロンターレ戦に臨んでもらいたいと思います。

    そしてこの試合のマン・オブ・ザ・マッチとしては高宇洋を挙げたいです。ゴールを決めた小野瀬、ウィジョはもちろん、アデミウソンも遠藤も良かったですが、これくらいのプレーはやって当然という実績がこれまである選手達です。高宇洋はこれまでの試合で苦しいプレーで悔しい思いをしてきたでしょうが、このパフォーマンスなら試合に出て当然というプレーでした。若いときの(今でも若いですが)井手口の最初の頃を思い出しました。まだまだ今野が本来のレギュラーではあるでしょうが、コンディションが良くないときは高が出るというケースが今後も続くでしょう。

    一方、鳴り物入りで加入したキム・ヨングォンですが、まだまだ本来のパフォーマンスにはほど遠いはずです。今後も試合は続くのでフィットするチャンスはありますが、左膝にガチガチに巻いているっぽいテーピングが気になります。左足を軸にして右足で強いボールを蹴るシーンがほぼ無いので、いくら左利きとはいえプレーが窮屈すぎます。フィジカルの問題であれば回復すればもっと良くなるのかな……。

    今後のガンバへの期待と不安が入り交じった試合でした。そしてかき揚げうどん美味しかった。

  • 日本核抑止私論〜核武装と核シェルター配備〜

     素人が素人なりに核抑止について考えてみればどのような思考をたどるか、ということを文章化してみました。専門家の方が素人の人に核抑止や核兵器の運用について説明するときの参考にしてもらえるなら幸いです。

     以前、インドとパキスタンの間での紛争が発生した際にこんな記事を投稿しました。

    核戦争の可能性と抑止力
    https://note.mu/hrsgmb/n/n51e40d99b691

     その中では、個人的な意見として印パ間での核戦争の可能性は低い、と書きました。そしてその最後に、極東での核戦争・核攻撃について少し触れましたが、この記事はその先行記事を踏まえての私論となりますのでお時間があればお読みください。

    核兵器による被害を防ぐには

     さて、先日二度目の米朝首脳会談がベトナムで行われましたが、予定を繰り上げて中止するほどの双方の主張の食い違いにより、事実上の決裂した会談となりました。結局北朝鮮は核兵器を所有したままであり、日本としても脅威が消えずに残り続けています。日本が核兵器による三度目の惨禍に遭うことは考えたくありませんが、現実問題として「東京を火の海にしてやる」と主張する国家元首がいる隣国が核兵器とミサイルを所有しているのですから、いかにして核攻撃を防ぐかということを考えざるを得ません。

     核兵器による被害を防ぐ方法としては、

    A 核攻撃されないようにする
    B 核攻撃されても被害を防げるようにする

     このAB二つがあります。Aはいわゆる核抑止です。核抑止を成立させるためには、核攻撃を考えている国に核による報復を恐れさせる必要がありますから、核兵器が必要になります。

     そこでさらにAが二つに分かれます。

    A-1 同盟関係にあるアメリカによる報復核攻撃の可能性による核抑止
    A-2 日本が独自の核武装して報復核攻撃の可能性による核抑止

    アメリカの報復核攻撃による核抑止

     現在、日米安全保障条約によって日米は軍事同盟の関係にありますので、上記A-1が現時点で採用されている選択肢となります。この選択肢の問題点は、「実際にアメリカが日本のために報復核攻撃を行ってくれるのか」そして「アメリカによる報復を北朝鮮が恐れるか」ということです。

     まずは前者の「実際にアメリカが日本のために報復核攻撃を行ってくれるのか」という点が実行されないパターンを考えてみましょう。すなわち、アメリカが日本を見捨てる状況が発生するということですから、アメリカ国内で極端な孤立主義が発生した状況になります。そうなると、その状況を「日米安保が無くなるのならNATOも形をなさないだろう」という推測の元に、ロシアが例えヨーロッパに対して好き勝手な行動を取ってもアメリカは関知しない、というシグナルとしてロシアが受け取ってしまう可能性があります。そうなると極東だけでなくヨーロッパでも、あるいは中東でもアメリカという重しが無くなったことによって、世界中に戦争の可能性が発生してしまい、それは結局世界中の経済に関わりがあるアメリカの経済をも破壊してしまいます。そうなっては結局孤立主義を取った意味が無くなりますから、アメリカが情勢の変化、特に日本側が日米安保を極端に拒絶しない限りは関わり続けるはずです。つまり、「実際にアメリカが日本のために報復核攻撃を行ってくれるのか」という点に対して疑念はありません。

     もう一つ、「アメリカによる報復を北朝鮮が恐れるか」ということですが、これもまさに米朝首脳会談が実施される理由であり、北朝鮮はアメリカにガチンコの武力でも核戦力でも到底かないません。軍事同盟を交わしている中国や、アメリカと敵対するロシアが北朝鮮を助ける可能性はあります。ベネズエラやシリアでのアメリカと中露の対立を考えると可能性がありそうな気がしますが、しかしそれらはアメリカが防衛側ではありません。北朝鮮が先制核使用した場合はアメリカと日本は防衛側に回るわけで、その場合、中露が侵略側の北朝鮮を守ることでアメリカとの戦争状態に陥る不利益を考えるでしょう。と考えてみると、これも可能性は非常に低いでしょう。こうしてみると、日米安保が堅持され、かつ極東における米軍戦力が維持できていれば問題無さそうです。逆に言うと、日米安保が危機に陥り、米軍が極東から大幅に撤退するようになると、日本が北朝鮮の脅威にさらされることになります。

    日本の核武装化による核抑止

     次に、A-2にある、日本独自の核武装を必要とする状況を考えてみましょう。

     前述の、A-1が成立する条件や理由がひっくり返された場合がそれにあたります。すなわち、アメリカが日米安保の破棄や無効を宣言し、米軍だけでなく国連軍も多国籍軍も有志連合も北朝鮮に対して懲罰的軍事侵攻を行わない、ということを北朝鮮が認識した場合です。言い換えると、日本に核攻撃しても核による報復の可能性が無いと北朝鮮が判断する、ということです。

     もちろん日本政府としてはそうならないようにしなければなりませんし、そうなる可能性も無いとは思いたいですが、もしそうなってしまったら日本独自の核抑止を実行せざるを得ません。そこで核武装ということになるのですが、果たして実現可能でしょうか?

     まず、核兵器の所有が憲法違反になるかどうかという問題が出てきます。日本国憲法第9条の条文解釈に踏み込むととてもじゃないですが簡単に結論なんて出せませんが、核抑止のための核兵器所有を単なる防衛戦力というのはかなり無理がある気がします。言い換えると、専守防衛の概念をどのように解釈するかによって、敵基地攻撃戦力の保持が合憲と違憲を分けますが、報復核攻撃のための核兵器を現行憲法での合憲範囲と考えることが出来るかどうか、ということになります。合憲だと政権が判断し、総選挙などでも有権者からの支持(あくまで間接的ですが)があればいいですが、違憲だと政権あるいは有権者が判断することになると憲法改正が必要となります。核武装だけではなく再軍備にも踏み込むことになるようでしたら改憲には相当な時間と労力がかかることは容易に想像できます。

     さらに現在、自衛隊には核兵器は存在しませんから、原子力に関する研究機関や発電所における運用から転用して兵器として開発する必要があります。また、北朝鮮でもそうですが核兵器を研究するだけでは駄目で、実際の利用可能性を高めるために核実験が必要です。しかし、今の日本には核実験を行えるような場所はありません。自衛隊や在日米軍の訓練場は、その周りを民家や農地が囲んでいますので、核実験による影響が及んだ場合に大問題になります。表面的な被害(山崩れなど)だけではなく、地下水脈を断ち切ったり放射性物質が地下水脈に流れ込んだりすれば反対運動は激化するのは間違いありません。だからこそ、アメリカやフランスは原水爆実験を自国の本土内ではなく、植民地だった諸島沖で行いました。そして、日本の第五福竜丸の被害はその中で起こりました。日本「国土」が核兵器の被害に見舞われたのは広島と長崎の二回ですが、日本「人」が核兵器の被害に遭ったのは広島・長崎・第五福竜丸の三回です。この点は忘れてはいけません。その日本が太平洋だろうと日本海だろうと海洋での核実験を行うと、国内での反発はとてつもないものになるでしょうし、さらにこのご時世に他国にも影響が及ぶ海洋核実験はその周辺諸国からの非難も大きいはずです。

     陸地だろうと海だろうと、今の日本に核実験をおこなうのは技術的な問題よりも、核実験場の確保とその影響に対しての国内外からの反対が大きすぎます。そういった反対派や反対論を左翼だ平和ボケだと非難するのは無理があります。日本は核兵器の被害を「三度」体験した国家なのです。「四度目」の核攻撃を防ぐための方策は検討されてしかるべきですが、そのための核抑止として日本が核武装すべきかどうか、という点を忌憚なく議論すべきです。そしてそれは、賛成論を軍国主義とレッテルを貼るべきではないのと同様に、反対論を平和ボケとレッテルを貼るべきではないのです。

     こうした推論により、現状の日本では核武装をおこなうには非常に困難が伴うと判断せざるを得ません。さらに、ここまでのところでは費用の面を考慮していません。コストパフォーマンスを議論する以前での問題が多すぎると言えます。核実験の問題をクリア出来たとしても、それをなんらかの手段で敵地に撃ち込む能力を持たないと意味がありませんから、ミサイル技術も持たないといけません。単に発射するだけでなく、敵の迎撃ミサイルをかいくぐり、標的に確実に着弾するように誘導する技術も必要です。さらに、核ミサイルを管理する費用も通常の兵器よりもはるかに高くなります。もしテロリストに奪われたら大問題ですし、核ミサイルやその工場、管理場所にテロ攻撃を行われたら、核攻撃を受けたようなものです。それを防ぐには通常の爆弾やミサイルなどの兵器よりも厳重に防備・管理が必要ですから、その分さらにコストがかかります。北朝鮮のような国家体制であれば、実験も管理も国家的強制でどうとでもなるのかも知れませんが、現代日本ではそうはいかないでしょう。こうした点を踏まえると、核武装には技術・反発・費用の点でかなり非現実的と言えます。

    核攻撃されても被害を受けないようにするには

     ではもう一つの選択肢である、
    B 核攻撃されても被害を防げるようにする
     こちらを考えてみましょう。このBも二つのパターンに分かれます。

    B−1 核攻撃を受けても核シェルターで人的被害を防ぐ
    B−2 核攻撃を着弾前に防ぐ

     この二つですが、まずはB−1の核シェルターについて。

    核シェルターによる防衛

     まず、核シェルターを日本中に配備するのに必要なコストはいくらでしょうか?

     例えば、日本の各世帯(5000万と仮定します)に核シェルターを配備するとします。核シェルターは大きさ・機能・値段はピンキリですが、とりあえず1機あたりの生産コストと設置コストを500万円としますと、5000万世帯×500万円ですから、250兆円になります。世帯だけでなく、公共施設、交通機関、学校や企業など家庭以外にも設置することになるとトータルでは500兆円と見積もってもおかしくないでしょう。生産にかかる時間、材料調達にかかる時間、設置にかかる時間、そして費用をひねり出す時間を考えると1年2年で出来ることではありません。10年でも厳しいでしょうし、そもそもスペースに余裕がないのが大半の日本の家庭のどこに設置するのだ、という問題もあります。

     そういった難問をクリアできたとしても、長期間にわたって少しずつ核シェルターを配備していくのは少しずつ核保有国(この場合は北朝鮮)に控えめなプレッシャーを与え続けることになります。すなわち、「このままでは自分が持っている核攻撃力が無力化されてしまう」と北朝鮮が判断すると、「じゃあシェルターが完全配備する前にやってしまおう」という判断を下す可能性が増える、ということです。言い換えると、核シェルターの完全配備も挑発行為となるというジレンマが存在します。完全防御の中で相手国に対して無理な要求をすることが可能になるからです。「挑発するつもりなんてありません。あくまで自国を防衛するためです」という理屈が通るとは限りません。

     例えば、日本が北朝鮮の核兵器の被害を無力化できるシェルターを完全配備した後に、日米が共同して北朝鮮を徹底的に経済制裁し、瀬取りも出来ないように海洋封鎖し、軍事衛星を使って陸上ルートも中露に警告する、といったような締め付けをするとします。完全な経済制裁により北朝鮮はこのままだと国家が崩壊するので近場の日本に核攻撃するぞ!と日米を脅しても効果が無い、という状態となります。北朝鮮から見たら、日本が各シェルター完全配備するのは自分たちを完全に締め付けるために行うのだ、と判断してもおかしくない理屈になります。すなわち、専守防衛していれば他国を挑発しないことにはならないのです。

     自国の防衛を自国だけで行うようになるのは独立国家としていいことのように思えますが、前段で書いたように他国からは危険視される可能性があります。話は少しそれますが、それと同じことは軍事面だけではなく、食料やエネルギーの自給率も同じ理屈を展開できます。

     例えば、国民すべての食料を自国で全て生産できて賄える場合、他国からの輸入がストップしても生きていけるわけですから、経済制裁による食糧難は発生しません。同じくエネルギーに関しても、原油や石炭あるいはウランやプルトニウムを自国で生産出来る国は、経済制裁でそれらの輸入が出来なくなってもエネルギーに困ることはありません。自給率が高い国は侵略戦争を仕掛けても国際社会による経済制裁をものともしないということになります。その場合の抑止力としては物理的な報復攻撃もしくは国連軍や多国籍軍・有志連合といった諸国による軍事介入しかありません。逆に言うと、国家や国民が存続していくために必要なモノを他国に大きく依存している国は、他国に対して戦争を仕掛けるような真似はしづらいということになります。非常に重要な物資あるいはサービス(現在ですとインターネットなど)を他国に高レベルで依存しているという状態は、非常時に国家の存続が不安定化するというデメリットはありますが、他国から、また同じように自国民も、「そこまで他国に依存している国家は馬鹿げた戦争を行えないはずだ」という認識を持つというメリットもあります。その他国への依存を複数の国それぞれが同じように依存関係を持っている状況、相互依存が複雑に絡み合っている状況を作り出せば、どの国も侵略戦争が出来ないということになります。もちろん、現実にはそう上手く行くわけではありませんが、完全に依存しない国同士が並んでいるよりも、お互いに相手に依存している国同士が並んでいる場合は戦争は起こりづらいという理屈は理解しやすいと思います。

     また、核シェルターで防げるのは基本的に人的被害のみです。その他の農業生産や工業生産における被害は防げません。その後の経済的な損失は計算できないレベルかも知れませんし、放射能汚染された農産物を避けるために食料を大量に輸入する必要があります。核シェルターで生き残ってもその後には相当な困難が待ち構えているのです。

    迎撃ミサイルによる防衛

     では、核シェルターを設置せず、かつ報復核攻撃による核抑止も選択しないのであれば、残るは核攻撃を受けた際に、日本国内に着弾する前にミサイルを無力化するしかありません。日本近海に配備される日米のイージス艦および国内での配備が決まったイージス・アショアをはじめとする、各種の迎撃システムによって核ミサイルが日本に到達する前に、空中で破壊するということです。しかし、これは素人考えでも分かりますが相当に難しいはずです。サダム・フセイン率いるイラク軍によるクウェートへの侵攻から始まった湾岸戦争では、イラク国内からアメリカの同盟国であるイスラエルに向けて多数のスカッドミサイルが放たれました。当時の米軍発表及びアメリカメディアからの情報では、スカッドミサイルの大半を最新鋭のパトリオット迎撃ミサイルによって撃ち落とした、ということになっていましたが、時間が経ってみますと実はそれほど迎撃率は高くなかったと言われています。イラクからイスラエルまでのミサイルであれば高高度を飛ばすわけではないですがそれでも難しかったということです。北朝鮮から日本に発射される高高度からの攻撃はさらに迎撃が困難になります。湾岸戦争から三十年近く経っていますから迎撃システムも進歩しているはずですが、攻撃する側のシステムも進歩していると考えるべきです。

     また、仮に迎撃出来たとしても、核ミサイルが消えて無くなるわけではなく小さく飛び散るわけですから、破片が地上に落ちるという問題があります。普通のミサイルであれば最悪、直撃しない限り人が死ぬことはありませんが、放射性物質が広範囲に拡散するとなるとこれはこれで問題です。核兵器の実戦投入以来、核ミサイルを迎撃した際にどのような被害が出るか、という事例は存在しません。シミュレーションしか出来ない上に、そもそも本当に迎撃できるのかという問題があるのですから、かなり不安を抱える防衛システムということになってしまいます。ただ、出来るかどうかは別として、「防衛できる!」と口先だけでも宣言してしまえば、核攻撃しようとする側に対しての多少の牽制にはなるでしょう。迎撃出来るかも知れないし、出来ないかも知れない、という状況を作ってしまえば、相手側が先制核攻撃するのに躊躇する理由にはなります。

    日本だけが狙われるのか?

     北朝鮮が既に核保有国になってしまった以上、それを前提としてどうやって非核化するか、あるいは核攻撃の行使をどうやって制止するかということを考えなくてはなりません。四半世紀に及び、国際社会は北朝鮮の核開発を止められませんでした。その報いを受けています。止めるべき時に止めないとより大きな被害が出るということは、ナチスドイツに対する宥和政策の失敗で人類は学んだはずなのですが。

     そもそも、北朝鮮が核兵器を理性的に所有していて困るのは日本とアメリカだけです。ロシアや中国にしてみたら日米への強力な牽制材料になりますし、韓国は現政権の文在寅大統領は北朝鮮に非常に融和的です。アメリカにしてみても、北朝鮮がICBMを使ってアメリカに核攻撃してくる手段のみ潰してしまえばそれ以上極東情勢に積極的に関わらなくてもいい、と考えてもおかしくありません。トランプ大統領によるアメリカファーストという理念が、次の大統領も持たないとは限りません。状況が変わらなければ同じような選択肢を有権者が選ぶ可能性は大いにあるはずです。北朝鮮と決定的に対立する可能性があるのは日本だけなのです。

     日本が北朝鮮と決定的に対立せざるを得ないのは、冷戦時代における日本人拉致問題が存在することが大きな要因です。拉致問題に限らず、問題が発生した場合に迅速に対応しないと解決するのが困難になるのは自明の理です。時間が経てば経つほど証拠が減る一方で既成事実が積み上がり、元の状態に戻すことよりも現状を是認し維持する状況が形成されてしまいます。日本人拉致問題が小泉政権下で一気に進展したことの方が驚きであって、数十年も経ってしまえば進展がないのも無理からぬところです。もちろんその状態を肯定するわけにはいきませんが、拉致問題をすんなり解決できる政権がすぐに出てくる可能性は低いでしょう。

     話が少しそれました。冒頭でも書きましたが過去のこちらの記事

    核戦争の可能性と抑止力
    https://note.mu/hrsgmb/n/n51e40d99b691

     で検討したように、北朝鮮が近年のうちに核攻撃するとしたら対象は日本しかありません。日本以外を攻撃する条件としては、韓国でまた政権交代が起こり右寄りの大統領が北朝鮮に対して強硬手段に出るとか、中国が米中の緩衝地帯としての北朝鮮を直接支配しようと試みるとか、同じくロシアが米露の緩衝地帯としての北朝鮮を直接支配して不凍港を手に入れようとするとか、アメリカがこれ以上の強硬な対応を北朝鮮に取るとか、ということになりますが、どれも当分は無さそうです。

     ロシアにしても中国にしても、北朝鮮を占領しても旨みがありません。地下資源はありますが直接手に入れるよりも、経済制裁によるジリ貧で背に腹はかえられない状態の北朝鮮が極限まで下げた人件費で採掘したものを購入した方が安くつきます。プーチンや習近平が政権を問題なく維持できて理性を保っている限りは北朝鮮侵攻のような暴挙には出ないでしょう。北朝鮮が問題を起こして日米が対応に苦慮している状態が続けば続くほど、中露にとっては有利ですからこのまま放置し続けて、時々経済制裁をかいくぐって禁輸して北朝鮮の息の根が止まらないようにするはずです。

     韓国では文在寅が経済政策に失敗しつつあります。支持率も低下していますが政権を維持できないほどかというとそこまでではありません。そもそも前任の朴槿恵が辞めざるを得なくなったのはセウォル号事故で不満が高まった中での側近スキャンダルに火がついて、大規模なデモが発生して抑えられなくなったからです。もちろんそのような状況が現政権で起きないとは限りませんが、例え起きて政権交代が実現したとしても、その後の保守政権がどこまで極端に北朝鮮を追い詰めるか、というと難しいでしょう。度重なる左右の転換は国力を大いに損じますので、国家を立て直す時間が必要です。

     アメリカがさらに強硬手段を取るというのも考えづらいでしょう。トランプが2期目の選挙で負けて民主党政権になったとしても、あるいは共和党内部での指名選挙で負けるにしても、新大統領がいきなり強硬手段に出るというのは難しいはずです。前段の韓国の場合と同様、トランプ時代に引っかき回された連邦政府の立て直しが必要なはずです。そもそもトランプが次の選挙で負けると決まったわけではありません。中間選挙で共和党は下院で敗れましたが、中間選挙は政権与党が負ける傾向がありますのでこれをもって2020年の大統領選挙の前哨戦とするべきではありません。そして大統領の2期目の選挙は現職が勝つ可能性が非常に高い歴史があります。2期目の選挙で負けたのは直近では1992年のブッシュ(父ブッシュです)ですし、その前となると1980年のカーターです。そしてトランプが似せようとしているレーガンは1984年の2期目の選挙で歴史的大勝利を収めました。トランプもそうならないと誰が言えるでしょうか? 選挙以外での交代の可能性としては弾劾による辞任がありますが、トランプはロシア疑惑でずっと叩かれていても弾劾に至るほどの決定的な状況までには至っていません。こちらの可能性も低そうです。

     結局、北朝鮮の周辺国である日米韓中露のうち、米韓中露は大きく情勢が変わる可能性は少ないです。情勢が変わらなければ唐突に対北朝鮮政策が変わる可能性もありません。当面は北朝鮮の最大のターゲットは日本であり続けるでしょう。

    4つのパターンのまとめ

     ここまで合計4パターンを考えました。①アメリカの核に頼るか、②日本独自に核武装するか、③核シェルターでやり過ごすか、④迎撃ミサイルで撃ち落とすかの4つです。

    ①アメリカの核に頼るというのは現状維持を意味します。

    ②日本独自の核武装は例え技術面がクリアできたとしても、改憲や費用面や核実験、反対運動など困難が目に見えています。

    ③核シェルターでやり過ごすにしても、被害がゼロになるわけではないですし、これもまた多額の費用がかかります。

    ④迎撃ミサイルについては、実効性がどこまであるのか、破片をどうするのかという問題があります。

     結局のところどれも問題があります。実効性、費用負担、法律面、国内での反対への対応、国際社会における非難への対応といった諸問題を総合的に見て、戦後日本の歴代政権はアメリカの核の傘に入るという選択肢を取り続けてきました。他国に自国の防衛を委ねるという選択肢ではありますが、少なくとも費用的には安くつき、かつ冷戦構造の中では実効性が確実なものでありました。ただし、それが無条件でいつまでも選べる選択肢であるとは誰も保証してくれません。アメリカ合衆国が今後もこれまで同様の国是を持ち続けるとは限りません。極端な例ですが、トランプ大統領が日米安保を保持したいなら毎年今の10倍の駐留経費を払え、と要求してきた場合、日本政府として応じるでしょうか? 仮に応じたとしてもその次に20倍払え、50倍払え、と言ってきたらどうするべきでしょうか? もしも①以外の選択肢を選ばないといけなくなったときのために、この私論を少しでも思い出してもらえれば嬉しいです。

    最後に

     最後に余談ですが、核武装や核抑止の話を少しでも行うと帝国主義者や侵略戦争を美化する人間とレッテル貼りするのはいかがなものかと思います。自分たちが所有していなくても核兵器がどのように使われる可能性があるのか、使われないようにするにはどうすれば良いのか、ということはどんなに議論しても語り尽くせるものではありません。それを全く議論しないというのは思考停止そのものです。核武装にしろ核抑止にしろ、反対派としてはそれがメリットが少なく国益に適さない、という論旨で相手を説得すべきです。

     同じことは核武装論者にしても言えます。何のために核武装するのか、核武装することによるメリットとデメリットを冷静に判断した上で、それでもなお核武装を主張するのか。他の大国が核保有国であることや、周辺諸国が核武装していることが本当に自国の核武装の論拠になるのか。核武装せずに核抑止力を行使することは本当に出来ないのか。そういったことまで考えているでしょうか。まさか自尊心のためだけに核武装したいとか思っていませんよね?

     軍事も外交も安保問題も完全に素人ではありますが素人なりに考えてみました。お読みいただきましてありがとうございました。

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  • 日本相撲協会と政教分離

     日本相撲協会がかたくなに土俵に女性を上げませんが、あくまで宗教行事のため、ということであれば、本場所でも巡業でも政府や行政が関わるべきではありません。男性の首長の時には土俵に上がって賞状を読み上げて、女性の首長の時には代理を立てるというのは筋が通りません。宗教行事だから、という理屈を通すのであれば、憲法の政教分離の原則によって政府も自治体も大相撲とは関わらないようにしますね、と関係を断ち切らないとおかしいでしょう。

     そもそも、日本国憲法の政教分離の概念は戦前戦中の天皇崇拝・神道強制が侵略戦争の片棒を担いだ、とGHQが判断して、それを防ぐために加えられました。政教分離という概念は別に世界の民主的な国々で常識なわけではありません。イスラム主義国家はもちろん、キリスト教の影響が強い国は多数あります。日本に政教分離を強制した当のアメリカ合衆国自体が、プロテスタントの影響が非常に強い国です。選挙に勝ち大統領に就任した際に行う就任式では必ず左手を聖書の上に置いて宣誓します。

     戦後の日本の政治では政教分離の原則が保たれていました。時々、神社に玉串を備える費用を税金から出すのは違法だ、という訴訟がありますが、その程度です。神道と政治のつながりが時折糾弾されるくらいで、それ以外の宗教には社会もマスコミも非常に寛容です。創価学会が国立戒壇の設立を目指して公明党を立ち上げたときも大して反発は受けませんでした。左派に近いマスメディアにしてみたら、反政権・反自民の野党が増える分には構わないと思ってみていたのでしょうか。今となっては政権与党ですから防ぎようがありませんし、政策によっては自民の行き過ぎを防ぐようなこともしていますので尚更マスコミにとっては公明党を批判できなくなってしまいました。公明党を終始一貫批判し続けているのは日本共産党のみです。この点は立派といえば立派ですが、共産主義そのものが宗教を否定しているから自動的に批判しているだけで、別に確たる信念があってではないのかも知れません。ソ連や今の中国での宗教弾圧を見ていれば政教分離の行き過ぎた形がああなるというのは分かると思います。

     話が逸れましたが、神道以外の政教分離が結構あいまいに処理されています。冒頭に書いた、日本相撲協会が大相撲において女性を排除する理由として、伝統的な宗教行事であることを持ち出すのであれば、政教分離の原則を適用して政府や自治体は日本相撲協会と関わらないようにしないと筋が通りません。そして日本相撲協会も、法人格を公益財団法人から宗教法人に「宗旨替え」して、大相撲を宗教行事として実施すべきです。そして単なる一宗教団体の内輪の行事ですから、テレビ中継も無くして新聞のスポーツ欄からも記事を無くすべきです。スポーツではなく宗教だと日本相撲協会自身が主張していますから、マスコミも忖度してあげて宗教として取り上げるべきでしょう。

  • 大規模噴火時にどうやって発電するか

     愛媛県伊方町にある、四国電力伊方原発の運転差し止めに関して、反原発を唱える人達は、九州における大規模火山噴火により火砕流や溶岩が海を渡って原発に届いて福島のような原発事故が起きる、という主張をされています。現代科学では火山噴火の可能性や被害規模を正確に見積もることは残念ながら不可能ですので、その主張が正しいのかどうかも分かりません。可能性として存在することは理解出来ますが、それが果たしてどの程度現実的なものなのかどうかが問題になるのだと思います。確かに火山はいつかは噴火するでしょうし、その時に原発があれば被害が起きる可能性があるという主張は理解出来なくはありません。しかし原発を止めた分、必要となる発電能力をどこでカバーするのか、ということで再生可能エネルギーを持ち上げがちです。

     しかし、火山が大規模に噴火した場合、大量の火山灰が降り注ぎます。空気中にも上空にも大量の灰が舞い続けますので、太陽光が遮られます。それによって気温が下がるのに加えて、再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電がまず機能しなくなります。太陽光が遮られることによって発電効率が落ちるだけでなく、ソーラーパネル自体が大量の降灰で物理的に埋もれます。大規模なパネルや屋根の上のパネルでは人力で灰を取り除くのが困難ですし、自動化してワイパーなりロボットなりドローンなりを利用するにしても、そのための電力もさらに必要になります。
     そしてもう一つ、再生可能エネルギーとしてよく取り上げられる風力発電も、風車の羽や軸など稼働する部分に灰が溜まるはずです。海上にある風力発電機であれば、さらに海水を含んだ灰がこびりつくことになります。発電量の低下だけではなく故障の可能性も高くなるでしょう。
     既存の水力発電所も、降灰の影響を免れません。大量の灰を含んだ水で問題なく発電できるかどうか。

     しかも、上にも書きましたが、灰が大気中に拡散することにより大幅に気温が低下します。江戸時代の浅間山大噴火では、大量の灰によって気温の低下・太陽光の減少と灰そのものが田畑を覆ったことで、大規模な飢饉が発生しました。食料は備蓄を事前に蓄えておけば何とかならなくはないですが、気温低下による寒さを防ぐのは大変です。しかも、原発を止めていたら問題なく稼働できるのは火力発電くらいになります。

     ここまで、反原発の主張を否定してきましたが、じゃあ原発があれば噴火が起きても大丈夫!というわけでは当然ながらありません。冒頭に書いた火砕流が海沿いの原発を襲う可能性は変わりません。
     海岸沿いの原発が危険なのであれば内陸部に作ることになりますが、内陸部に建設された原発は河川や湖沼の水源から水を引いて冷却する仕組みになりますが、結局は水力発電同様、大量の灰を含んだ水で問題なくかどうするのか、という疑問が出てきます。

     原発推進派にしろ反対派にしろ、自分が主張することだけが真実だとみなし、お互いの問題点を指摘するのみで、建設的な議論を組み立てようとしている感じは見受けられません。想定されているような大規模噴火が起きれば、3.11の大災害をはるかに超える被害が起こりえます。そういった場合のお互いの主張の利点・欠点をお互いに認め合い、最終的な目的(必要十分なエネルギーをいかにして確保するか)を達成するためにどうするか、ということを話し合って実行するところまでいかないと、何も無いまま何も出来ないまま防げる問題を放置してしまうことになります。そうならないように、感情で相手を全否定するのではなく、あくまで問題点・相違点に絞って話し合う姿勢を意識することが必要です。