今さら言うことでもないですが、日本は島国です。大陸とは陸地でつながってはいません。人や物の移動は船か飛行機で運ぶしかありません。大陸国家間での移動に比べると、移動のしやすさ、費用、時間はかなり異なります。
例えば、アメリカでは移民を陸地経由で中南米から大量に受け入れることが出来ました。今ではそれが政治・社会問題になっていますが。イギリスもEU加盟時代はヨーロッパ大陸中から多くの移民労働者をたやすく受け入れることが出来ました。これも反EU運動を招いてEU離脱が行われ、その結果ブルーカラー労働者が減って社会活動に支障をきたすという結果になってしまっています。
物資の移動に関しては、大量に運べるコンテナ船を使えば費用の面では陸路も海路も大差なくなりますが、現代世界では重要なエネルギーに関しては、パイプラインで石油や天然ガスを運べる陸路と、タンカーによる海路では費用も速度も差があります。また、電力供給そのものでも、例えばドイツは原発を廃止してもフランスの原発から電力供給を受けることが出来ます。
このように、例え距離があったとしても、陸でつながっている(英仏間は海面下ですが)メリットは非常に大きいもので、鉄道や自動車・バスによって安くてそこそこのスピードで頻繁に移動出来ます。島国では飛行機か船舶で行き来するしかありません。
もちろん、シンガポールや香港のようにインフラの一部あるいは大部分を大陸側に依存している島国も存在します。シンガポールは今では隣国マレーシアとの国家関係は悪くないですが、かつては険悪だった時期もありました。今の香港の問題については言うまでもないでしょう。
ヒト・モノ・カネ・サービスの需要と供給は、現代世界ではどの国も相互に依存し合っていますが、依存の度合いや許容範囲は大陸国と島国では違いがあって当然です。日本は、ヒト・モノ・カネ・サービスのやり取りに関しては、大陸国家間に比べるとスムーズさに欠けるのはしようがありません。
日本は日本なりにやっていくしかないのです。日本と大陸の間は、英仏海峡よりも広いのです。すぐに大陸とつながれない以上は、島国としての国家戦略を立てて進めざるを得ません。
だからと言って、日韓トンネルを作るべきだと言うつもりはありません。本当に建設可能なのか、費用がどれだけかかって負担はどうするのか、という問題もさることながら、そもそも日本と韓国がつながるだけでは大陸につながることには「現時点では」ならないのです。北朝鮮によって、韓国は大陸から半分切り離されているようなものですから。
むしろ、間宮海峡とサハリン島をつなぎ、さらにサハリン島から北海道に宗谷海峡経由でつなげるルートの方が、日本と大陸との接続の可能性は高いのかも知れません。それだってロシアとの関係性という大問題が立ちはだかります。
ただ、日韓トンネルにしろ日露トンネルにしろ、政治と経済の問題でまだまだ構想の具体化すら無理です。作った良いかどうかすら分かりませんし。
ともかく、日本はこれまでも島国で、おそらく50年100年は島国であり続けるでしょうから、大陸国家的な政策や社会的在り方をそのまま持ち込んでも上手く行かないでしょう。参考にしてエッセンスを取り入れるのはもちろん大いにあり得べきことですが、環境も歴史も異なる国の理屈をそのまま日本でもやれ、というのは乱暴に過ぎるでしょう。








