平繁無忙の何でも書くブログ

  • ガンバ大阪は構造的に変わることが出来るのか

    ガンバ大阪はリーグ戦ここ3試合引き分けです。

    名古屋戦は負け試合を引き分けに持ち込みましたが、神戸戦・広島戦は勝ち試合を引き分けに持ち込まれました。昨年の夏も終盤に追いつかれたり勝ち越されたりして勝ち点を失うことが多かったですが、今はサッカーの内容としても結果としても悪いというほどではなく、おそらく今年はそれほど困難を伴わずに残留できるでしょう。残留争い自体も昨年ほどの混戦模様ではありませんし。

    しかし来年はどうなるか分かりません。Jリーグはクラブ間の戦力格差が固定されているリーグではありませんので、今年リーグ戦上位だったチームが翌年に残留争いしているということが頻繁に起きるリーグでもあります。ガンバサポーターとしては2012年や昨年の苦しさは忘れられないものです。

    7月後半に入ってからようやくガンバも放出ばかりでなく獲得も増えてきました。とはいっても、シーズン中にこれだけ移籍するチームを率いるのは監督としては厳しいでしょうし、プレーしている選手も同様でしょう。シーズン終了後には監督や選手達への査定が行われる出しょうけれど、強化担当や経営層に対する査定や監査は誰がやるのでしょうか? 去年に引き続いて今年もこのような状態になっていることは誰の責任なのでしょうか?

    世界的にサッカーのグローバル化が進む昨今、DAZNマネーの登場もあってか、ここ数年のJリーグクラブの動きが激しくなってきたように思います。

    楽天、RIZAPやサイバーエージェントに加えてメルカリがJクラブ経営に参入してきましたが、参入先が鹿島アントラーズということは衝撃的でした。Jリーグ初年度からタイトルを取り続け、降格経験も無く、ACLも獲得して紛れもなくJリーグナンバーワンのクラブですから、親会社の意向があったとしても、鹿島アントラーズですら大きく変革の時を迎えていることに驚きました。

    経営権の委譲とまではいかなくても、それ以外のクラブも色々と考え行動し始めています。

    ガンバ大阪はどうなのでしょうか? どうなっていくのでしょうか?

    ワールドカップに出るクラスの国のリーグは、欧州リーグのスカウティングの対象になっている時代です。将来的に成長して大きな違約金・年俸を取りそうな選手は欧州のクラブが早めにつばを付けて欧州移籍させる時代です。有望な若手選手が長くJリーグの1クラブでプレーし続けることは今後は非常に稀になっていくでしょう。優れた選手ほど早くJリーグを離れることになります。

    ガンバ大阪が強豪チーム化した、西野監督の10年間を再現することは難しいでしょう。2002年の就任時には遠藤・二川・橋本・宮本らがいて、20代前半の若手選手をスタメンに固定して数年間プレーさせることが出来、結果として2005年のリーグ優勝を皮切りにナビスコ杯・ACL・天皇杯も獲得しました。

    しかし、10代後半から10数年間、30代前半にかけてレギュラークラスが同じクラブに居続けることはもはやあり得ません。すぐにヨーロッパに行く時代です。どこのクラブも毎年のようにスタメンが入れ替わる時代です。2006年からガンバで実現した黄金の中盤(二川・橋本・遠藤・明神)のような豪華な組合せは当分見ることは出来ないでしょう。

    せめて1年だけでもメンバーを固定して強くすることが出来ればいいのですが、今ではそれすら困難です。若くして欧州移籍した宇佐美や井手口は1年以上レギュラーでしたが、堂安は数試合スタメンで出た後にオランダに行きました。今年の夏に移籍した中村敬斗や食野も似たようなものです。20歳前後の選手が1年どころか数ヶ月スタメンで出てたらヨーロッパのスカウティングに引っかかります。もはや二川や橋本のような、ユース育ちで十数年スタメンをはるような選手は出てこないでしょう。

    西野時代の10年間はある意味、Jリーグがグローバル化される間際の10年間でした。世界システム論的にいうと、Jリーグはもはや周辺ではなく半周辺に組み込まれ、中核国家と密接に絡み合う人材供給源(そしてピークを過ぎた選手の派遣先)になりました。

    今のJリーグを取り巻く構造は数年前と劇的に変容しています。ガンバ大阪も構造的変革の圧力に晒されています。変わらなければJ2です。そして今のJ2は2013年に比べてさらに魔境度合いが増しています。さらにいうと、底なし沼から底が抜ける沼にレベルチェンジしました。底を抜けたところはJ3です。J2に降格したクラブ、そしてJ3に降格したクラブの苦戦を見るに、もう一度戻ってくることは非常に難しいはずです。大分トリニータは稀な例でしょう。

    悲観的なことばかり書いてしまいましたが、ガンバを飛び出してヨーロッパで活躍している選手を見るのも楽しいものです。先日は、堂安がいるフローニンゲンと中村敬斗がいるトゥエンテの対戦で、二人ともゴールを決めていました。いま、ユースにいてJ3の試合にも出ている唐山や中村仁郞なんかも順調に成長すれば、トップチームに昇格後にヨーロッパに行くことでしょう。ガンバだけではなく、Jリーグだけではなく世界中のリーグ・クラブがそのようなサイクルの中で動いていますから、悲観することでもないでしょう。どちらにせよ、ガンバ大阪サポーターは、パナソニックスタジアム吹田に足を運んで、目の前のガンバ大阪を応援するだけですから。

  • なぜリベラルは負け続けるのか

    効果が無かったモリカケ問題をあれほど執拗に追求し続けていたのも、倫理的には正しいのかも知れませんが安倍内閣打倒の戦略上は大失敗でした。注いだリソース、エネルギーはかなりのものになります。そして結果的には安倍内閣はずっと継続しています。

    何度も国政選挙を行っても国民がモリカケ問題に関心を示さなかったのは、はっきり言うと自分には関係ない問題だったからです。地方(大阪)のさらに地方(豊中)における大して大きくもない学校法人の問題と、これまた地方(岡山・愛媛)の新設獣医学部の問題でした。どちらにしても安倍首相や近くの誰かが賄賂をもらって便宜を図った、という一般的な汚職の構図がどれだけ調べても出てきませんでした。だからこそ「おともだち優遇」という小学校の終わりの会みたいな批判しか出来ませんでした。

    批判することは必要でしょうし、声を上げるべき問題だったかも知れませんが、問題はリベラル勢力による安倍批判がモリカケ問題に集中しすぎたことです。安倍内閣中期における批判の大半がこの問題に集中しました。国民がどうでも良いと思っていることに気がつかずに。

    そのため、リベラル勢力は国政選挙で負け続けました。リベラル勢力をまとめる人間や団体がいなかったことがその原因だったかも知れません。「モリカケ問題を追及し続けても勝てない」ということに気がつかなかったのか、あるいは気がついていても他に攻め手がないからしょうがなかったのか。

    どちらにせよリベラルは負け続けました。

    2016年に成立したいわゆる安保法制に関しても、リベラル・左翼陣営としては長年主張し続けてきた論旨でのみ反対していました。

    安保法制が正しいか、その反対意見が正しいかというのは立場によって異なる以上、自分とは逆の意見を持っている人を論破するだけでなく、宙ぶらりんな人を味方につけて自陣営を増やさないと行けないはずです。自分たちの意見に賛成する人が少ないのであれば、意見ややり方を変えなければ状況は変わりません。

    しかし、リベラル勢力の戦術は全く変わらず、安保法制イコール侵略戦争という枠組みでしか語れませんでした。多分、リベラル勢力の声の大きい人達はこれまで繰り広げてきた主張以外を口にすることは負けだと思っているのでしょう。やり方を変えなければ負け、やり方を変えても負け、ということであればやり慣れた今までの戦術でいいんでしょうね。頭使わなくて済みますし。

    この安保法制では内閣・自民党側にもウィークポイントはありました。支持母体の絡みもあって野党時代から含めて平和を主張してきた公明党が大きく揺れていたからです。公明党と創価学会の間で隙間風があることが公然と指摘されるくらいになっていました。

    自民党が公明党を必死で説得し、成立させたのとほぼ同時期に、公明党が主張していたプレミアム商品券の新たな発行(つまりは税金投入)も通りました。

    2019年版プレミアム商品券の最新情報まとめ
    【参考】2015年にも発行された
    https://www.keigenzeiritsu.info/article/18817#2015

    タイミング的にはバーターですがもちろん、バーターであることは内閣も自民党も公明党も認めるわけがありません。今年と同じく消費増税(2014年に5%から8%に)に合わせた消費刺激策でしたが、創価学会に多い中小商店主にとってはありがたい話だったでしょう。

    こういうところを突くべきだったと思いますし、それこそ自公政権の分裂させるところを目標にすべきだったと思いますが、あくまで本丸の安倍内閣打倒のみに絞っていたために結局はリベラル勢力は敗れました。

    今年の参院選でも消費増税がたたってか改選前議席を自民党は下回りましたが、過半数は確保しているためダメージはありません。改憲にむけて3分の2を取れなかったことが失敗といえば失敗ですが、3分の2取ったところですぐに改憲できるわけもなく、次の衆院選で圧倒的な勝利を収めない限り発議も難しいことは分かっているでしょうから、これをもってリベラルの勝利と宣言するのも難しい話です。

    結局のところ政権交代するには与党側が分裂しないと不可能です。細川政権の成立は選挙前に日本新党・新党さきがけ・新進党など多数の議員が自民党を割って出たことによるものです。衆院選そのものでは第一党は自民党だったのに、憲政の常道を無視して共産党以外の第二党以下による連立政権で出来たものでした。そのためか、あっという間に瓦解して自社さ政権に戻りましたが。

    鳩山内閣への政権交代も、その数年前に小泉改革による郵政民営化に反対する議員を自民党から追い出したことが自民党の力を弱めたから起きたことです。野党側・リベラル勢力の主張が国民の多数の支持を得たことが直接の原因ではありません。状況の変化に応じて国会内の力関係を変化させないと政権交代は起きません。

    リベラル側は自分たちの主張をするだけでは勝てないのです。

    そもそもその主張自体にも内部に矛盾があります。

    今年の消費増税について政府を批判するのは当然です。増税を素直に受け入れる国民なんて世界的に見ても存在しないでしょう。しかし、この増税は批判しつつも財政均衡、赤字国債の削減を主張するのもおかしな話です。増税分をどこかで補填しないといけないですが、富裕層と大企業への課税を主張するだけですし、それに加えて福祉や年金のさらなる増額も主張してしまえば論理破綻もいいとこでしょう。

    第一、保守を自認しながら財政的にはリベラルな拡大路線の予算を組む安倍内閣をリベラルの立場から財政均衡を求める批判をする時点で無理があります。攻める側も守る側もお互いに矛盾しているのです。

    さらに、安保法制や改憲に絡めて安倍首相をヒトラー、安倍内閣をナチス呼ばわりするのは、安倍氏に対する侮辱だけではなく、ナチズムの被害者に対しての侮辱でもあります。憎い存在なのかも知れませんが、ヒトラーやナチスに匹敵するような人類史上に残る残虐行為を行ったわけではありません。主張する側も知ってはいるが過激な言葉で世間の注目を集めて非難したいのでしょうけれど、これは逆効果でしょう。

    周辺各国の状況を考えると不安になる国民に対して、ヒトラーと平和な人のどちらを選びますか?という選択肢を与えるつもりが、安倍総理はヒトラーと思いますか?という選択肢になってしまうと、「いやそこまでじゃないでしょ」という反応になり、結果的に安倍政権の勝利につながります。

    ともかく、リベラルの人達はもう少し戦い方を変えた方がいいでしょう。このままだとまた次の衆院選でも同じように負けるはずです。

  • セキュリティに対して無知も無関心もあってはならない

    パソコンにはセキュリティソフトは必須です。無いといくらでも侵入されてしまいます。「自分には盗まれて困るような情報がない」とうそぶく人であっても、セキュリティソフトを入れて適切に管理していないと、自分のパソコンを踏み台にして他人のコンピュータやサーバに攻撃をかける悪人がいます。この場合、侵入されて踏み台にされているパソコンを所有している無知な人間が攻撃者だと見なされる可能性があります。つまり、セキュリティの意識がない人は自分だけではなく他人に迷惑をかける存在にもなり得るのです。

    そういった問題を防ぐためのセキュリティソフトはたいていのメーカー製パソコンを購入時にプリインストールされています。ただ、セキュリティソフトは基本的に月額や年額でワクチンアップデートのための権利を購入して使用する方式です。支払を行わず最新のワクチンを手に入れられなくなってしまうと、最新のコンピューターウイルスや攻撃方法に対して無防備になり、セキュリティソフトが無い状態よりはマシ程度の結構危険な状態になってしまいます。

    毎月あるいは毎年お金を払い続けないとパソコンをまともに使えないのか、というと、実は他にも方法があり、ウイルスバスターやノートン、ESETなどの有料のセキュリティソフトでなくても無料で使えるものもあります。無料だとその代わりに機能が少ないということでもありますが、Windowsを使っている場合は自動でWindows Defenderが入っています。これを有効にしていればまず問題ないはずです。GoogleChromeの開発者なんかはWindows Defender以外のセキュリティソフトはブラウザの挙動に制限をかけてくるから糞だとはっきり言っているくらいです。変な行動をしない限りはこういった標準のものでも充分です。

    ただし、他社製のセキュリティソフトがインストールされている場合は、Windows Defenderは無効化されます。ワクチンの期限が切れていても無効のままです。ですから、下手に有料のセキュリティソフトがプリインストールされているメーカー製のパソコンを知識のない人が使い続けてしまうとかえって危険な状態になってしまうのですが、この辺はどうにかした方が良いのではないかと思っています。

    マイクロソフトとしてはセキュリティソフトに期限切れの場合はWindows Defenderが自動的に有効になるようにするというのも裁判沙汰になるでしょうからやらないでしょう。ユーザー側が注意というかウェブリテラシー、セキュリティリテラシーを身につけるのが最善であり最短の解決策のはずです。

    色んな施設、建物や何らかの人が集まるスポットになるような場所であれば、たいてい無料のWi-Fiが利用出来る時代です。パソコンだけでなく、というかむしろ今ではスマホやタブレットで接続する方が多いかも知れません。LTEの時代になってパケット通信に月の上限が設定されていますから、スマホを利用している人にとっては無料Wi-Fiの存在はありがたいことでしょうけれど、簡単さ・便利さ・無料には当然ながら落とし穴があります。無料Wi-Fiを提供している側が悪意を持っているとはいいませんが、同じWi-Fiスポットに接続している機器同士ですと、ネットを介しているデータを見られる可能性があります。

    「Wi-Fiスポット 危険性」とかで検索すれば情報はいくらでも見つかりますが、通信内容が丸見えになると、例えばどこかのサービスにログインするときのIDやパスワード、クレジットカードの番号やセキュリティコード、銀行のネットバンキングのパスワードなどが流出すると個人情報どころの騒ぎではありません。直接的な金銭被害に遭う可能性が出てきます。もちろん、そういったWi-Fiスポットに接続して仕事のメールや顧客の個人情報なんかのやり取りが漏れても大変です。

    そういったことが無いように、Wi-Fiスポット・公衆無線LANに接続する場合はVPN接続するのが必須です。

    VPN接続サービス・ソフトを使えば、同じWi-Fiスポットに接続している悪人に通信内容が漏れる心配は無くなります。もちろん、このVPNサービスそのものがヤバいケースが中国なんかではあるそうですが、パソコンのセキュリティソフトと同じように有料無料様々あるので、色々調べて信頼できそうなサービスを使うべきでしょう。自分のパソコンが踏み台にされてサーバ攻撃に利用される危険性と同じように、安易に無料Wi-Fiを使用すると知らぬ間に重要なデータが流出してしまうということは誰もが知っておくべきです。

    小学生の内からプログラミング教育・ロボット教育などに官民そろって盛んになってきていますが、こういった被害・危険性も同時に教えていくべきでしょう。ただし、コンピュータの怖さを植え付けるのではなく、正しく対応すれば防げる問題です。交通事故があるから道を歩くなと言う人はいないでしょう。信号を守り歩道を歩きそれでも事故に遭う可能性はありますが、注意をしていれば防げる事故は多いです。コンピュータ教育・セキュリティ教育も同様に危険と対処を同時に教えていくようにすべきだと思います。

  • 元気な時は階段の手すりを使わないようにする

    改めていうようなことではないかも知れませんが、年老いた親と一緒に移動すると、お年寄りにとって階段の上り下りが大変なことに気付きます。

    上るときも大変ですが下りるときは足、特に膝に負担がかかるため、かなり慎重な動きになります。

    そのため、上りはともかく下り階段は必ず手すりを持つことになりますが、人が多い駅などでは当然ながら階段にも人が多く、手すりを使わないのに手すり側を歩いている人がほとんどです。そもそも人が多いと手すりがある壁側に行くのもお年寄りにとっては大変です。

    これはお年寄りに限った話ではなく、妊婦の方や身体の不自由な方にとっても同様だと思います。

    もちろん、健常者、若い人にとってもすごく疲れているときなどは手すりを持って上り下りすることもあるでしょうし、それ自体は否定しません。無理してふらついて階段を転げ落ちたりしたら大変です。本人だけでなく、階段での転倒は周囲の人にも被害を及ぼしかねません。

    そうではなく、手すりをつかまないといけないほど疲労しているわけではないのに、手すり・壁側を通ることによって、手すりが必要な人が使いづらいということが気になります。

    じゃあエレベーターやエスカレーターを使えばいいじゃないか、という反論が聞こえてきそうですが、エレベーターは駅でいうとプラットフォームの端にあることも多く、ビルでも目立つところにない場合も多いです。大きな交差点にある地下鉄の駅で全ての角にエレベーターがあるケースは非常に稀でしょう。

    エスカレーターにしても、歩くスピードが遅くて俊敏な動きが出来ないお年寄りにとっては結構怖い存在です。エスカレーターに乗るときには、足を乗せたらすぐに次の足を前に進めないと転んでしまいます。下りるときもベルトのスピードに合わせて下りた足とは逆の足をすぐに前に伸ばさないと後ろが使えてしまいます。ある程度年を取った人にとってはエスカレーターも使いづらい乗り物なのです。

    こういったことは元気な内に一人で気付くことはあまりないでしょうけれど、とりあえず駅などでの階段では手すり側ではなく、真ん中の何も無いところを歩くように心がけています。

  • 大金で大物外国人選手を獲得するよりもJリーグ出身選手を大物にしよう

    別に特定のクラブの補強方針を批判するつもりはありませんが、大金を費やして世界的に有名な選手を獲得したとしてもハイレベルなプレーをしてくれるのはせいぜい1,2年です。その著名さで客を呼べるしグッズも売れるので、年俸や違約金がそのままマイナスとして経費に乗っかるわけではないですが、わずか数年で移籍や引退してしまったらまた新たにビッグネームを連れてこないといけません。

    それがクラブの方針であり、オーナーの希望だというのであれば現場サイドはもうどうしようもないと思いますが、大物外国人選手が期待に応えるプレーをしてくれるかどうかは微妙というか一か八かみたいなところもあるはずです。クラブの戦略、監督の戦術、同僚選手のプレーレベルや意識などと齟齬無くやっていけるかどうか、ということに加えて、Jリーグだと日本特有の夏の高温多湿の気候や冬の寒さなども適応の難しさをもたらすはずです。

    大金に対するリターンの不確実性のことを考えると、お金をかけて大物外国人選手を獲得するよりも、お金をかけて日本人選手を大物にする方がリターンやコストパフォーマンスは高いような気がします。

    例えば今、Jリーグに本田圭佑や岡崎慎司、川島永嗣あたりが復帰するとしたらビッグニュースになるでしょうし、チケットもグッズも売れるでしょう。彼らの古巣である名古屋・清水・川崎に戻ってこなかったとしても、他のクラブで欲しいというところはあるでしょうし、それこそJ2やJ3だととてつもないインパクトを伴います。本人らがそこでプレーする気になるか、そもそもJ2以下のクラブで費用を工面できるのかという根本的な問題がありますが、それは日本人以外の大物外国人選手でも同じ話です。

    若い内は地元のクラブで成長し、移籍を繰り返してステップアップしていき、ヨーロッパの強豪リーグでキャリアのピークを過ごし、キャリアの晩年には若い頃を過ごした本国に戻るということは非常に良くある話です。トップレベルにいる内に引退する選択肢もありますが、戻ってくる選択肢もあります。内田篤人や中村俊輔はその代表例です。ガンバでもつい最近、宇佐美が二度目の復帰をしましたが、昔に比べると行く時も戻るときもハードルは下がっていると思います。

    アカデミーや高校・大学から獲得してJリーグで成長して若い内にヨーロッパに行って、「大物」になって戻ってきて引退する、という選手を育成することにお金をかけた方が、長期的にはメリットが大きいと思いますがどうなんでしょうかね。また、日本人に限らず外国人選手でも有名になる前にJリーグでプレーしていて、成長してヨーロッパに行って活躍してまた日本に戻ってくる、というケースもあっていいと思います。アジアの他の国→日本→ヨーロッパ→日本→出身国というルートで戻ってくる選手は充分に大物扱いできるのではないでしょうか。

  • 金融商品の売り手と買い手の利益相反関係

    現在、話題になっている郵便局のかんぽ生命保険の問題とも絡んできますが、金融商品に限って言えば、その商品を買う人が損をすることが売る人の利益になる、という構造的な利益相反関係が存在します。

    具体的にいうと、「この銘柄(投信・保険)を買うとお得ですよ!」というセールスをかけるとして、それを売るだけでインセンティブが売り手にもたらされます。そして買い手がその後どれだけ損をしたとしても、かつての売り手には何の損もありません。ここに諸悪の根源があります。

    レストランで腐った食材を使った料理を提供することはありませんが、金融商品の売り手が腐ったような金融商品を顧客にオススメすることはよくあります。なぜレストランは腐った料理を出さないのでしょうか?

    料理人のとしての誇りとかお客さんのためとかいうのは当たり前ですが、食品衛生法によって厳しい取り締まりがあり、食中毒を出したら営業禁止処分が下されるからです。そして、その処分が解けた後、そのお店に来る客が激減するはずだからです。

    一方、金融商品を取り扱う業者、店舗、営業担当者に関してももちろん金融庁や公正取引委員会がチェック・処分を下しはしますが、郵便局に限らず顧客に対して不利な商品を平気で売りさばく企業が減らない以上は、処分もチェックも不足しているということでしょう。

    厳罰化だけで犯罪が無くなるわけではありませんが、罪と罰のバランスが取れていないのであれば調整は必要でしょう。ただ、この問題は顧客側、消費者側が注意していれば防げる問題でもあります。

    保険にしろ株式にしろ投資信託にしろ、こういった金融商品の大半は販売時(購入時)に商品本体の価値とは別に手数料がかかることが多いです。その手数料はどこに入るかと言えば、その金融商品を作っている金融機関と、売っている金融機関、そして直接の売り手である営業担当の歩合になります。つまり、販売手数料が発生しないとそれらの売り手がたやすく利益を確保できないということでもあります。

    はっきり言うと、売り手が売りたい商品は売り手の利益が多いものであり、買い手にとって有利な商品ではない、ということです。金融商品の売買に関しては、この原則を頭に入れておけば、そうそう騙されることはありません。営業との個人的な交友やら感情の問題やらあるとは思いますが、それを優先して買うのであれば損を出しても文句を言うべきではないでしょう。残念ながら金融商品の売買においてはWIN-WINの関係というのはほぼ成り立たないものだという覚悟が必要です。

    人を見れば疑え、というのは酷い話でもありますが、金融商品を売り込んでくる人がいたら十分に注意して考える必要がある、そもそも旨い話はない、というくらいは頭に入れておいた方が良いでしょう。

  • 中国進出に失敗し続けるアメリカの歴史と米中対立の行方

    世界最大の資本主義経済の持ち主であるアメリカ合衆国にとって、世界最大の人口を誇る中国の巨大市場はアメリカにとって長い間垂涎の的でした。しかし、その中国市場を取り込もうとしてきた歴史がありながら、きちんとアメリカ的資本主義経済に取り込めたことは過去一度もありません。

    アメリカの資本主義経済が発達して太平洋に乗り出してきたのは南北戦争後の19世紀後半からとなります。19世紀末には日本を含む列強各国が既に権益を得ていた清朝末期の中国市場へに後追いで乗り込みました。その時点でアメリカに残された権益はすくなく、機会均等・門戸開放のスローガンを掲げて「俺にも中国の旨い汁を吸わせろ」と列強各国に要求しました。

    しかし、列強は当然ながらそんなスローガンなんか無視したわけですが、次第に力を付けていくアメリカに対し英仏独露伊などのヨーロッパの大国は第一次世界大戦で敗戦もしくは大きな痛手を被りました。大戦の終盤に参戦したアメリカの被害は少なく、経済力で国家間の力関係がひっくり返ってしまい、英仏伊はアメリカに対しての発言権が弱まり、ドイツは敗戦と賠償で国家経済が破綻状態になり、ロシアは革命で共産主義政権になりましたのでそれどころではありません。

    そんな中、アメリカと同じく大戦で直接的な被害を被らなかった日本は中国への干渉を強め、それに対してアメリカが抗議し続け、最終的には極東全体において利害が衝突した日本とアメリカが太平洋戦争を戦うことになりました。結果としてはご存じの通りアメリカの勝利となり、晴れてアメリカは中国に手を突っ込める、と思ったら、毛沢東率いる中国共産党政権の樹立によって、それまで以上にアメリカは中国大陸から弾き出されることになってしまいました。

    20世紀末、世界各国の共産主義政権が倒れていく中で中国の共産党政権は鄧小平の指導の下、市場を開放して資本主義経済を取り入れました。ここで晴れてようやくアメリカが大手を振って中国市場に進出できました。天安門事件やその後の人権侵害問題がありつつも、欧米各国は中国市場の巨大さのために妥協し、経済的繋がりを重視して人権問題は時々指摘する程度に抑えました。中国にとっても世界の工場になることで爆発的な経済成長を手に入れることが出来たので、各国政府にとってはWinWinの関係で進みました。

    このまま中国市場が資本主義経済になっていくかと思いきや、中国が経済力とそれに伴い軍事力も付けてきたことで、鄧小平の「韜光養晦」路線を捨て、アメリカが持つアジアにおける覇権に露骨に挑戦してきました。20世紀前半の日米対立のように21世紀前半の今は米中対立が発生しました。

    今次の米中貿易戦争は短期的には暴れん坊のトランプ大統領と独裁性を強める習近平による争いですが、歴史的には必然とも言える対立です。誰が大統領で誰が国家主席であってもいつかはこのような米中対立は生まれていたはずです。中国はアメリカを相手に例えば中国外のアジアの覇権を望んで軍事や経済で勝負を挑んでも勝てませんが、中国における経済市場をアメリカに渡さない、アメリカを追い出す、ということに限定すれば可能でしょう。ただし、その場合は欧米市場における自由なアクセスを中国側も失います。そうなると日本・朝鮮半島・東南アジア各国への帝国主義的経済進出を強めてくるでしょう。でないと中国内の生産物をさばききれません。帝国主義が生まれて死んだ19世紀から20世紀にかけての歴史を学ぶべきです。どうやって日本が様々な干渉や圧力を排除して日本の国益を確保するか、そのために歴史を学ぶことは決して無駄にはならないでしょう。

  • 将来的な電気自動車義務化は暑いところや寒いところでも?

    CO2削減のためにガソリン車が目の敵にされるような時代になりつつあります。その流れに沿う形で、電気自動車へのシフトを進めるべきだという意見もよく聞かれます。環境先進国を自認する国々ではその風潮は確かなものになっています。

    フランス 2040年にガソリン車、ディーゼル車の販売禁止へ EV普及を促進
    https://zuuonline.com/archives/161520
    フランスのユロ・エコロジー相が2040年までに国内でのガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を明らかにした。地球環境への影響に配慮し、電気自動車(EV)の普及を目指す。

    しかし、その一方で昨年から今年にかけてフランスで起きた暴動、黄色いベスト運動も元はといえば燃料税の増税に対する反対から生まれたもので、マクロン大統領がそれなら電気自動車に乗れば良いという、マリーアントワネットばりの発言が火に油を注ぐ格好となりました。

    燃料税増税で暴徒化 フランス大統領「撤回しない」
    https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000141787.html

    EVへのシフトやガソリン車禁止などの政策とそれに対する暴動の原因は、直接的にはマクロン氏の発言やその資質に問題があるのかも知れませんが、根本的には「電気自動車はエコロジーでガソリン車は環境に悪い」という大前提が存在していることです。

    しかしフランスのように国家全土がそれほど寒くなく、地域差も大きくない国であればガソリン車禁止のような政策も無理ではないでしょうけれど、例えば日本のように都市部と地方の交通の便に差が大きく、気候の違いも大きな場合はどうなんでしょうか。

    具体的には、リチウムイオンバッテリーは安定して動作する気温が限定されています。
    身近なものではスマホやノートパソコンなどに搭載されていますが、例えばiPhoneXSのスペックシートには動作環境として、

    https://www.apple.com/jp/iphone-xs/specs/
    動作時環境温度:0°〜35°C
    保管時(非動作時)温度:-20°〜45°C

    と書かれています。もちろんこれはリチウムイオンバッテリー単体の動作環境ではなく、他の部品も含めて動作保証される気温です。それでもある程度の範囲を超えると動作が鈍くなったり、動作しなかったりします。それはリチウムイオンバッテリーそのものも同じです。

    電気自動車でもリチウムイオンバッテリーが使用されていますから、自動車自体を動かす出力は適した気温の幅を超えてしまうと、著しく制限されてしまうはずです。

    日産リーフの諸元表を見ても動作環境温度については記載がありませんでした。

    https://www3.nissan.co.jp/content/dam/Nissan/jp/vehicles/leaf/1907/pdf/leaf_specsheet.pdf
    ●交流電力量消費率および一充電走行距離は定められた試験条件での値です。お客さまの使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)、整備状況(タイヤの空気圧等)に応じて値は異なります。電気自動車は、走り方や使い方、使用環境等によって 航続可能距離が大きく異なります。

    もしかするとどこかに書いているのかも知れませんが、見つかったのは日産のホームページ内にある、ユーザー同士のQ&Aくらいでした。

    寒冷地での使用
    https://ev1.nissan.co.jp/LEAF/RORA/ZE0/QUESTIONS/DETAIL/327

    これを読むにやはり寒冷地(あるいは暑い地域)ではかなり効率が悪くなるはずです。ガソリン車でも寒すぎたら暖機運転が必要だったりしますが、電気自動車は果たして極寒の地でも動作するのでしょうか?

    そう思ってウェブをあさると、

    新車の4割」EV大国ノルウェーの裏事情
    https://president.jp/articles/-/23053
    北欧ノルウェーでは、すでに新車販売の4割が電気自動車(EV)になっている。

    こんな記事が見つかりました。
    なるほど、そもそも寒すぎてガソリン車の動作も大変でそのための設備やコンセントがあったくらいだから、EV普及に必要なインフラ整備も簡単だった、ということだそうです。

    逆に言うと、それくらいの準備をしないと寒冷地での電気自動車義務化は相当難しいはずなのですが、その費用はどう捻出するのか、という問題も出てきます。ガソリン車廃止することでガソリンの税金もなくなりますが、税金で負担してインフラを整えるのか、それとも受益者負担のみにするのか。後者であれば地方切り捨てと言われてもしょうがないでしょう。寒冷地の過疎地に住む人がいなくなります。

    じゃあ寒冷地だけガソリン車を認めるか、というとそれも問題で、そのガソリン車で暖かい都会に出てきてもいいのか?ってことになります。それを認めるにしても、暖かい都会にはガソリン車が存在しないならガソリンスタンドも存在しません。

    電気自動車ではなくプラグインハイブリッド車であれば両方の地域で使えますが、そうなるとプラグインハイブリッド車のみ存在が許されることになるのでしょうか?

    これは寒い地域の話だけですが、日本やヨーロッパに限らないことにすれば、赤道直下など非常に暑い地域でもリチウムイオンバッテリーは動作が悪くなりますから同じ問題が出てきます。

    環境先進国はいち早くEV義務化を達成した後、気候やインフラの問題でEV義務化が出来ない国々を非難するのでしょうか? そしてそれは正当な非難なのでしょうか?

  • 書字障害と手書きとデジタル入力

    特異的綴字障害(書字障害)という障害があります。

    特異的綴字[書字]障害
    https://www.e-heartclinic.com/kokoro/senmon/f80/f81_specific_spelling_disorder.html

    文字を書くことが困難な障害で、それ以外の行動には問題がないそうですが、子どもが勉強する上で文字を書くことがなかなか出来ないというのは、学校でのプレッシャーもあるでしょうし、保護者にとっての苦悩もあると思いますが、何より本人が自分の能力に疑問を抱いてしまうと書字以外の行動でも自信が持てなくなってしまうのも難しい問題だと思います。

    一昔前であれば、手を使って書かずに学んでいくのは難しかったはずですが、今の時代ではテクノロジーの進歩によって他の形で学んだりすることも出来るようになっています。

    学習障害を支える、タブレット学習教材4選!これなら字が苦手でも大丈夫!
    https://h-navi.jp/column/article/35025789

    そして今後はますます、手書きの文字に依存する必然性が減っていくはずです。キーボードやタッチ入力・フリック入力で書く文字数と、手書きでの文字数で後者の方が多い人はかなり上の世代の一部だけではないでしょうか。手書き自体を否定するつもりはありませんし、手書き出来た方がいいのは確かですが、それが非常に困難な場合はテクノロジーで解決すべきでしょう。

    こういった文字を書けないという症状は既に認知されているようですが、ではデジタル機器で文字を書けないという症状もそのうち出てくるんじゃないでしょうか?

    QWERTYキーボードは配列自体がかなり非論理的な(特に日本語を入力する上では)機構だと思いますし、タッチ入力やフリック入力もどうしても苦手だという人もいるでしょう。そういう人は、ただ単にデジタル機器が苦手だという扱いにされてしまい、デジタル的書字障害としては認識されていないだけかも知れません。

    そうなると、そういう人にとっては逆に手書きが救いの手段になるんでしょうね。手書きでデジタル上の文字入力出来る手段は結構あるので、従来の書字障害の人とデジタル的な書字障害の人、そして書字障害を持っていない人を全て包括できるとしたら、完全デジタル化ということになりますかね。

  • ライブ配信というIT時代の新インフラにおける冗長性の必要性

    多くの人に情報を伝達するのはいわゆるマスメディアの得意技というか、それのために存在しているわけですが、ITが発展した今の時代では従来のマスメディアを使わずとも、多数に伝える手段は存在します。

    文字情報であればもちろんホームページ・ブログ・SNSなどがありますが、動画情報でもライブ配信サービスを利用すれば誰でも気軽に配信できます。

    そんなライブ配信サービスの代表格としてはYouTubeになるでしょうが、ストリーミングにおいてはYouTubeは2011年開始ですので他社を先行していたわけではありません。

    その他にもニコニコ動画、ツイキャス、LINE LIVEなどあります。テレビを見ない、あるいは自宅にテレビがないというヒトが増えている中で、こういったライブ配信自体が人々に情報を伝達する重要なインフラになっているような気がします。

    これらのサービスの運営には当然ながらサーバ設備に費用がかかりますが広告や会員からの課金によって賄われることになります。その収支のバランスが取れなくなると潰れてしまうわけですが、古参ともいえるUstreamなんかはモバイル時代に後れを取ってほぼ無くなったような状態になっています。

    栄枯盛衰は世の常ですが、どこか一つのプラットフォームに依存して配信していた人や組織の場合、そのサービスが停止したり無くなったり大幅に縮小したりすると、その配信や組織運営、人の場合は生活とかにも悪影響が出るでしょう。

    そう考えると、出来るだけ潰れなさそうなサービスに配信者が集中してもいい気がしますが、そこまでYouTubeの一人勝ちにはなってはいません。YouTubeの規約や収入を得るまでのハードルが高いことが理由なのかも知れませんが、それらが緩んでくるとも思えないので、当面は他社の配信サービスは独自性を打ち出せれば生き残っていけるのではないかと思います。

    また、一つのサービスは他のサービスのバックアップというか、いざという時の備えにもなっています。

    ウェザーニュースなんかは複数のサービスでライブ配信していますので、例えばYouTubeに障害が起きたとしてもLINE LIVEやFRESH LIVEで閲覧できるはずです。

    私がよく見るDAZNでも、DAZN自体のサーバ障害で配信できない時にYouTubeLiveを使っていたことがあったはずです。

    バックアップ側になれるサービスというのは巨大なインフラを抱えているごく一部のみになるでしょうけれど、こういう手軽、かつほぼ無料でバックアップを準備しておけるというのは配信側にとってだけでなく、閲覧側にとってもありがたいことだと思います。

  • 国家財政と家計簿と自治体財政の違い

    少し前にニューズウィークでMMTの特集がありました。

    特集:日本人が知るべきMMT 2019年7月23日号(7/17発売)
    https://www.newsweekjapan.jp/magazine/243906.php

    MMTについては以前、個人的にも取り上げましたが、

    https://hrsgmb.com/n/n788eb06b8cdd

    有名どころの経済学者や金融界の重要人物の間でも意見が両極端に分かれていて、素人からしたら「経済学内で意見まとめてから出してこいや」と言いたくなるくらいなのですが、国家財政、特に自国通貨を自国で発行できる政府のやり繰りと、収入の範囲内で賄わないといけない企業や家計のやり繰りとは全く異なるということはなんとなく分かります。

    もちろん、借金せずにやっていけるのであれば国家であろうと企業であろうと家計であろうと万々歳です。しかし、企業や家計だって借金することは一般的です。

    住宅ローンを使わずに家を買う人がどれほどいるでしょうか。大半の人はローンを利用して購入しているはずです。

    国土交通省 住宅市場動向調査報告書
    https://mymo-ibank.com/money/2553

    こちらのデータによると、戸建てやマンション・新築や中古によって違いはあれど、ローンを使用する人は5割〜8割くらいいるそうです。無回答も結構あるので実際のところはもっと割合は高いでしょう。

    家、特に新築は購入直後に資産価値がいきなりぐっと下がります。その一方でローン残高は少しずつしか減りませんから、その差額は純粋な負債となります。いざという時の保険がありますが、それは資産とは言えないでしょう。自動車も似たような者です。家計においても借金は珍しくありません。

    企業でも借金は当たり前です。無借金経営の企業が持てはやされますが、それだけ無借金の企業が少ないことの裏返しです。また、レバレッジをかけて資金を調達して企業を大きくしていくことは経営学的にはおかしい話ではありません。その一方で内部留保を抱えすぎているという批判もあります。金額が多すぎるのは問題ですが、だからといって内部留保を減らしてしまうといざという時に不利な条件で融資あるいは債権による調達をしないといけなくなります。大企業に対して内部留保を吐き出せという主張と、日本政府には借金するなという主張を行う人って結構重なっている気がしますがそれはまあ置いておきましょう。

    企業や家計においても借金は珍しいことではありません。限度の問題とも言えます。そしてその限度はどこから来るのか、という話ですが、もちろん収入の最大値です。家計における収入はその家庭内での働き手の収入ですが、生涯収入と生涯消費の差額が元利合計のローンの限度でしょう。企業は多角化や新事業などで収入が大幅に増える可能性もありますが、常識の範囲内でしか借りられません。常識の範囲内でしか貸し手が貸してくれないからです。

    その一方で、自国通貨を自国で発行できる国家の収入は事実上無限大です。もうこの時点で国家財政と企業財務・家計簿を同一視するのは無理があります。経営が傾いた企業を建て直すことや家計を正常化することと、国家財政を建て直すことはまるっきり違う方法とプロセスが必要となるわけです。

    もちろん共通点はあるでしょうけれど、倒産寸前の大企業を建て直したという触れ込みで国政に参与してもその成功体験が上手く行くとは限りません。足かせになるとも限りませんが、同じ理屈で動いている組織ではないは注意すべきでしょう。

    むしろ、企業経営に近いのは国家よりも地方自治体の方ではないでしょうか。地方自治体は国家と似ている部分がありますが決定的に違うのは通貨発行権がないことです。この点は企業と同じで、債務返済の原資は税収以外には基本的には存在しません。自治体所有の土地などを売却することでも収入は得られますが限りがあります。

    自国通貨だからといって際限なく発行し続ける国家はこれまで存在していませんでした。従来の経済理論から言ってそんなことをしてしまうと国家財政もその国の市場経済も破綻するはずだからです。そしてその理論に対して真っ向から挑み、インフレにさえ気をつけていればどれだけ政府債務を増やしてもいいから景気対策をするべし、というのがMMT(現代貨幣理論)です。

    MMTが正しいかどうかなんて私には分かりませんが、否定するにしてもあくまで経済学的観点から行うべきであって、一般庶民の家計簿と比べるような説明で否定されても逆にあまりピンとこないな、という感じです。一般人は自分で通貨を作り出せませんし、そもそも際限なく借金することも出来ませんから。MMTを否定するにしても同じ舞台で否定しないとかえって賛成派の主張の方を後押しする逆効果が生まれるんじゃないですかね。

  • 昭和的護送船団方式がいよいよ使えなくなりつつある現代

    話題が大きくかつ長くなりすぎて若干食傷気味の人もいるかも知れませんが、今回の吉本興業の問題は吉本興業だけの問題だけではなく、ジャニーズ事務所の圧力問題と根っこは同じでしょう。テレビ局などの放送産業と、タレントを供給する芸能事務所と、番組制作会社とで構成されるテレビメディア業界全体を牽引していた護送船団方式が時代にそぐわなくなってきた証なのかも知れません。

    これはテレビ業界だけではなく、例えば出版業界は出版社・取次・卸・書店が一蓮托生だったはずですが、本が売れない時代になるのとほぼ同じタイミングでネット書店の脅威により、流通の上流から下流まで一様に打撃を受けました。力の無いところから潰れていき、また出版社が大手書店と直接取引したり、取次会社が独自の動きを見せたりと、かつての協力体制は競合・競争関係に変わりつつあります。

    さらに言うと出版業界・テレビ業界といったメディア関連だけではなく、多分どの業界でもこれは同じで、むしろテレビや出版の業界の変化が遅かったくらいなのだと思います。人口ボーナスと産業構造の変化がもたらした高度経済成長期においては護送船団方式はみんながWinWinの関係になれて誰も傷つかない、非常に良く出来た方式だったのだと思います。特出して儲けたり巨大化するところがない代わりにみんなで揃って儲けましょうという非常に日本的な、ジャパンアズナンバーワンを体現するような仕組みでした。自動車産業におけるメーカーと下請け・孫請けや建設業界におけるゼネコン・中堅ゼネコン・下請け・孫請けといったものがその最たるものでした。

    しかしバブル景気の崩壊以降、少子高齢化の影響と長期的なデフレに見舞われて、さらに人口減少社会に突入した今、かつての成功をもたらした方式は現在の失敗をもたらす方式になりました。最上流に位置するメーカー・ゼネコンは孫請けまで面倒を見ることは出来なくなり、ひたすらコストカットに走り堪えきれなくなった中流・下流の会社はどんどん潰れていきました。こうなると、仕組みを維持し続けるということは、誰かがどこかで大損することになり、護送船団ではなくなってしまいます。

    かつての下請け・孫請け企業は上流の大企業だけではなく、独自技術を生かしてさらなる販路を見つけようと模索し、上流の大企業側もサプライチェーンを冗長化して安く調達するために海外に目を向けます。出版業界・テレビ業界の問題はこういった水平展開や海外への展開が他の業界に比べると動きが鈍いことかも知れません。

    もちろん、業界全てが潰れることはないのでしょうけれど、他業界の後追いとして事態が推移していくのであれば、今後は、テレビ局・芸能事務所などの合併や廃業もこれからはおかしくない時代になるのではないでしょうか。